2027年のラグビーワールドカップヘ向けて6~7月の活動でエディー・ジョーンズヘッドコーチの下で本格始動した日本代表が、8~9月にパシフィックネーションズカップ2024に臨む。
「PNCは日本と同等レベルのチームが出場する重要な大会だ。選出可能な中で最も強いスコッドを選んだ」とジョーンズヘッドコーチは言った。
日本代表指揮官が8月7日に発表したメンバーは36人(フォワード19人、バックス16人、リハビリ組1人)。代表デビューを目指すノンキャップ選手7人には、6月のワールドラグビーU20トロフィーに出場したU20日本代表からSH村田大和(京都産業大学)、CTB海老澤琥珀(明治大学)も招集。日本代表として前回の活動でテストマッチ3試合を含む全5試合に出場したFB矢崎由高(早稲田大学)とともに、大学生3人が入った。
さらに、6~7月の活動には参加していなかった、LOエピネリ・ウルイヴァイティ(三菱重工相模原ダイナボアーズ)やLOアイザイア・マプスア(トヨタヴェルブリッツ)、昨季リーグワンのディヴィジョン1で最多トライゲッターとなったWTBマロ・ツイタマ(静岡ブルーレヴズ)らを新たに加えた。
また、大会へ向けた宮崎合宿にはリハビリ中のNO8/LOファカタヴァ・アマト(リコーブラックラムズ東京)も参加して、今後へ備える。
一方、代表キャップ20キャップ以上を保持するメンバーは、HO坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、SO松田力也(トヨタヴェルブリッツ)、CTB/SO立川理道(クボタスピアーズ船橋東京ベイ)、CTBディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)の4人に限られた。
日本ラグビー協会によると、6~7月シリーズでキャプテンを務めたFL/LOリーチマイケル(東芝ブレイブルーパス東京)は休養のため、SH斎藤直人(スタッド・トゥールーザン)とNO8テビタ・タタフ(ユニオン・ボルドー・ベーグル)は所属クラブの活動事情により招集見送りとなった。また、NO8姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)、WTBシオサイア・フィフィタ(トヨタヴェルブリッツ)、SH福田健太(東京サントリーサンゴリアス)の3選手は「ゲームフィットネス向上中のため選考外」となった。
PNCでは6チームが3チームずつ2グループに分かれて1回戦総当たりのプール戦を戦う。
日本はプールBで8月25日にバンクーバーでカナダと、9月7日に熊谷でアメリカと対戦。また、8月31日にカナダとアメリカがロサンゼルスで対戦する。また、プールAではフィジー、サモア、トンガが8月23日、30日、9月6日とそれぞれホームで1試合ずつ行う。
ファイナルシリーズは9月14日、15日、21日に日本で行われ、プール戦の順位に応じて3位チームは5位決定戦、各プール上位2チームは準決勝に進出。3位決定戦と決勝は9月21日に大阪の花園ラグビー場で行われる。
6~7月の活動では、ジャパンXVとして2連戦を行ったマオリ・オールブラックス戦は1勝1敗だったが、イングランド、ジョージア、イタリアとのテストシリーズは3戦全敗に終わった。PNCでは現体制での初勝利も期待される。
再建プロジェクトの第2段階
「日本ラグビーを再構築するプロジェクトの第2段階になる。(6~7月の)夏のシリーズからさらに向上を続けたい」というジョーンズヘッドコーチは「ゲームの基礎の向上」を課題に挙げた。
「イタリア戦ではポゼッションの40%でターンオーバーをしていたが、そのエラーの数ではどんな試合も勝てない。ゲームの基礎の向上に取り組みたい。我々のチームは若く、ペース、スピードに乗って超速ラグビーを実現するために、ボールを保持して得点機会を迎えたときにも落ち着いてプレーを遂行できるようにしたい」と述べた。
日本代表指揮官は、「超速ラグビーを発展させてそれぞれの試合を高いレベル、高いインテンシティで戦ってPNCで優勝したい。それがターゲットだ。テストラグビーに臨むからには勝ちたい」としながらも、チームが発展途上にある点を指摘する。
「我々は現在、とても重要な発展段階にある。多くの若手を起用していて、彼らが世界トップ4に求められる安定したプレーを身につけるには忍耐も時に必要だ。
「前回のワールドカップから日本ラグビーが変わらなくてはいけないことは明らかだった。今は、我々が若手の育成に投資をする時期だ。彼らが日本の力になると信じている」と語った。
チームは8月10日からの宮崎での合宿を経てカナダへ渡航。現地で初戦に備える。なお、キャプテンは合宿開始後、追って発表される。
日本代表 宮崎合宿&カナダ遠征メンバー
FW(19人):
岡部崇人 (横浜キヤノンイーグルス、2キャップ)
三浦昌悟 (トヨタヴェルブリッツ、9)
茂原隆由 (静岡ブルーレヴズ、3)
坂手淳史 (埼玉パナソニックワイルドナイツ、44)
原田 衛 (東芝ブレイブルーパス東京、3)
松岡賢太 (コベルコ神戸スティーラーズ、0)
木津悠輔 (トヨタヴェルブリッツ、5)
竹内柊平 (浦安D-Rocks、6)
為房慶次朗 (クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、3)
エピネリ・ウルイヴァイティ (三菱重工相模原ダイナボアーズ、0)
桑野詠真 (静岡ブルーレヴズ、1)
サナイラ・ワクァ (花園近鉄ライナーズ、5)
ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京、14)
サウマキ・アマナキ (コベルコ神戸スティーラーズ、5)
下川甲嗣 (東京サントリーサンゴリアス、6)
ティエナン・コストリー (コベルコ神戸スティーラーズ、2)
アイザイア・マプスア (トヨタヴェルブリッツ、0)
山本 凱 (東京サントリーサンゴリアス、1)
ファウルア・マキシ (クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、8)
BK(16人):
小山大輝 (埼玉パナソニックワイルドナイツ、2)
藤原 忍 (クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、2)
村田大和 (京都産業大学、0)
松田力也 (トヨタヴェルブリッツ、39)
李 承信 (コベルコ神戸スティーラーズ、14)
海老澤琥珀 (明治大学、0)
根塚洸雅 (クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、2)
立川理道 (クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、56)
サミソニ・トゥア (浦安D-Rocks、3)
長田智希 (埼玉パナソニックワイルドナイツ、10)
ニコラス・マクカラン (トヨタヴェルブリッツ、0)
ディラン・ライリー (埼玉パナソニックワイルドナイツ、20)
マロ・ツイタマ (静岡ブルーレヴズ、0)
ジョネ・ナイカブラ (東芝ブレイブルーパス東京、11)
矢崎由高 (早稲田大学、3)
山沢拓也 (埼玉パナソニックワイルドナイツ、9)
リハビリテーション組(1人):
ファカタヴァ・アマト (リコーブラックラムズ東京、7)
(注:所属のあとの数字はキャップ数)