世界の男女トップチームが集結して、今季SVNS最後の戦いがマドリードで行われる。グランドファイナルでは、今季のHSBC SVNSレギュラーシーズンの上位8チームがシーズン王者の座をかけた戦いに臨み、プレーオフでは全7戦のSVNSレギュラーシーズンで9位から12位までのチームとワールドラグビーHSBCセブンズチャレンジャー2024の上位4チームがSVNS 2025への残留と昇格をかけて戦う。今季から導入された方式だ。

SVNS 2024で総合9位となったサクラセブンズはプレーオフに参戦。チームの成長にとって不可欠な大会と捉えているだけに、意気込みは強い。

サクラセブンズの平野優芽キャプテンは、「ワールドシリーズ残留というオリンピックの次に大事な戦いがある。そこでしっかり勝って、来季のシリーズで戦う舞台をしっかり手にすることが私たちのターゲット」と話す。

女子日本チームは今季SVNS第6戦の香港で7位、最終戦のシンガポールでは6位と2大会連続でベスト8入り。後者ではベスト4進出へあと一歩に迫るなど、シーズン終盤は結果が伴うようになってきた。

「シーズン終盤になるにつれて相手の強度などにも慣れて、自分たちのラグビーを出せる場面が増えていった」と平野は言う。

「粘り強くディフェンスできているし、選手個々の強みを活かしながらチャンスを作るところはずっと取り組んできた。トライにつなげることができている」と手ごたえを覚えている。

今回のプレーオフでは日本はプールAに入り、中国、ポーランド、開催国のスペインと対戦する。平野は「すごく厳しい戦いが待っている」と言う。

中でも中国は、チャレンジャーシリーズ3大会すべてに優勝してプレーオフへ進出。日本とは昨年11月のオリンピック予選でもしのぎを削った相手で、その対戦では日本が21-14 で勝利してパリ行きのチケットを手にした。

また、スペインは今季SVNSでは12チーム中12位だったが、今回は開催国としての地の利がある。

女子スペインのAnne Fernandez de Corres主将は、「ワールドラグビーの大会で、初めてホームで戦える。とてもワクワクしている。非常に厳しい1年だったけど、ハードワークを続けてきてチームはいいところにあると思う。HSBC SVNS残留は私たちにとって今季の最大目標。しっかり準備して自身はあるので、1試合ずつ臨みたい」と話している。

「すごく厳しい戦いが待っている」という平野は、中国のチャレンジャーシリーズでの戦いに言及して「圧倒的に強かった。自分たちにとってもすごく脅威な相手」と警戒する。

しかし、「私たちがオリンピックでメダル獲得を目指すには、そういう相手にもしっかり勝たないとメダルは無理」とキッパリ。「プレッシャーを感じる戦いでも、しっかりと自分たちのラグビーをして、優勝できたらいい」と強い意気込みを見せている。

サクラセブンズ元主将の中村知春も、「SVNSのワールドシリーズのスポットをキープすることは、チームの成長にとって重要。誰が出ても一定のレベルで戦えるところに来ているし、勝ちパターも見えてきた。それは今季一番の大きな収穫」と言う。

中村はアイルランドに言及して、「数年前まで買ったり負けたりしていた国が(今季パース大会のようにシリーズの)大会で優勝できるようになったのは、コンスタントにシリーズを経験してきたから。私たちにとって良い例」と指摘。「ワールドシリーズでコンスタントに戦えることがオリンピックのメダルにつながっている。それしかないと思っている」と語っている。

女子プレーオフのプールBでは、ブラジル、アルゼンチン、南アフリカ、ベルギーが戦う。

また、男子プレーオフでは、プールAでアメリカ、カナダ、ドイツ、5月中旬にチャレンジャー2024で優勝したウルグアイが対戦。プールBでは、開催国のスペイン、サモア、ケニア、チリが顔を合わせる。

プール戦の結果により、A組1位はB組4位、A組2位はB組3位、A組3位はB組2位、A組4位はB組1位という組み合わせで順位決定戦が行われ、勝ったチームが来季のSVNS出場権を獲得し、敗れたチームは次の機会へ向けてチャレンジャー2025でのプレーとなる。

グランドファイナル、今季SVNS王者が決まる

グランドファイナルのプール戦は4チームずつ2グループに分かれて対戦。各組上位2チームが準決勝へ進出。3位と4位のチームは5位から8位までを決める順位決定戦へまわる。

男子プールの組み合わせは、プールAではレギュラーシーズで優勝したアルゼンチンがオーストラリア、フランス、英国と対戦。レギュラーシーズン2位に入ったアイルランドはプールBで2023季シリーズ覇者のニュージーランド、オリンピック2大会連続金メダルのフィジー、南アフリカと対戦する。

「とても良い準備ができている」という男子アイルランドのHarry McNulty主将は、「魏ランドファイナルは違うものだし、2位に入ったすばらしいシーズンをしっかり締める機会になる。スタジアムもエネルギー感があって素晴らしい」と述べる。

「プール戦はとても難しい戦いになると思うので、大会を通して動ける準備ができていなければならない。今季は上位8チームすべてがメダルのかかった試合をやっているので、どこのチームにも勝つチャンスがある」と語っている。

アイルランドにはオリンピックを睨んで15人制代表FBのHugo Keenanが合流。また、自国開催のオリンピックで金メダル獲得を狙うフランスも、15人制代表で活躍するAntonine Duponの合流後、年明けから調子を上げ、ロサンゼルスでの第5ラウンド優勝を含めて3ラウンド連続で表彰台を経験している。

一方、女子のグランドファイナルでは、プールAにレギュラーシーズン優勝のニュージーランド、アメリカ、カナダ、英国が入り、プールBでは同2位のオーストラリア、前回オリンピックで銀メダルを獲得したフランス、フィジー、1月のパース大会優勝のアイルランドが競う。

女子オーストラリアのCharlotte Caslick主将は、「チームの感じはいい。(最終戦の)シンガポールで怪我人が出たが、この大会でどこまでできるか楽しみにしている。勝者総取り方式なので、チームはビッグマッチに興奮している。できれば、決勝でニュージーランドと対戦したい」と述べて、「大会上位8チームの戦いなので、どの試合もとてもタフなものになるだろうし、素晴らしいものになるだろう」と話している。

HSBC SVNSグランドファイナルとプレーオフは、各地のTV放送またはRugbyPass TVで視聴できる。