「結果はとてもタフで残念。前半、フランスにフィジカルでやられて対峙することができなかった」と話した。

 フランス戦の2週間前、10月26日に東京で行ったニュージーランド代表戦では前半20分まで先制トライを奪うなど善戦しながら、前半半ばのトライをTMOの判定で取り消されたことをきっかけに、オールブラックスに引き離されて19-64で敗れた。

 その試合の反省から、試合の局面に一喜一憂しないメンタルの改善と自分たちの良い時間をより長くすること念頭に臨んだフランス戦だったが、今回は試合開始から相手に押し込まれ、前半だけで5本のトライを許して大勢が決まった。

試合開始早々に、LOワーナー・ディアンズがキックチャージで敵陣に攻め込んだが、得点にはならず。フランスはそこからWTBルイ・ビエルビアレが裏へのキックで攻め上がり、自ら回収して先制トライを決めた。

世界ランク4位のフランスはサイズとパワーに、高いインテンシティと勢いを持って攻撃を畳みかけ、10分にCTBエミリアン・ガユトン、19分にFLアレクサンドル・ルーマ、28分にはビエルビアレが2本目を決めて、34分にはHOペアト・モーヴァカが5点を加えて、フランスが31-0と圧倒した。

 

躍動のSHデュポンは「止められない」

攻守にフランスをけん引したのは、昨年のラグビーワールドカップ以来の15人制復帰となったSHアントワーヌ・デュポン。本拠地のスタッド・ド・フランスを埋めた大観衆の前で、7人制代表として今夏のパリオリンピックでフランスの金メダル獲得に貢献した27歳キャプテンは、存在感のあるパフォーマンスを披露。後半8分には自らトライに持ち込む場面も作った。これはTMOでトライ前にノックオンがあったとして認められなかったが、大いに観客を沸かせた。

日本代表のジョーンズヘッドコーチは、「デュポンのような素晴らしいプレーヤーが前のめりになってプレーをすれば、止めることは難しい。我々はボールを持っても素早くサポートすることができて、ターンオーバーもかなり多かった」と嘆いた。

SH斎藤直人は、「接点やフィジカルの部分で受けてしまい、前半は前に出られなかったし、自分たちがやりたかったキックのラリーでも仕掛けることがなかなかできなかった」と振り返り、フランスTOP14のトゥールーズでの同僚でもあるデュポンについて、「常にスペースを探していて、うまさを感じた」と話した。

一方で、ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは、チームが見せた後半の奮闘に言及。前半の展開で気落ちしてもおかしくない状況だったが、「後半はとてもいいラグビーができていた。ハーフタイムで仕切り直してやり続けるところが見られた」と一定の評価を示した。

日本はハーフタイム以降は、途中出場選手らが絡んで勢いが生まれ、前半よりも攻撃の時間ができて2トライを返した。

1本目はハーフタイム直後のトライでフランスに6本目のトライとSOトマ・ラモスのコンバージョンで0-38とされた約10分後。WTBジョネ・ナイカブラの抜け出しを起点に左サイドに展開して、最後はSO立川理道が走り抜いてインゴールに飛び込んだ。斎藤直人がコンバージョンを成功させて7点を返した。

その直後にフランスに7本目のトライを許したが、日本は後半21分に途中出場のテビタ・タタフが決めて12-45とした。

だが、フランスは再びその直後にポール・プドゥアンが2本連続トライをマーク。ラモスも6本目のコンバージョンを成功させて52-12とした。

ジョーンズヘッドコーチは、「チームとしてまだ若いし、フィジカルで戦える力をあげなければならない。それは長期的なチャレンジだ。その中での後半の選手の努力は称えたい」と一定の評価を示した。

HO原田衛は「後半、フランスに対してもジャパンらしいプレーができたところ」をニュージーランド戦から良くなった点にあげたが、「フィジカルの部分と、それをずっと80分間やるフィットネスのところは課題」と指摘した。

世界トップランクの強豪に2試合続けての大敗となった日本だが、PR竹内柊平は「相手にスコアを取られた時や自分たちがうまくいかないときに、(選手同士で)どうコネクトするか。そこを突き詰めないとならない。いかに一つになって戦うか。今回すごくいい学びになった」と語った。

日本代表は16日に、フランスのシャンベリーでツアー第2戦となるウルグアイ代表戦に臨む。

なお、立川主将は、フランス戦の後半10分にトライを挙げた直後、足を痛めて交代していたが、11日になって離脱が日本協会から発表された。フランス戦後に「筋肉系のケガ。次の試合の出場見込みは薄いだろうとコメントしていた。

日本代表は16日に、フランスのシャンベリーでツアー第2戦となるウルグアイ代表戦に臨み、その後23日の最終戦でイングランド代表と対戦する。世界ランキングで日本は14位、ウルグアイは17位、イングランドは5位。

 

 

日本代表 フランス戦試合メンバー:

1岡部崇人(横浜キヤノンイーグルス)

 →17森川由起乙(東京サントリーサンゴリアス)、後半12分

2原田 衛(東芝ブレイブルーパス東京)

 →16松岡賢太(コベルコ神戸スティーラーズ)、後半33分

3竹内柊平(浦安D-Rocks)

 →18為房慶次朗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、後半17分

4エピネリ・ウルイヴァイティ(三菱重工相模原ダイナボアーズ)

5ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)

 →20テビタ・タタフ(ユニオン・ボルドー・ベグル)、後半14分

 →5ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)、後半24分

6下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)

7姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)

8ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)

 →19ファカタヴァ アマト(リコーブラックラムズ東京)、後半9分

9斎藤直人(スタッド・トゥールーザン)

 →21藤原 忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、後半11分

10立川理道*(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)

 →23松永拓朗(東芝ブレイブルーパス東京)、後半11分

11長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)

12シオサイア・フィフィタ(トヨタヴェルブリッツ)

 →22梶村祐介(横浜キヤノンイーグルス)、後半27分

13ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)

14ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)

15マロ・ツイタマ(静岡ブルーレヴズ)

注:* はキャプテン

 

フランス代表 試合メンバー:

1 Jean-Baptiste Gros

 →17 Reda Wardi、後半12分

2 Peato Mauvaka

3 Tevita Tatafu

 →18 Georges-Henri Colombe、後半11分

4 Thibaud Flament

 →20 Paul Boudehent、前半33分

5 Emmanuel Meafou

 →16 Julien Marchand、後半11分

6 Francois Cros

 →19 Mickael Guillard、後半1分

7 Alexandre Roumat

8 Gregory Alldritt

9 Antoine Dupont*

 →21 Maxime Lucu、後半26分

10 Thomas Ramos

11 Louis Bielle-Biarrey

12 Yoram Moefana

13 Emilien Gailleton

 →23 Gael Fickou、後半17分

14 Damian Penaud

15 Leo Barre

 →22 Matthieu Jalibert、後半11分

注意:* はキャプテン

(Photo credit: JRFU)