今季ここまで3大会中2大会を制して好調のアルゼンチンが、バンクーバーでも強さを見せた。ニュージーランドとの決勝でMatias Osadczukがハットトリックをマークして、36-12の逆転勝利で大会を制した。

アルゼンチンは試合開始早々にJoe WebberとBrady Rushmに連続トライを許して0-12のビハインドに。だが、前半4分にMarcos Monetaが1トライを返して7-12とすると、Luchiano Gonzalezが強烈な強さを発揮。相手のタックル2枚を振りほどいて攻撃を展開し、14につないで攻め込み、相手ゴール前で得たペナルティを起点にGonzalezがトライを決めて同点とした。

後半もアルゼンチンはハードなタックルとプレッシャーをかけて相手のハンドリングのミスを誘って得点に結びつける。こぼれ球に反応して攻めに転じるとOsadczukが12分から15分までに3連続トライをマーク。一気に24-12と点差を広げた。

さらに後半終了のホーンがなった直後には、左サイドでのペナルティから右オープンに展開し、最後はMatteo Grazianoがインゴールに飛び込んで36-12とし、アルゼンチンが勝利を手にした。

 アルゼンチンのMonetaは、「バンクーバーに来ると、僕らはいつもホームのように感じる。1度、2度と大会優勝を味わうと3度目にはもっと強いモチベーションを覚えるよ。バンクーバーで優勝して3連覇できて、本当にうれしい」とコメントした。

 3位はアメリカに42-12で勝利したフランス、5位はフィジーに24-19で勝ったアイルランド、7位はサモアに19-14と競り勝った英国。9位にはオーストラリアを24-7で下した南アフリカが入り、ホスト国カナダは11位決定戦でスペインに12-17で競り負けて12位だった。

 アルゼンチンは今大会の優勝により、勝ち点を78に伸ばして首位をキープ。勝ち点54で2位につけるアイルランドとフィジーとの差を24に広げた。総合ランク4位はニュージーランド(50)で、以下、オーストラリア(47)、南アフリカ(46)、フランス(36)、アメリカ(30)と続いている。

 

フランス代表Dupont、デビュー大会で存在感

今大会が7人制デビューとなったフランス代表のAntoine Dupontは攻守に存在感を発揮し、チームはプール戦の再戦となったアメリカとの3位決定戦を42-12で制して今季最高フィニッシュとなった。

3位決定戦でDupontは試合開始早々にイエローカードを受け、その間にチームはアメリカに2トライを許して0-12と追う展開になる。

しかし、プレーに戻ったDupontが力量を見せつける。敵陣でのブレークダウンから抜け出して22メートル内でTheo Fornerにノールックパスを通してトライをお膳立てし、点差を7-12に詰める。

さらに、自陣でボールを持ったDupont はアメリカのJoe Schuroederのタックルを振り解いてパスをつなぎ、これを受けたAaron Grandidier Nkanangはゴールまで走り抜いてフランスが14-12とし、前半で逆転した。

後半、Dupontは守備でも強さを披露。強力なタックルで決定的に見えた相手の抜け出しを2度にわたって阻止し、Esteban CapillaとRayan Rebbadjのトライにつなげた。試合終了間際にはペナルティからの素早いリスタートで自らポスト下まで運び、チームにとってダメ押しのトライで締めくくった。

フランスは今大会のプール戦を3戦全勝で勝ち抜いて臨んだアイルランドとの準々決勝でも、5-5で迎えた延長でアイルランドのイエローカードで数的優位になると、直後にDupontがトライを決めて12-5で勝ち、チームの4強進出の立役者になった。フランスはその後の準決勝でニュージーランドに26-28で惜敗し、3位決定戦へ進んだ。

Dupontはセブンズ初出場の今大会で6試合に出場し、プール戦のオーストラリア戦でのトライを含めて3トライを決めて15得点を記録した。7月に自国で開催されるパリ・オリンピックでの金メダル獲得を目指して年明けから7人制に参戦した27歳は、今季開幕から第3ラウンドまで9位、8位、6位だったチームも今大会では3位に入って勝ち点を36と伸ばして7位に浮上。インパクトを残す大会となった。

