「いい準備ができている。試合を楽しみにしている」

 8年ぶりに日本代表を率いるジョーンズヘッドコーチは、復帰初戦で2015年から2022年まで指揮を執ったイングランド代表との対戦を前に、そう言った。

 「我々は今回、日本のラグビーを変えなければいけないという思いでスタートしている。それで若手の起用を選択した」と述べて、先発4人を含めて8人が代表デビューという若いチーム編成に言及した。

 チームは2027年ラグビーワールドカップを目指して、ジョーンズヘッドコーチが掲げる「超速ラグビー」の導入と世代交代に着手。20歳の大学生、矢崎由高選手を抜擢し、フロントローにもPR茂原隆由選手とHO原田衛選手が今回初キャップとなる。

 ジョーンズヘッドコーチは矢崎選手について、指揮官自身も現地視察した4月のパシフィック・チャレンジで「ベストプレーヤーだった」として6月6日から始まった代表チームの宮崎合宿に練習生として招集。「練習ごとに成長している選手で、メンタル面も対応できる選手。日本代表として素晴らしい可能性がある」と高く評価している。

リザーブにもPR為房慶次朗選手、FL山本凱選手、SH藤原忍選手、CTBサミソニ・トゥア選手が入り、代表デビューの機会を待つ。加えて、5キャップ以下の選手もWTB根塚洸雅選手ら先発に4人、リザーブに1人という若い編成となった。

一方で、キャプテンのLOリーチマイケル選手(84キャップ)、SH斎藤直人選手(同19)、SO李承信選手(同11)、CTBディラン・ライリー選手(同18)らワールドカップ経験者7人も名を連ねている。

 

経験豊富な選手を揃えたイングランド

 チーム全体を見ると、キャップ数ではイングランドの522に対して日本は169。先発の第1列だけ見ても日本はPR竹内柊平選手の3に対して、イングランドはHOジェイミー・ジョージ選手(90)とPRダン・コール選手(112)だけでも202を数える。

 かつてジョーンズヘッドコーチの下でイングランド代表だけでなく日本代表でもFWコーチも務めたスティーブ・ボズウィックが率いるイングランドは、この二人のほかにも昨年のワールドカップで4位に入ったチームから、LOマロ・イトジェ選手らFWを中心に11人が名を連ね、SHアレックス・ミッチェル選手とSOマーカス・スミス選手が9番10番を務める。

 ボズウィックヘッドコーチは、「我々は新しいスコッドで、日本戦は次のステップとして若手育成の機会でもあり、とても重要な位置づけを持つ」とコメント。

 ジョーンズヘッドコーチに呼ばれて日本代表で一緒に仕事をしてから指導者の道を歩んでいるイングランド指揮官は、「日本代表での経験を通してゲームへのアプローチはいろいろあり、様々な角度で見ることができるようになった。それが今に活きている」と振り返る。

 今回の対戦については、「エディーはスキルとタレントを備え、よく組織されたチームを用意してくるだろう。かなりチャレンジングな試合になるだろうが、そこを基盤としてこれから次へ向けて積み上げていきたい」と話している。

ジョーンズヘッドコーチは、「イングランドはスティーブ・ボズウィックの下で3年を過ごし、我々は若干10日でギャップがあることは認めるが、言い訳はしない。我々はかなり若い選手が多いが、現状でベストの選手を選んだ」とチームへの期待を口にする。

「難しい試合になることはわかっている。だが、自分よりも強い相手と対戦することでしか成長できない。この試合で得るものは、我々の若手にとっては素晴らしいものになるはずだ。イングランドは伝統的にセットピース、キック、キックチェイスが強く、ラインスピードも上がっている。我々が現状を確認する上でこれ以上の相手はいない」と話す。

日本代表指揮官は、「我々は最後の瞬間までイングランドを追い詰めて接戦に持ち込みたい。我々がうまくできれば勝利を手にできるし、うまくできなければ、どこを修正すべきかが明らかになる」と語る。

 

