ラグビーフォーオール
ラグビーフォーオール
1823年の誕生以来、ラグビーがグローバルスポーツとして進化、発展を続ける今日まで一貫して守り続けているのが、ラグビーを通じた人間形成への理念、規律・品位・情熱・結束・尊重 です。
人格形成に関わるこれらの理念はワールドラグビー が掲げるスポーツ・フォー・オールというビジョンの基盤となっています。このビジョンは、ラグビーがすべての人々のためのスポーツであることを反映し、世界のラグビーファミリーの拡大・発展を目指すミッション宣言にも表現されています。
ラグビーは、ワールドラグビー 憲章、定款、そして競技に関する規則を含む競技とその運営におけるガバナンス全般に、スポーツ・フォー・オールの考え方が反映されています:
「競技規則は、異なる体格、スキル、性別、そして年齢のプレーヤーに、統制されているが競争性があって楽しむこともできる環境において、それぞれの能力のレベルで参加できる機会を提供するものである …ゲームの精神は、規律、自制、相互の信頼を通してこそ反映するものであり、これらの資質はゲームの継続的な成功と生き残りに極めて不可欠な友情とフェアプレーの感覚を築くのである」〜 ワールドラグビー 憲章
「人種、性別、言語、宗教、政治その他の理由で国、個人、またはグループなどへのいかなる差別を阻止する」〜 ワールドラグビー 定款 第3条
「加盟協会、アソシエーション、ラグビー団体、ラグビークラブまた個人は、宗教、人種、性別、性的指向、肌の色や民族性に関わらず誰に対しても威圧的な、攻撃的、侮辱的、屈辱的、また差別的な行動を取らない」 〜ワールドラグビー 競技に関する規則 第20条
ラグビーがスポーツ・フォー・オールとしてあり続けるための取り組みは国連の持続可能な開発目標に関わる多くの取り組みに適合しています :
- 全ての人に健康と福祉を(Goal 3)
- 質の高い教育をみんなに (Goal 4)
- ジェンダー平等を実現しよう(Goal 5)
- 人や国の不平等をなくそう(Goal 10)
- 住み続けられるまちづくり (Goal 11)
- 平和と公正をすべての人に(Goal 16)
- パートナーシップで目標を達成しよう(Goal 17)
ダイバーシティー(多様性)とインクルージョン(包含性)の重要性に注力せずにラグビーがスポーツ・フォー・オールとして受け入れられることは不可能です。参加を阻む壁や無意識の中で持っている偏見が存在する限り、たとえそれが意図的なものでなかったとしても、そのスポーツはもはや万人のためのスポーツとはいえません。またそのスポーツは均質化されるだけでなく排他的あるいは差別的とさえ捉えられるリスクが生じます。
そのことから、コミュニティーレベルからエリートレベルまで全てのプレーヤー、コーチ、オフィシャル、ファン、その他のラグビー関与者にとって、ラグビーが今後もオープンで、差別のない、魅力的なスポーツとしてあり続けるために、ワールドラグビー は加盟協会やリージョナルアソシエーションとともに極めて重要な役割を担っています。
多才なプレーヤーが大勢集まる強豪チーム
多くが時には不合格になったり拒否されたりする経験をすることでしょう。チームメンバーに選抜されなかったり、グループに参加することを拒否されたり、仲間から受け入れられなかったり。大半の人々にとってこれらの思い出は、やがて克服してゆく成長過程の苦しみのひとつに過ぎません。しかし多くの人々にとってこれらの経験は子供時代の思い出では終わらない一生続く経験です。
差別は多くの場合、無意識下で反射的に現れてしまうものですが、意図的であろうとなかろうと、差別は方針・政策やプロセス、そして人々の立ち振る舞いに反映されてしまいます。社会や人々の立ち振る舞いが変化していく中で、誰が差別の対象になり得るか、どのような形で差別が行われるのか、差別の原因を突き止めネガティブな行動を予防することでラグビーが確かにスポーツ・フォー・オールの競技としてあり続けていくことができます。
このような活動によって、ラグビーが誰でも楽しめるダイバーシティ(多様性)を持つスポーツであり続けることのメリットは数多くあります:
- オープンでどんな人でも受け入れる環境で得られる個人の健康と幸福
- 様々なバックグラウンドを持つ人々への理解と認識が深まる
- プレーヤー、コーチ、オフィシャルそしてファン層を拡大する機会が広がる
- 知識の共有、リーダーシップ、お互いから学ぶことの向上
- 他の業界のパートナーも親しめるようなラグビーの魅力が強化
- ラグビーの支持層を拡大することにより商業的、投資対象としての魅力が強化
ラグビーにおけるインクルージョン(包含性)
体格の異なるプレーヤーを保護するための理念、またプレーヤーの福利厚生へのアプローチの中に明白に掲げられているインクルージョンの考えは、ラグビーが今後発展していくためだけでなく、ラグビーの理念を守っていくための私たちの行動の本質な部分として今後も維持されていかなければなりません。
ワールドラグビー は、国籍、人種や民族性、性別、ジェンダーアイデンティティ、性的指向、心身障害、言語、宗教、政治、その他のバックグラウンドを問わず誰もが、ラグビーをプレーする、またラグビーファミリーの一員としてラグビーを楽しむ機会を与えられるべきだと信じています。
世界のあらゆるレベルで、様々なバックグラウンドを持つ人々が、毎週のように、競争、友情、バックグラウンドを問わず互いを尊重し合うラグビーを通じインテグレーションとダイバーシティーを現実のものとしています:
- キッカー、負傷中のプレーヤー、文化的なハンデを持つ人、またこの世を去った偉大なプレーヤーたちへの尊敬心
- 倒れた相手チームのプレーヤーに手を差し伸べて起こしてあげる
- レフリーを罵倒、威圧的な態度を取らない