 

女子はニュージーランドが今季初制覇

 女子の決勝はニュージーランドとフランスの顔合わせとなり、Portia Woodman-Wickliffeがハットトリックを決めるなどで35-19の勝利を収め、今季開幕ラウンド以来の決勝を今回は笑顔で終えて初優勝した。

 Woodman-Wickliffeが試合開始早々に先制トライをマーク。直後にフランスがAnne-Cecile Ciofaniのトライなどで7-7と追いつかれたものの、Michaela Blydeと Jorja Miller、そしてWoodman-Wickliffeが立て続けにラインを超えて前半で28-7とした。

 後半、フランスのValentine Lothozが1トライを返して28-14と詰めたが、Woodman-Wickliffeがこの試合自身3本目を決めて再び引き離し、フランスは最後にChloe Pelleが5点を加えたが、そこまでだった。

 Woodman-Wickliffeは、「チームはこの大会の前に新しい選手を何人か加えて、不要な要素を削ぎ落してシンプルなプレーを心掛けた。ボールをワイドに動かして、スペースを作り、そこからプレーするようにしてきた。私たちのゲームはまだ完璧ではないし、先は長いが、次の大会には負傷していた選手たちが何人か戻って来る。エキサイティングなものになると思う」と述べた。

 3位はシリーズ首位のオーストラリアとの接戦を19-14で制したカナダ。5位にはフィジーを29-7で下したアメリカが入り、7位はブラジルに15-12で競り勝ったスペイン、9位は日本に12-7で勝ったアイルランド、11位は南アフリカを12-5で退けた英国だった。

 この結果、今シーズン総合2位のニュージーランドは優勝で勝ち点20を加えて首位オーストラリアとの点差を6差とし、それを3位のフランスが4差で追い、4位で勝ち点48で並ぶアメリカとカナダとの勝ち点差は14となった。以下、6位アイルランド、7位フィジー、8位英国と続いている。

 

サクラセブンズは10位

 サクラセブンズ女子日本代表は、プール戦でシリーズ首位を走るオーストラリアと接戦を演じながら最後に振り切られて10-12と初戦を落とすと、アメリカに14-26、フィジーに12-36と3戦全敗でプールB4位となった。

9位決定準決勝に回った日本はプールA4位の南アフリカと対戦。先制を許したが、5分に三枝千晃のトライで5-5に追いつくと、後半に入って原わか花、梶木真凛、山中美緒がトライを決めて24-5で勝って9位決定戦へ進んだ。

 9位決定戦では前節第3ラウンドのパース大会を制したアイルランドと対戦。試合開始早々にアイルランドのVicki Elmes Kinlanに先制されたが、梶木が同点トライを決め、内海春菜子のコンバージョンも決まって7-5と逆転した。

 しかし、追加点を奪えない中、アイルランドは後半終盤 Kinlanがこの日2本目のトライを決めて10-7と勝ち越し、Lucy Rockが2点を追加。日本は7-12で敗れて10位で終わった。

 原は、「これまでよりもアタックの時間が増えたが、チャンスをトライに結びつけることができなかった」と振り返り、三枝は「自分たちのペナルティやミスで得点につなげなかった。チャンスで取り切れるよう、一つ一つのプレー精度にこだわりたい」と話した。

 この結果、日本は勝ち点3を加えたがシリーズ総合ランクは11位。第5ラウンド以降で、来季の昇降格を決めるプレーオフ圏内からの脱出を目指す。

 SVNSシリーズでは男女とも総合順位で上位8チームがグランドファイナルに進出し、優勝チームを競う。一方、男女とも第7ラウンドのシンガポール大会を終えて下位の4チームは、最終戦のマドリードで、ワールドラグビーHSBCセブンズチャレンジャー2024の上位4チームを加えた昇降格大会に臨み、SVNS 2025シーズンの出場枠を争うことになる。

 次節は3月1-3日、ロサンゼルスで第5ラウンドを迎える。