ワールドラグビーパシフィック・チャレンジ2024が4月10日、15日、20日にサモア首都のアピアで行われ、フィジー・ウォリアーズ、マヌア・サモア、トンガA代表とジャパンXVが参戦する。

各チームは28人のスコッドのうち23人が23歳以下のメンバー、残る5人が年齢上限なしのオーバーエイジ枠適用可能という編成で、近い将来のフル代表入りを目指す選手たちが1回戦総当たりの勝ち点制で優勝を競う若手育成のための大会だ。太平洋諸島3チームで頭角を現した優秀選手には、ハイパフォーマンス育成プログラム参加の道も用意されている。

試合は全てアピア・パークで行われ、10日に昨年の大会で10度目の優勝を遂げたフィジー・ウォリアーズとトンガA代表との対戦で幕を開け、同日、ジャパンXVは開催国のマヌア・サモアと第2試合で対戦する。その後、15日にはフィジー・ウォリアーズとジャパンXV,マヌア・サモアとトンガA代表、最終日の20日にジャパンXVとトンガA代表、マヌア・サモアとフィジー・ウォリアーズが顔を合わせる。

日本は今年7月にスコットランドで開催されるワールドラグビーU20トロフィーに出場するU20日本代表候補選手を主体に、オーバーエイジ(OA)4選手を加えたメンバー編成で参戦。夏の大会へ向けたチームづくりとして選手の経験値アップとともに、2020年以来となるパシフィック・チャレンジ2024で優勝を目指している。

今回のチームを率いるU20日本代表の大久保直弥ヘッドコーチは、今大会での目標について「2020年以来の優勝と、次(2027年)のワールドカップにここから何人の選手が行ってくれるか」と語る。

指揮官は7月のU20大会を見据えつつ、「僕らが考えている日本が世界で勝つことに対して、(選手たちは)みんなプライドを持っている。それを出し切ってプレーしてもらいたい」と期待を口にした。

「若い選手の失敗はすべてが学び」という大久保ヘッドコーチは、主将の役目もオーバーエイジからではなく、U20メンバーのFL太安善明選手(天理大学)に託した。

太安選手は主将指名に、「なるとは思っていなかったので驚き」と戸惑いながらも、日本代表として臨む初めての大会へ気持ちを引き締める。

「日本を背負っている。一番は気持ちだと思うので、勝つマインドをしっかりセットして、自分ができるプレーを精一杯やりたい」と話す。

主体となるU20代表チームは今年2月から候補合宿を繰り返し、埼玉ワイルドナイツやトヨタヴェルブリッツ、コベルコスティーラーズ、近鉄花園ライナーズというリーグワン勢との合同練習で練習試合も実施した。これらの対戦を通して、速いテンポでの守備など「相手よりも速く動き続ける点は試合を重ねるごとに良くなっていった」(太安選手)と手ごたえも覚えている。

OA青木選手、「チームにエナジーを与えたい」

一方、HO佐藤健次選手(早稲田大学)、SH土永旭選手(京都産業大学)、CTB秋濱悠太選手(明治大学)とともにオーバーエイジで参加するLO青木恵斗選手(帝京大学)は、「プレーなど僕らの方が経験はあると思うので、自分のプレーをしっかり徹底して、チームにいいエナジーや影響を与えられたら」と言う。

今大会で日本が対戦する3チームはフィジカルの強さでも知られており、青木選手は日頃はできないチャレンジに心を躍らせている。

「今後、自分がラグビーをする上ですごくいい経験になると思う。自分自身のコンタクトレベルがどこまで通用するか。すごくワクワクしている。それ以外の部分での仕事でもチームに貢献したい」と意気込んでいる。

日本チームは今回、気候の異なる地域での大会に向けて、渡航前の合宿中にホテル内に気温や湿度を調節できる設備を設けて暑熱対策を図った。6日からは現地で調整を続けている。

また、大会開催地のサモアへの出発前に千葉県内で行われた合宿での練習には、エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチも視察に訪れ、練習の合間に選手に声をかけるなど、若手のプレーに目を光らせていた。

日本代表の強化に若手の成長が不可欠と説くジョーンズヘッドコーチは、サモアの大会にも足を運んで日本の試合を見る予定だ。

ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは、「もちろん、日本が優勝するところ、勝つところを見たいと思っているが、このチームは育成チーム。若い選手がどのように成長を遂げていくのかを見ていきたい」と語った。

今大会、日本チームにとっては7月のU20トロフィーへ向けた絶好の強化の機会であり、選手にとっては成長や力量発揮で今後のセレクションへアピールする機会でもある。日本代表入りにつながる可能性もある。大会優勝を目指して挑む中で何を手にできるのか。チャレンジが始まる。

ワールドラグビーパシフィック・チャレンジ2024

JAPAN XV第1戦 試合登録メンバー

1 森 仁之輔(天理大学)

2 清水健伸(早稲田大学)

3 八田優太(京都産業大学)

4 石橋チューカ(京都産業大学)

5 物部耀大朗(明治大学)

6 亀井秋穂(明治大学)

7 川越功喜(天理大学)

8 太安善明(天理大学)*

9 高木城治(京都産業大学)

10 伊藤龍之介(明治大学)

11 海老澤琥珀(明治大学)

12 本橋尭也(帝京大学)

13 上田倭士(帝京大学)

14 竹之下仁吾(明治大学)

15 矢崎由高(早稲田大学)

16 佐藤健次(早稲田大学)

17 浦出睦己(近畿大学)

18 布引大翔(帝京大学)

19 磯部俊太朗(筑波大学)

20 青木恵斗(帝京大学)

21 土永 旭(京都産業大学)

22 秋濱悠太(明治大学)

23 大川虎拓郎(明治大学)

注:*はキャプテン