「この試合は我々にとって今季で一番大切な試合。準備は整っている。我々の若いチームが新たな歴史を作るビッグチャンスだ」
エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは、ニュージーランド代表との一戦を前にそう述べて、オールブラックス戦の連敗記録を7で止める意気込だ。
「キックオフから最後までの80分間、ジャパンらしい、止めることができないプレーをしたい。我々からプレッシャーをかけ続ける。それができなければ勝利はない」とジョーンズ指揮官。「自分たち史上最高の試合ができる準備ができているし、選手たちもそういうチャンスが目の前にあることを理解している」
日本代表が用意した試合登録メンバーは、9月のパシフィックネーションズカップ(PNC)を戦ったメンバーが中心。先発には昨年のラグビーワールドカップ以来の代表戦となるFL姫野和樹が入り、2番HO坂手淳史、4番LOサナイラ・ワクァは9月7日のアメリカ代表戦以来のプレー機会となる。
9番10番は「試合を重ねる度にうまくなる」と評したSH藤原忍と、所属のクボタスピアーズの同僚で代表キャプテンのSO立川理道がPNC準決勝のサモア戦、決勝のフィジー戦に続いてコンビを組む。バックスにはPNCでも活躍したCTBディラン・ライリーが入り、早稲田大学2年の矢崎由高がFBを務める。
リザーブにはノンキャップ選手が2人。PRオペティ・ヘルとSO/FB松永拓朗でインパクトプレーヤーとしてデビューを待つ。
立川はニュージーランドに対して、「自分たちから受け身にならないことが大事。隙を与えるとやられる。勝つことしか考えていない」と話している。
姫野は目標だったという代表戦に戻ってきて、「また新たな気持ちで代表ジャージを着ている。自分の持てる力と強みをどんどん出すことが大切だと思うし、それが自分の仕事」と述べて、運動量やジャッカルなど自身の良さを120%発揮したいと話している。
また、ライリーは「自分たちがラグビーをしているのはこういう大きな試合のため。長く世界のトップにいるニュージーランドを相手に、自分たちができることを示す非常に良いチャンス。チームとしていいパフォーマンスをしたいし、自分の役割を果たしてチームに貢献したい」と語った。
ニュージーランド指揮官、「今遠征のいいスタートにしたい」
一方、今回の欧州遠征で「選手層の充実を図りたい」と言うニュージーランド代表のスコット・ロバートソンヘッドコーチは、日本戦のメンバーに若手とベテランを融合させた編成を用意した。キャプテンはLOパトリック・トゥイプロトゥが務める。
経験豊富な選手では100キャップのFLサム・ケイン、79キャップのCTBアントン・レイナートブラウン、2022年にサンゴリアスでプレーしたSOダミアン・マッケンジー(56キャップ)らが先発。ジョーンズ日本代表ヘッドコーチが「閃きタイプ」と警戒するマッケンジーはこの試合が6キャップ目となるSHキャム・ロイガードとコンビを組む。ベンチには86キャップのTJ・ペレナラ、63キャップのオファ・トゥウンガファシが控える。
先発の中で最小キャップ選手はCTBビリー・プロクターで、代表デビューした7月のフィジー戦以来今回が2試合目だ。また、FL/NO8ピーター・ラカイとWTBルーベン・ラヴはリザーブからの出場で初キャップ獲得を待つ。プロクターとラヴは昨年7月にオールブラックスXVとして日本代表と対戦した。
日本でのプレー経験もあるロバートソンヘッドコーチは、現在の日本代表について「若手が結構試合に出ていて、しかも活躍している。日本代表は非常に速いゲームをするので、それに対応できるようにスキルと速さをもってプレーしたい。チャンスを得たら点を取るチームだと思う。相手をリスペクトしてやっていきたい」とコメントした。
日本代表のジョーンズヘッドコーチはオーストラリア代表を率いていた時にニュージーランド代表に勝った経験もあるが、ロバートソンヘッドコーチは「彼は選手が最大限の力を発揮できるようにする。今回も準備してくるだろう」と警戒も怠りない。
「スペースをしっかり使って、作ったチャンスを得点に結びつけること、我々が持っているスキル使って得点したい。今回はFW陣にサイズの大きい選手を揃えたので、セットピースで相手を圧倒したい」とニュージーランド代表指揮官は言う。
プロクターは、「チャンスをモノにして今後も選ばれるようにしたい」と話し、ラヴも「役割を果たしてエネルギーをもたらしたい」と意気込んでいる。
ニュージーランド代表と日本代表は2022年に東京で行われた対戦(38-31)以来の顔合わせで、これまでの7戦すべてで勝利を収めてきた。今回の日本戦後、11月にはイングランド(3日)、アイルランド(9日)、フランス(17日)、イタリア(24日)との対戦が控えている。
チームは18日からの日本での練習で「いい調整ができている」とロバートソンヘッドコーチ。「日本戦は今回の遠征の初戦。いいスタートを切りたい」と話している。
日本代表 試合登録メンバー:
1岡部崇人(横浜キヤノンイーグルス、4キャップ)
2坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ、46)
3竹内柊平(浦安D-Rocks、10)
4サナイラ・ワクァ(花園近鉄ライナーズ、7)
5ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京、18)
6ファカタヴァ アマト(リコーブラックラムズ東京、10)
7姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ、32)
8ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、12)
9藤原 忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、6)
10立川理道*(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、60)
11マロ・ツイタマ(静岡ブルーレヴズ、4)
12ニコラス・マクカラン(トヨタヴェルブリッツ、4)
13ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ、24)
14ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京、13)
15矢崎由高(早稲田大学、4)
16原田 衛(東芝ブレイブルーパス東京、7)
17茂原隆由(静岡ブルーレヴズ、5)
18オペティ・ヘル(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、0)
19エピネリ・ウルイヴァイティ(三菱重工相模原ダイナボアーズ、2)
20下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス、10)
21小山大輝(埼玉パナソニックワイルドナイツ、6)
22長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ、14)
23松永拓朗(東芝ブレイブルーパス東京、0)
注:* はキャプテン、所属のあとの数字はキャップ数
ニュージーランド代表 試合登録メンバー
1タマイティ・ウィリアムズ (Crusaders, 14 caps)
2アサフォ・アウムア (Hurricanes, 15)
3パシリオ・トシ (Hurricanes, 3)
4サム・ダリ― (Blues, 5)
5パトリック・トゥイプロトゥ** (Blues, 5)
6サミペニ・フィナウ (Chiefs, 4)
7サム・ケイン* (東京サントリーサンゴリアス、100)
8ウォレス・シティティ (Chiefs, 5)
9キャム・ロイガード (Hurricanes, 5)
10ダミアン・マッケンジー (Chiefs, 56)
11マーク・テレア (Blues, 15)
12アントン・レイナートブラウン* (Chiefs, 79)
13ビリー・プロクター (Hurricanes, 1)
14セヴ・リース (Crusaders, 30)
15スティーヴン・ペロフェタ (Blues, 5)
16ジョージ・ベル (Crusaders, 1)
17オファ・トゥウンガファシ (Blues, 63)
18フレッチャー・ニューウェル (Crusaders, 20)
19ジョッシュ・ロード (Chiefs, 6)
20ピーター・ラカイ (Hurricanes, 0)
21 TJ・ペレナラ (リコーブラックラムズ東京、87)
22デービッド・ハヴィリ (Crusaders, 28)
23ルーベン・ラヴ (Hurricanes, 0)
注:**はキャプテン、*はバイスキャプテン
所属の後の数字はキャップ数