• ラグビー関係者は、新たな観客層を魅了し、ラグビーを成長させるために、エンターテイメント性の向上にコミット
  • 「シェイプ・オブ・ザ・ゲーム行動計画」の任意的試験実施ルールの実施に加え、ラグビー界の専門家たちとの包括的な協議・検討プロセスを経て行った競技規則改定の承認
  • 2024年7月1日に開始する競技規則改定と任意的試験実施ルールを含め、今後1年間で段階的に実施する行動計画の中心にあるのは、スペクタクルの向上、安全性の向上、ゲームの簡素化
  • レッドカードの制裁プロセスを合理化し、2024年にワールドラグビー所有の大会で試行
  • テレビマッチオフィシャルプロトコル、タックル/ラックエリア、交替要員の人数、エリートゲームにおけるタックルの高さ、用語など、競技の新たな側面を検討するためのラグビー競技規則ラボ、および専門家ワーキンググループ設立
  • 今回の発表は、レフリーによる「ユーズイット」コールの迅速化、スクラムでのブレーキフットの強化、ウォーターキャリアの慣行の再検討など、ゲームの流れを助けるための既存の競技規則強化に続く

ワールドラグビー理事会は、2024年7月1日から施行される競技規則改定案を承認し、エンターテイメントとしてのラグビーの価値を再構築する大規模な取り組みが引き続き行われます。

オープンプレーでのキックからのオフサイド、フリーキックからの選択肢、タックル/ラックエリアからプレーヤーを離す「クロコダイルローリング」の廃止に関する3つの新しい規則変更は、プレーヤーウェルフェアの担保と共に、ボールの流れや攻撃の選択肢の多様性を促進することを目的としています。

行動計画の段階的展開継続

この承認は、ラグビーの視聴者シェアを拡大するためにラグビー全体で行う変革計画、シェイプ・オブ・ザ・ゲーム行動計画の実施における最新段階を意味します。この計画は、フィールド上での革新と、説得力のあるストーリーテリングによるラグビーの新たな表現方法を取り入れることで、より多くの若いファン層にラグビーを身近なものにし、ラグビーとの関連性を高めることを目指しています。

今回の規則改定は、先に発表された 現行の競技規則の強化 や任意で参加する試験実施ルール、また、専門家によるワーキンググループや新設したラグビー競技規則ラボを通じた今後の競技規則の刷新(すべて3月のワールドラグビーのエグゼクティブボードが承認)と合わせて、ファンやプレーヤーが不満を抱いている共通の課題に対処するための総合的なアプローチの一環となります。例えば、キックテニスの蔓延やスペース、キャタピラーラックからのスローボール、テクノロジーの使用、セットプレーのデッドタイムなどです。

このプログラムは観客層を拡大することでラグビーを成長させるという、ラグビーの中心的使命の中核をなすもので、各国の協会や大会運営者、そして大学、プレーヤーの支援を受けて展開しています。

ゲームについて(字幕付き)
ワールドラグビー CEO アラン・ギルピンが「シェイプ・オブ・ザ・ゲーム」フォーラムとその成果について語ります。

202471日施行の競技規則の改定とは?

2024年7月1日以降に開催される大会では、観戦性と安全性の両方に重点を置き、スピードのある攻撃的なボールの推進を目的とした3つの競技規則の修正を実施する:  

  • オープンプレー中のキックからのオンサイド: オープンプレーにおけるキックからオンサイドになるプレーヤーに関する競技規則7が書き換えられることで 、相手側のプレーヤーがボールをキャッチして5メート ル走ったとき 、またはボールをパスした場合、プレーヤーはオンサイドにならなくなる。競技規則10.1および10.4により、オフサイドプレーヤーは後退を試み、相手側プレーヤーのプレーするスペースを作らなければならないことが明確になる。これにより、試合中のキックテニスが減るはずである。
  • フリーキック: 競技規則3により、フリーキックの代わりにスクラムを選択することはできなくなる。フリーキックは、よりボールの流れを促すために、タップするかキックしなければならない。
  • 「クロコダイルロール」の禁止:タックルエリア内で、足でプレーヤーを転がしたり、ひねったり、引っ張ったりする行為(「クロコダイル・ロール」)を禁止し、ペナルティを科す。

今年、ワールドラグビーの各大会で任意的試験実施ルールがスタート

一方、ワールドラグビーは、2024年7月1日からワールドラグビーU20チャンピオンシップ、U20トロフィー、パシフィック・ネーションズカップなど、ワールドラグビーが運営する大会で実施される6つの任意的試験実施ルールに関する詳細を発表しました。各協会と大会オーナーは、この試験実施ルールへのオプトインを申請することができます。11月に開催されるエグゼクティブボードで、試験実施ルールの効果に関する詳細なレビューを行い、その規則変更を、より広範に実施するかどうかの決定に反映させます。