- 相手チームのプレーヤーやファンと拍手し合い、試合終了時にはどんな結果であれ互いを祝福し合い握手を交わす
- チームとマッチオフィシャルの夕食会、ツアー遠征、混合チーム、両チームのファンが混じって応援する観戦席
ラグビーの強みはまさにその立ち振る舞いです。しかしこのような尊重の精神は我々の前世代の先輩方の努力によって培われたものです。対立する利害関係や、ラグビーに関わるということの意味や理念をまだ十分に理解していない人々がラグビーに関わり始めることで世界が変化する今、ラグビーに関わる私たちが担う役割は、伝統的な立ち振る舞いを守り、ラグビーの理念を確固なものにしていくことです。
ワールドラグビー の取り組み
上記に示すようなあらゆる差別に対し強く立ち向かい、インクルージョン(包含性)を強化することはがラグビー憲章、定款、そして競技に関する規定に謳われています。ワールドラグビー はダイバーシティーの重要性を確固とするために様々なレベルにおいての取り組みを行っており、世界中のパートナーとの連携を強めながらインクルージョンを促進し、インスピレーショナルな取り組みを世界に広めています:
- プレーヤーウエルフェア(プレーヤーの福利厚生)インクルージョンを奨励するための方針、及びガイドライン(ミックスドキッズラグビー、ジェンダーアイデンティティーなど)
- トレーニング及び教育、ラグビー憲章で掲げるラグビーの精神と理念を強固にするための教材
- ガバナンス改革と性平等 と 代表を奨励するためのリソース
- 国際ウイールチェアラグビー連盟や国際ゲイラグビーなどのパートナーとのより密接な連携と合意
- 世界中のラグビー支持者に向けて#MyRugbyMoment と#RugbyBuildsCharacter を使ったソーシャルメディアを通じ、インクルージョン(包含)、ダイバーシティ(多様性)、尊重に関するメッセージを発信する(例:カシミール女子ラグビー雪の中でラグビーをプレーする女子たち、 LGBT プライドフェスティバル、ウィールチェアラグビー選手, 貧困地域におけるソーシャルインクルージョンプロジェクト
ワールドラグビー 加盟協会及びリージョナルアソシエーションもインクルージョン&ダイバーシティイニシアチブの運営と促進に積極的に取り組んでいます:
- アルゼンチンの刑務所ラグビープログラムは、服役中の囚人の健康とリハビリテーションをサポートしています。
- オーストラリアラグビーの先住民コミュニティに関与しサポートするプログラム
- イングランドラグビーのインクルージョンプログラムによる包括的な情報提供
- フランスラグビーのソーシャルコヒージョンから情報及びリソースが入手できます。
- LBGTのインクルージョンを全レベルで強化するためのLGBTインクルージョン・イン・ラグビーの取り組み(ニュージーランド)
- スコットランドラグビーの混合能力/ユニファイドラグビーへのサポート
- アジアラグビーによる、アジア全土の恵まれないコミュニティのためのインテグレーテッド・ライフスキル&ラグビーカリキュラム
- オセアニアラグビーのpartnership with UN Women では男女平等を奨励
その他の組織ができること
その他の様々な組織は、スポーツから偏見と差別を排除するため以下のような取り組みや、多言語リソースやツールを作っています:
- 国際オリンピック委員会による、スポーツにおけるダイバーシティの推進、嫌がらせや性的虐待についての問題提議
- Rainbow Tick は、ダイバーシティ&インクルージョンのプロセスを満たした組織・団体に対して認定を行っています。
- Play by the Rulesは、スポーツにおける差別、嫌がらせ、子供の安全、インクルージョン&完全性に関わる問題発生の予防に関する情報、リソース、ツール、また無料で学べるオンラインコースを提供しています。
皆さまができること
あらゆるステークホルダーが一団となって取り組むことで、ラグビーが誇るスポーツ・フォー・オールの伝統を守り、ラグビーをグローバルスポーツとして発展させようというみんなの願いが現実となります。
インクルージョン&ダイバーシティ、そして#RugbyForAllをサポートするためにあなたができるいくつかの例を下記に示します:
プレーヤー、コーチ、オフィシャル、ファンを対象:
- あなたが経験したインクルージョンの実例〜それを他の人・組織とどのように共有し広めていけるでしょうか?
- あなたが目の当たりにした差別の実例はどんなものでしたか? 〜その差別をどのように取り上げることができますか? また、そのような差別の再発を予防する方法は何でしょうか?
- あなたのチーム、クラブ、コミュニティー、職場、学校、仲間にはどのくらいの多様性がありますか? 排除されている人はいますか?
- 包含的な環境作りの妨げとなるチャレンジや障壁は何ですか?
運営者やステークホルダーは下記を取り入れたさらなる取り組みが可能です:
- 現在の方針とプロセスを検証 〜それらは包含的なものですか?改善が必要な点は何ですか?
- 経験上、リーダーシップはどうでしたか?〜独裁的でしたか?リーダーシップに多様性はありましたか?リーダーは新しいアイデアを取り入れようとしましたか
- 開放的で変化を厭わない文化がありますか?
- あなたの活動に、より強いインクルージョンの文化を養うためには何ができますか?
ラグビー・フォー・オールを奨励するプロジェクトまたはプログラムに関与している方は、是非、@World Rugbyにご登録ください。または#RugbyForAllを使ってInstagramに投稿してください。ワールドラグビー はあなたのプロジェクトを応援します。詳しい情報はSpirit of Rugbyでご覧ください。