日本は9月27日に始まるWXV2へ向けて、同じく大会へ向けて調整中のイタリアとアウェイで対戦。思うような結果を得られなかったが、大会を前に修正すべき点を確認した。

イタリアと日本は昨年もWXV2直前にウォームアップマッチでも対戦してその時は日本が25-24と競り勝ったが、その後のWXV2初戦ではイタリアが28-15で勝利した。それ以来の対戦だったが今回、点差が開いた。

勢いも良く攻勢に試合に入った日本は、前半16分にCTB大塚朱紗がPGを決めて先制したが、攻め込んでのハンドリングミスやラインアウトでの相手にボールを奪われるなどでトライには至らず。FL川村雅未は「自分たちのミスで得点できず、苦しい時間が多かった」と振り返った。

イタリアは序盤こそ押されたものの、徐々にブレイクダウンからの速い球出しで攻撃のリズムを得ると、前半30分にスクラムを起点にテンポよくパスをつないでWTB Aura Muzzoがトライ。その6分後にはFB Vittoria Ostuni Minuzziが5点を加えて12-3で前半を折り返した。

後半も開始5分でキックパスに反応したOstuni Minuzziがインゴールで押さえてリードを広げ、試合の主導権をキープ。後半20分には自陣でのラインアウトでパスを受けたMuzzoが抜け出すと、最後まで走り切って2本目のトライで24-3と点差を広げた。

日本は後半24分に松村美咲が1トライを返すにとどまった。

サクラフィフティーンは今季、WXV2と2025年ラグビーワールドカップ予選を兼ねた5月のアジアチャンピオンシップでホンコン・チャイナ代表とカザフスタン代表に連勝して優勝。2つの出場権を獲得すると、その後は6月の遠征でフィジー代表に1勝1敗とし、8月には日本国内でアメリカ代表と2連戦に臨んだ(1分け1敗)。

イタリア戦はそれ以来の試合だったが、FL長田いろはキャプテンは、今季のほかの対戦相手との違いに言及。「テンポよくスペースに運ばれて、コンタクトで前に出られずディフェンスが難しかった。ほかのチームに比べてイタリアは接点に入る際のフットワークが優れていて、個人的にやりづらく、結果的にディフェンスが受け身になった」と反省した。

また、チーム唯一のトライを決めた松村は、「フォワードとバックスそれぞれが役割を果たせたことでトライが生まれた」とチームのサポートに感謝。だが、試合全体については「細かい部分での意思統一やスキルの正確性が足りてない」と指摘して、「全員で同じ絵を見ること」と「細かい判断やスキルの遂行力」を課題に挙げた。

2週間後に活かす

WXV2が開催されるケープタウン入りを前に、9月7日に日本を出てイタリアで調整を続けている女子日本代表のレスリー・マッケンジーヘッドコーチは、「望んでいたような形で試合に入れたが、この一週間の努力や前半のプレーが反映した結果にはならなかった」と述べた。

若いチームは、望む形で良い攻撃を仕掛けていても、突然その状況が覆されると慌ててしまい、うまく対応できなくなる傾向があると指摘。そういうチームや個々の選手の側面がこの試合で確認されたと話した。

「この試合で、より多くの情報を得たので準備に活かして、ケープタウンでの大会に活用したい。自分たちの良いところと悪いところを洗い出して、2週間後の南アフリカ戦で、より良いパフォーマンスができるようにしたい」と、日本指揮官は語った。

WXV2では、日本は9月27日に開催国の南アフリカ、10月5日にスコットランド、10月11日にウェールズと対戦。イタリアは、9月28日にスコットランド、10月4日にウェールズ、10月12日に南アフリカと対戦する。

川村は、「WXVまで時間がある。反省を生かして修正したい」と話し、長田も「WXVでは私たちが準備しているものをしっかりと発揮したい」と前を向いた。

イタリア戦で表出した課題に、マッケンジーヘッドコーチは「これがWXVに向けたモチベーションの源になる」と話し、チームの奮起に期待を寄せている。

女子日本代表イタリア戦試合メンバー:

1加藤幸子 (横河武蔵野アルテミ・スターズ)

 →16小牧日菜多 (東京山九フェニックス)、後半18分

2谷口琴美 (横河武蔵野アルテミ・スターズ)

 →17公家明日香 (ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)、後半20分

3永田虹歩 (MIE PEARLS)

 →18北野和子 (MIE PEARLS)、後半7分

4佐藤優奈 (東京山九フェニックス)

5吉村乙華 (ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

 →19向来桜子 (日本体育大学ラグビー部女子)、後半11分

6川村雅未 ( - )

7長田いろは*(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

 →20細川恭子 (MIE PEARLS)、後半18分

8ンドカ ジェニファ (北海道バーバリアンズディアナ)

 →21永井彩乃 (YOKOHAMA TKM)、後半18分

9津久井 萌(横河武蔵野アルテミ・スターズ)

 →22妹尾安南 (東京山九フェニックス)、後半33分

10山本 実 (YOKOHAMA TKM)

 →23松村美咲 (東京山九フェニックス)、前半22分

11今釘小町 (ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

12大塚朱紗 (ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

13古田真菜 (東京山九フェニックス)

14香川メレ優愛ハヴィリ (ナナイロプリズム福岡)

15西村蒼空 (MIE PEARLS)

(注:* はキャプテン)

(Photo credit: JRFU)