互いに9月下旬に始まる女子国際大会WXVを控えて、一週間前の北九州での太陽生命ジャパンラグビーチャレンジシリーズ2024第1戦では日本は過去2敗していたアメリカに17-17で引き分けて、今回は初勝利を期して第2戦に臨んだ。だが、競り合いが続く中、日本は攻撃でミスが目立ち、勝負どころで決めきれず、勝機を逃した。
日が暮れても高温多湿の暑さの中、先制したのはアメリカ。前半7分に左サイドのラインアウトからモールで攻め、HOキャサリン・トレダーが押さえて5-0とした。
日本も攻勢に出て相手ゴールライン手前まで攻め込む場面も多く作ったが、パスの乱れやハンドリングエラーなどで得点に結びつけられない時間が続いた。
それでも前半29分に、FWを中心に粘り強く攻め続け、最後にNO8齊藤聖奈がインゴールに持ち込んでトライを奪い、5-5と追いついた。
その後もFB西村蒼空やCTB古田真菜らのラインブレークなどで相手陣内に攻め込み、アメリカにプレッシャーをかけ、36分にはSO大塚朱紗がPGを決めて8-5として前半を折り返した。
しかし、後半開始6分でアメリカはSOマッケンジー・ホーキンズがPGを成功させて再び8-8の同点とした。
日本は攻勢を維持して相手陣内に攻め込む場面も少なくなかったが、ミスが響いて得点には至らない。
アメリカも60分過ぎに日本のペナルティで得たラインアウトからFWを中心に攻撃を畳みかけ、ゴール目前まで迫ると、日本が守備で粘る中でトライをねじ込んだ。だがこれはTMOの確認でノートライとなった。
互いに疲れも見えるなか、日本は後半37分に自陣22メートル内でペナルティを与え、アメリカはここでショットを選択。ホーキンズが決めて試合終了直前で11-8とした。
粘る日本は、ロスタイムにペナルティを得るとラインアウトから攻撃。ゴールライン手前まで攻め込んだが、アメリカの守備に阻まれ、ペナルティを取られて万事休した。
日本は第1戦に続いて肝心なところでのミスが響き、プレー判断など試合運びにも苦戦。チャンスをものにすることができず、アメリカとの通算対戦成績は1分け3敗となった。
日本HC、WXVへ良い準備
試合後、レスリー・マッケンジー女子日本代表ヘッドコーチは、「先週と似たような課題があって、前がかりになったところでミスをして機会を逃していた。しっかり映像を見てチェックしなければならない」と指摘した。
女子日本代表の長田いろはキャプテンは、「相手の勢いに少し受けるところもあった。勝ち切るところが課題」と振り返り、WXVへ向けた強化ポイントに「敵陣に入ったらトライを取り切る」、「ディフェンスで前に相手を止め切る」の2点を挙げて今後を見据えた。
日本は9月下旬からWXV2に参戦。開催国の南アフリカ、ウェールズ、スコットランドと対戦する。
マッケンジーヘッドコーチは、WXVを念頭に今回のアメリカとの2連戦を「2週続けてフィジカルのある相手と競り合う試合ができて、とても良かった」と振り返った。
「我々にとっては国内で得難い環境であり、痛みを伴う戦いを通してゲームマネジメントを練習できる。WXVでアメリカと似たようなタイプのチームと対戦するので、今回の試合のレビューは非常に重要になる」と述べた。
サクラフィフティーン指揮官は、アメリカが毎年、世界強豪との対戦を通じて強化を図ってきている点に言及して、「そういう相手との対戦はWXVや(来年の)ワールドカップに向けて必要な準備だ。(今年の)WXVでは南アフリカ、ウェールズ、スコットランドが相手と戦うので、フィジカル面だけでなく、メンタル面、戦術面でも試される機会となる。とても素晴らしい」と語った。
アメリカ主将、ワークレートを称賛
シオネ・フコフカ女子アメリカ代表ヘッドコーチは、「80分間大変な競り合いだった。どちらが勝ってもおかしくなかった。自分たちのラグビーをもっと賢くプレーして、正しいエリアでもっとプレーしたかった」と振り返った。
女子アメリカ代表キャプテンのテス・フュリーは、先週の試合から基本に立ち返ってプレーすることを試みたと明かし、「最後まで落ち着いてプレーし、勝つことができた」と話し、チームのワークレートの高さを評価した。
「前半は40分のうち35分間は守備をしなくてはならなかった。自分たちのフィジカルの強さを出して日本の攻撃をしのいだが、ハーフタイムにもっとボールを保持して敵陣でプレーしようと話した」と述べて。
「自分たちが望んでいたほどうまくはいかなかったが、それでも自分たちのワークレートが最後、結果に結びついたと思う」と自信を漂わせた。
アメリカは9月29日からカナダで行なわれるWXV1でイングランド、フランス、アイルランドと対戦する。
女子日本代表 第2戦試合メンバー
1峰 愛美 (日本体育大学ラグビー部女子)
→16小牧日菜多 (東京山九フェニックス)、後半22分
2公家明日香 (ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)
→17谷口琴美 (横河武蔵野アルテミ・スターズ)、後半6分
3北野和子 (MIE PEARLS)
→18永田虹歩 (MIE PEARLS)、後半22分
4佐藤優奈 (東京山九フェニックス)
5吉村乙華 (ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)
→19向來桜子 (日本体育大学ラグビー部女子)、後半26分
6川村雅未 (RKUグレース)
7長田いろは*(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)
8齊藤聖奈 (MIE PEARLS)
→20細川恭子 (MIE PEARLS)、後半20分
9津久井 萌 (横河武蔵野アルテミ・スターズ)
→21阿部 恵 (ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)、後半26分
10大塚朱紗 (ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)
→23山本 実 (YOKOHAMA TKM)、後半26分
11今釘小町 (ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)
12弘津 悠 (ナナイロプリズム福岡)
→22小林花奈子 (横河武蔵野アルテミ・スターズ)、後半11分
13古田真菜 (東京山九フェニックス)
14松村美咲 (東京山九フェニックス)
15西村蒼空 (MIE PEARLS)
(注:* はキャプテン)
アメリカ代表 日本代表第1戦試合登録メンバー:
1キャサリン・ベンソン (Sale Sharks)
→17アリビア・レザーマン (Notre Dame College)、後半11分
2キャサリン・トレダー (Loughborough)
→16ペイジ・スタサポレス (Beantown)、後半0分
3メイ・サガポールー (Leicester Tigers)
→18マヤ・ラーナード (Colorado Grey Wolves)、後半27分
4エリカ・ジャレル (Sale Sharks)
→20テッサ・ハーン(Colorado Gray Wolves)、後半0分HIA
5ハリー・タフオーウ (Loughborough)
6レイチェル・エレキ (Colorado Grey Wolves)
7タリア・ブロディ (Leicester Tigers)
8フリーダ・タフーナ (Lindenwood)
→19ジェニファー・クロニッシュ(Beantown)、後半22分HIA
9ティナ・トゥクアフ(All Blues)
→21ソフィア・パーズ (Life West/Rhinos Rugby Academy)、後半17分
10マッケンジー・ホーキンズ (Colorado Grey Wolves)
11テス・フュリー* (Leicester)
12カターナ・ハワード(Sale Sharks)
→22ガビー・カントーナ (Exeter Chiefs)、後半0分
13エミリー・ヘンリッチ (Leicester)
→23ジョアン・ファーヴェッシ (Life West)、前半33分HIA
14ブロウ・マタイトガ (Loughborough)
15サライア・イバラ (USA 7s)
(注:*はキャプテン)