今季SVNSレギュラーシーズンを9位で終えて、9~12位チームとワールドラグビーHSBCセブンズチャレンジャー2024の上位4チームによる残留・昇格をかけたプレーオフへ回っていた。
5月31日に始まった3日間の大会で、プールA初戦のポーランド戦で中村知春選手と堤ほの花選手が2トライずつ決めるなどで32-0で圧勝し、好発進。第2戦で、チャレンジャー3大会を全勝で制してプレーオフ出場を決めた中国に14-17と競り負けたものの、2日目の第3戦でホスト国のスペインを大竹風美子選手、堤選手、平野優芽選手のトライで後半突き放し、26-14で勝利。2勝1敗の2位でプール戦を終えて、勝てば残留決定となる最終戦に臨んだ。
日本はプールBを3位で終えたアルゼンチンと対戦。前半早い時間帯に田中笑伊選手と中村選手のトライなどで12-0とリードを奪ったが、ハーフタイムを挟んで前半終盤と後半早々にTaila Rodichに2連続トライを決められて12-12と追いつかれた。
しかし、直後にアルゼンチンのMicaela Palleroがイエローカードを受けると、日本は数的優位を活かして攻撃。後半から登場した大竹選手が左サイドでパスを受け、相手の追跡を振り切ってインゴールまで走り抜け、中央にトライを決めて均衡を破った。
日本はその2分後にも加点。相手のキックを回収した自陣22メートル付近から攻めて、フィールド中央付近でのブレイクダウン出した平野選手のパスを受けた中村選手が抜け出して、ポスト間で押さえてトライ。西選手が2本連続で2点を加えて26-12とし、SVNS残留を決めた。
中村選手は試合後、「タフな試合になることは分かっていたが、実際に厳しい試合だった。勝ててほっとしている」と言った。
「昇格のかかった大会はプレッシャーのコントロールが難しく、試合前半で相手の勢いに受け身になってしまう場面が多くあった」とメンタル面での機微が試合に影響した点に言及。「特にプール戦での一敗は非常に悔いが残る」と振り返り、今後への課題という認識を示した。
後半から登場してインパクトを与えた大竹選手は、「負けられないプレッシャーのかかる試合を勝って終われたことは本当に良かった。ワールドシリーズは本当に特別で尊い場所。その出場権を得るための大事な大会だったが、『未来のサクラセブンズのために』という一心で、チーム全員で戦い抜くことができた」と喜んだ。
平野キャプテンは、チームメイトへの感謝を口にした。
「ワールドシリーズ残留をかけて絶対に負けられない大会でプレッシャーもある中、最後まで走り続け、体を張り続けてくれた。残留を決めてパリ・オリンピック後のサクラセブンズへ繋げることができた」
次の目標となるオリンピックへ向けては、「パリでのメダル獲得にはまだまだ成長すべきところや課題はあるが、最後まで自分たちのラグビーを信じて、残りの期間で質を高めていきたい」と語った。
中国女子、ウルグアイ男子も来季SVNSへ
来季SVNSへの出場を決めた女子チームは、日本のほか、中国、スペイン、ブラジルとなった。
中国はプールAを3戦全勝で勝ち抜いてベルギーに33-0で勝ち、今季総合12位だったスペインは地元ファンの声援を味方に、プールBを2位で抜けた今季11位の南アフリカに22-0で勝利。今季10位でプールBを首位突破したブラジルはポーランドを38-7で下した。この結果、南アフリカが中国と入れ替わる形で降格となった。
男子ではアメリカ、ケニア、ウルグアイ、スペインの参戦が決まった。
アメリカはサモアに40-14で勝って、チャレンジャー2024総合2位のケニアがドイツに33-15で勝利。チャレンジャー2024総合優勝のウルグアイはチリとの接戦を12-10で制して、また、スペインはカナダを22-14で退けて、SVNS 2025の出場権を獲得した。
アメリカ(今季総合9位)とスペイン(同10)は残留を決めたが、サモア(今季総合11位)とカナダ(同12位)は降格となった。
なお、プレーオフで来季出場権を獲得できなかったチームは、各地域の予選でワールドラグビーHSBCセブンズチャレンジャー2025への出場権を獲得し、次のSVNS昇格を目指す。