  • フィールド内外での制裁プロセスを改訂することにより、簡素化、一貫性、ファンの理解が深まる。このことで、レッドカードによるオフフィールド制裁を自動的に強化することができることと、レッドカードを受けた選手を20分後に交代させることができることが特徴。
  • スクラムとラインアウトの設定の持ち時間を30秒にし、ショットクロックを導入。コンバージョンキックでの持ち時間は60秒[30秒の短縮]。
  • アメリカのメジャーリーグ・ラグビー、ニュージーランドのエリートおよびコミュニティ大会での試行が成功したことを受け、スクラム、ラック、モールのベースにおける9番の保護を行う。9番は、ボールがタックル、ラック、モールの近くにある間はプレーすることができず、スクラムに参加していないスクラムハーフのオフサイドラインはトンネルの中央となる。
  • リスタートから22mラインの内側でボールをマークすることができ、攻撃のオプションを促進する。
  • モールが2回ではなく1回止まった時点でボールをプレーしなければならない
  • 試合の流れを促進するため、ラインアウトがノンコンテストである場合に限り、ボールがまっすぐ投げられなかった場合でもプレーを続行する。

将来の革新に向けた専門家ワーキンググループを設置(202411月までに作業完了予定)

将来に向けて、「シェイプ・オブ・ザ・ゲーム」フォーラムで特定されたゲーム強化の分野をさらに検討するため、専門家ワーキンググループが設置されました。勧告事項は11月の理事会に提出されます。

  • タックル/ラック/ブレイクダウン:スペクタクルと安全性というレンズを通し、ブレイクダウンを大幅に見直す。例えば、床でのボール争奪が与える影響、また、立った状態で進むゲームとは対照的なジャッカリングの慣習など。
  • テレビマッチオフィシャル(TMO)プロトコル: 一貫性と独立性を促進するためTMOプロトコルに与える権限の最適な権限を決定し、技術プロバイダーに対して新たな最低基準を設定する。
  • 交代要員の人数 :エリートラグビーの試合における選手の疲労の影響、また交替人数と交替のタイミングに関する最新の研究を調査し、損傷発生率を改善しつつ、フィールドにより多くのスペースを作る可能性のある選択肢を決定する。
  • ファン体験: ラグビーをどのように売り込むか、すべてのメディア環境において一貫したアプローチでラグビーを紹介し、ファンが本当に興味を持つ試合の瞬間に焦点を当てることで、ラグビーの視聴者シェアを拡大する。これには、ゲーム内で使用される言葉、観客にとって障壁となりうる言葉や専門用語に関する詳細な見直しも含まれる。
  • エリートラグビーにおけるタックルの高さ: 世界の11カ国の協会が実施したコミュニティラグビーにおけるタックルの高さの試験実施ルールの結果を慎重に検討し、プレーヤーの安全を中心に、さまざまな基準でエリートラグビーに適切なものかどうかを検討する。

将来的な革新の可能性をテストするための新しいラグビー競技規則ラボを設立

ワールドラグビーが新たなルール革新をコントロールされた環境でテストし、データと選手のフィードバックで評価することを可能にする新設ラグビー競技規則ラボは、試合のスピードや安全性に影響を与えるゲームの側面について調べるために活用されます。これらの側面には、スクラムのエンゲージメントの安定性やタックル/ラックエリアの強化などが含まれます。

ワールドラグビーのサー・ビル・ボーモント会長は次のように述べています。 「ラグビーのエンターテインメント要素に関するこの包括的な見直しの精神を受け入れてくれた、ラグビー界の同僚たちに感謝したいと思います。 新たに発足する大会や男子・女子ラグビーワールドカップを含め、2033年までのカレンダーがすべて確定したことで、私たちの主要大会は定義され、内容も決まりました。」

「前例のない長期的な確実性が担保でき、また、この作業はフィールド上のラグビーが、私たちの目の前にあるチャンスにふさわしいものであること、そしてプレーしても観ても楽しい素晴らしいスポーツであり続けること、ラグビーに夢中になる新しい世代を惹きつけるのに役立つものであることを保証するために不可欠な取り組みです。」

「個人的には、競技規則の改定と、一連の任意的試験実施ルールは、エンターテインメント性を高めるものだと信じています。すべての試験実施ルールで行っているように、私たちはその効果を総合的に検証し、ゲーム全体からのフィードバックに耳を傾けます。レッドカードの制裁プロセス改定もその一例であり、試行、評価、そしてデータとフィードバックに基づいた明確な決定を下すということが重要です。」