日本代表キャプテンはリーチ選手

 ジョーンズヘッドコーチはチームのキャプテンにリーチ選手を指名。「非常に若いチームなので、経験豊富なキャプテンが必要。フィジカルコンディションも全く問題ない」と述べた。

 第1期ジョーンズ体制で戦った2015年ワールドカップ、後任のジェイミー・ジョセフヘッドコーチ体制で臨んだ2019年ワールドカップでもキャプテンを務めていたリーチ選手は、再びの指名に「責任も感じているし誇りにも思う。このチームで勝ちたいという意欲が一番強い。超速ラグビーで新たなラグビーの革命を起こす。それをエディーさんと一緒にやりたい」と意気込んだ。

イングランドは昨年のラグビーワールドカップで4位。日本はプール戦(12⁻34)での対戦を含めてこれまで11戦全敗している。

リーチ選手は、「新しくチャレンジする超速ラグビーで強い相手にぶつかるチャンス。80分の試合で、どこでコントロールするかが大事になる。そこを集中してやりたい」と語っている。

9番を務める斎藤選手は、「イングランドの土俵で戦わないこと」と話し、高い気温と湿度の中での試合になることを想定して「相手は疲れると思う。それまで我慢して、ギアを上げられるか。9番としてリードしたい。少しでもチャンスがあれば果敢に仕掛けたい」と話している。

 試合は6月22日、東京の国立競技場にて14:50キックオフの予定。RugbypassTVで無料配信で視聴可能だ。

 

 

日本代表イングランド戦試合登録メンバー:

1 茂原隆由 (静岡ブルーレヴズ、- caps)

2 原田 衛 (東芝ブレイブルーパス東京、―)

3 竹内柊平 (浦安D-Rocks、3)

4 サナイラ・ワクァ (花園近鉄ライナーズ、2)

5 ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス、11)

6 リーチ マイケル*(東芝ブレイブルーパス東京、84)

7 ティエナン・コストリー(コベルコ神戸スティーラーズ、-)

8 ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、5)

9 斎藤直人(東京サントリーサンゴリアス、19)

⒑ 李 承信(コベルコ神戸スティーラーズ、11)

11 根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、1)

12 長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ、7)

13 ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ、18)

14 ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京、8)

15 矢崎由高(早稲田大学、―)

16 坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ、41)

17 三浦昌悟(トヨタヴェルブリッツ、9)

18 為房慶次朗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、-)

19 サウマキ アマナキ(東京サントリーサンゴリアス、3)

20 山本 凱(東京サントリーサンゴリアス、―)

21 藤原 忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、-

22 松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ、37)

23 サミソニ・トゥア(浦安D-Rocks、x)

注意:*はキャプテン 所属の後の数字はキャップ数

 

 

イングランド代表試合登録メンバー:

1 べヴァン・ロッド (Sale Sharks, 5)

2 ジェイミー・ジョージ* (Saracens, 90)

3 ダン・コール (Leicester Tigers, 112)

4 マロ・イトジェ (Saracens, 81)

5 ジョージ・マーティン (Leicester Tigers, 12)

6 チャンドラー・カニンガムサウス (Harlequins, 4)

7 サム・アンダーヒル (Bath Rugby, 35)

8 ベン・アール (Saracens, 30)

9 アレックス・ミッチェル (Northampton Saints, 15)

⒑ マーカス・スミス (Harlequins, 32)

11 トミー・フリーマン (Northampton Saints, 8)

12 オリー・ローレンス (Barth Rugby, 24)

13 ヘンリー・スレード (Exeter Chiefs, 62)

14 イマニュエル・フェイワボソ (Exeter Chiefs, 3)

15 ジョージ・ファーバンク (Northampton Saints, 9)

16 セオ・ダン (Saracens, 12)

17 ジョー・マーラー (Harlequins, 93)

18 ウィル・スチュアート (Barth Rugby, 38)

19 チャーリー・ユールズ (Bath Rugby, 30)

20 トム・カリー (Sale Sharks, 50)

21 ハリー・ランドール (Bristol Bears, 6)

22 フィン・スミス (Northampton Saints, 2)

23 トム・ローバック (Sales Sharks, 0)

注意:*はキャプテン 所属の後の数字はキャップ数