アジア予選初日は午前中にみぞれが降る悪天候も午後には回復。パリ行きの切符を懸けた戦いに男子8チーム、女子7チームが大阪のヨドコウ桜スタジアムで臨んだ。
今予選で出場枠を手にできるのは男女とも大会優勝の1チームのみ。2位と3位に入ったチームは世界最終予選へ進み、世界各地域から集まったチームと最後の1枠を目指して戦うことになる。
女子は、日本がカザフスタンに43-0、タイに19-0で3チーム構成のD組を首位で突破。タイがカザフスタンに22-0で勝利して1勝1敗で2位に入り、準決勝進出を決めた。
E組では9月のアジア競技大会を制した中国がグアムに52-0、インドに62-0、ホンコン・チャイナに50-0と無失点で3戦全勝。2位はホンコン・チャイナで、中国には敗れたもののインドに29-5、グアムに48-0で2勝1敗とした。
この結果、日本は19日の準決勝でE組2位のホンコン・チャイナと、E組1位突破の中国はD組2位通過のタイと対戦する。
D組3位のカザフスタン(2敗)と、E組でグアムに28-21と競り勝ったインドが1勝2敗で3位、3敗のグアムは4位となった。
サクラセブンズ、チャレンジャー精神で臨む
サクラセブンズ女子日本代表は、カザフスタン戦では堤ほの花選手が3トライを決めるなどで快勝したが、タイには守備で粘られた。それでも2試合とも無失点に抑えての2連勝で準決勝へ駒を進めた。
中村知春選手は、「手堅く勝てたのは良かったが、手堅く行きすぎて攻めあぐねたところもあった。明日はそこを修正して、いいチャレンジャー精神で残り2つ、全力でオリンピックの切符を取りにいきたい」と話した。
平野優芽キャプテンは「勝つことが一番。ファーストプレーでマイボールを獲得できて、そこからいい流れに持っていけた」と振り返り、ホンコン・チャイナとの準決勝について、「負けると終わり。しっかりと自分たちのいいラグビーをして勝てれば、決勝にうまくつなげていける。先を見過ぎず、まずは明日の初戦にしっかり勝ち切れるようにやりたい」と気を引き締めていた。
一方、ホンコン・チャイナ主将のMelody Li選手は「中国に負けたのは残念だった。もう少しできたと思うので、改善して明日はより良い試合をしたい」と話し、日本については「とてもチャレンジングなチームでプレーの精度が高い。守備でプレシャーをかけて自分たちがやりたいアタックをできるようにしたい」と話した。
Li主将は、オリンピック出場権の獲得には強い思いを示す。
「香港では最近多くの女の子がラグビーをするようになっている。オリンピックに出場できれば香港にとって歴史的なこと。競技をやっている女の子たちにとっても香港の人々にとってもすごく良い刺激になる。まずは明日、全力を尽くしていい試合をしたい」と語った。
男子ホンコン・チャイナが3勝で首位突破
男子部門では、A組の日本はインドに50-0、韓国に34-0と快勝したが、プール最終戦で中国に14-21と競り負けた。
中国は初戦で韓国に19-29と敗れたが、第2戦でインドに41-7で勝利して2勝1敗。さらに韓国もインドに43-0と勝って、日本、中国、韓国の3チームが勝敗数で並んだが、得失点差で日本(77)が他2チームを上回って首位になり、中国(31)が2位、韓国(19)が3位、3敗のインドが4位となった。
B組ではホンコン・チャイナがタイに53-0、シンガポールに52-0、UAEに24-0の3連勝で1位。シンガポールに43-7、タイに47-0で勝って2勝1敗としたUAEが2位に入った。3位はシンガポールに17-7と競り勝ったタイ(1勝2敗)、シンガポールは3敗で4位だった。
準決勝では、A組1位の日本とB組2位のUAE、B組1位のホンコン・チャイナとA組2位の中国が顔を合わせる。
男子日本、2勝1敗もポジティブ
1戦目のインド戦を50-0、2戦目の韓国戦を34-0と勝利した日本だったが、第3戦の中国戦ではブレイクダウンでペナルティを取られて逆転を許した。
相手にボールを保持される展開でも粘り強い守備で対抗し、前半2分、ハーフウェイライン付近でボールを奪った野口宜裕選手からパスを受けた石田吉平選手が、ステップで相手をかわすとポスト下まで走り切って先制した。その後も左サイドで吉澤太一選手が抜け出してインゴールに持ち込んだが、トライ寸前で中国のディフェンスに遭い、ボールをこぼし追加点の機会を逃した。
中国はその3分後、自陣22メートル内からShan Changshun選手が抜け出してトライ。コンバージョンも決まって同点にしたが、日本も前半終了間際にサイドを突破した津岡翔太郎選手のトライと吉澤選手のコンバージョンで14-7として前半を折り返した。
後半に入ると日本に反則が増えて、中国はペナルティで得たスクラムからWang Shuoshuo選手がトライ。Shan選手が2点を追加して再び追いつく。
日本は石田大河選手が6分に反則でイエローカードを受けて数的不利になると、中国が試合終了直前にShan選手がこの試合2本目のトライをマーク。コンバージョンも決めて21-14で勝利した。
野口選手は、「最後の試合は僕らがやりたいことをあまりうまくできなかったが、明日へ向けていい挑戦になったとポジティブにとらえている」と振り返り、「明日はいろんなプレッシャーとかあると思うが、準備してきたこと、一人ひとりの役割を冷静に淡々とこなしたい」と話した。
林大成キャプテンは、「インドと韓国には高い集中を持ってやり切れた部分が多かったが、中国戦はほかのチームとスタイルが違うので苦戦した。この負けをしっかり明日に活かしたい。グラウンド内でトークをかわして、やるべきことを14分間やり続ける試合をすれば結果はついてくると思う」と語った。