パリ・オリンピックの出場権を獲得したアジア予選から2週間、サクラセブンズが戦いの舞台をアジアから世界へ移し、今季から新方式に変わったワールドセブンズシリーズのHSBC SVNS 2024で世界強豪との対戦に臨む。
サクラセブンズは昨季のワールドシリーズで躍進し、過去最高の8位でフィニッシュ。その後も好調を維持し、今季のシリーズを前に10月にはアジアラグビーセブンズシリーズで総合優勝。11月のパリ・オリンピックアジア予選を制してパリ行きのチケットを獲得した。その間のチームの成長にも選手は手ごたえを覚えている。
原わか花選手は、「個々の強みを活かしたアタックや、ディフェンスでしっかりと前に上がるところなど、こだわりの部分を持ってやってきた。グラウンドに立っている選手だけでなく、全員の力を結束して高め合っている」と指摘する。
「これから世界との戦いが増える。個人としては、信用される選手になってチームの流れを掴める選手になること。チームとして磨いてきたものをもっとチームの強みにしていくことが大切になる」と話す。
チームを率いる鈴木貴士ヘッドコーチも、「サクラセブンズは世界に比べると体(のサイズ)もスピードも劣っている選手が多い。世界で勝つために、7人がしっかりと「立って、動いて、戦う」ことを大事に、こだわりとしてやってきた。それがアジア予選でもしっかり出た」と振り返り、「今の状態をベースに、ハイプレッシャーの中でも自分たちのラグビーの精度にこだわってやりたい」と磨きをかける意向を示している。
念頭には、シリーズでの成績アップだけでなく、今回のシリーズ終了後の夏に迎えるオリンピックがある。
サクラセブンズ主将の平野優芽選手は、オリンピック予選突破で「パリに向けてスタートできた。ワールドシリーズでしっかりと世界と戦える準備をしながら、パリでのメダル獲得へ向けて、いい準備をしたい」と話し、今季のシリーズの戦いがオリンピックにつながるという考えを示している。
昨季2位のオーストラリアと同組
今季のHSBC SVNS 2024はオリンピックと同じく、男女とも世界トップの12チームが集結。12月2-3日のエミレーツ・ドバイセブンズを皮切りに全7ラウンドを戦い、総合勝ち点で上位8位までのチームが、来年5月にマドリードで行われるグランドファイナルに出場して年間王者を決定する。同時に、昇格と降格を決める戦いもある。
今回のドバイでは、女子7人制日本代表は初日のプール戦ではプールBで総合5位のアイルランド、昨季総合2位でドバイ大会にも優勝したオーストラリア、ブラジル(昨季11位)と対戦する。
一方、プールAには昨季7大会中6大会に優勝して7度目のシリーズ制覇を遂げたニュージーランド、英国(7位)、ワールドラグビー・セブンズチャレンジャーシリーズ2023優勝で昇格した南アフリカが入り、プールCは昨季シリーズ3位のアメリカ、同4位のフランス、スペイン(10位)、カナダ(9位)という組み合わせだ。
各組上位2チームと3位のなかで上位2チームが2日目の準々決勝に進出し、優勝を目指す。
SVNS 2024はドバイ大会の翌週12月9-10日にはケープタウン、年明け1月26-28日にはパース、2月23-25日にバンクーバー、3月2-3日にロサンゼルス、4月5-7日に香港、5月3-5日にシンガポールで各ラウンドが開催され、5月31-6月2日にマドリードでグランドファイナルを迎える。
男子のドバイセブンズでの組み合わせは、プールAに昨季総合優勝のニュージーランド、サモア(昨季6位)、南アフリカ(同7位)、チャレンジャーシリーズで勝ち残ったカナダが入り、プールBは昨季2位のアルゼンチン、オーストラリア(同5位)、アイルランド(同8位)、スペイン(同11位)の組み合わせで、プールCでは総合3位のフィジー、フランス(同4位)、英国(同9位)、アメリカ(同10位)が対戦する。
男子7人制日本代表は昨季ワールドシリーズで降格。今季は来年1月から5月まで行われるワールドラグビーHSBCセブンズチャレンジャーシリーズ2024で戦い、全12チームの上位4チームに入り、マドリードで開催されるSVNSグランドファイナルに進出し、プレーオフでの勝利で昇格を目指す。