今回のアジア予選には男子8チーム、女子7チームが出場。パリ行きの切符を手にできるのは男女とも優勝チームのみ。今大会で2位、3位になったチームは、残り1枠を懸けて世界最終予選に臨むことになる。

 男子は日本、アジア競技大会4位の中国、韓国、インドがプールA、9月のアジア競技大会で優勝したホンコン・チャイナ、UAE、シンガポール、タイがプールBで対戦する。

 一方、女子はプールDが日本、タイ、カザフスタンの3チーム、プールEがアジア競技大会を制した中国、ホンコン・チャイナ、インド、グアムの4チームの編成で戦う。

 男女とも各組上位2チームが準決勝へ進出し、各組3位以下のチームは順位決定戦へ回る。

オリンピック出場に懸ける思い

男子の日本チームは、セブンズ競技がオリンピックに加わった2016年のリオデジャネイロ大会ではメダルまであと一歩の4位に入った。しかし、コロナ禍により1年延期で2021年に無観客で開催された東京オリンピックではプール戦敗退。その後、2024年パリ大会を目指して招聘したサイモン・エイモーヘッドコーチの下でチームを強化してきた。

 男子日本チーム主将の林大成選手には、オリンピックに出場することで日本の7人制ラグビーの環境を変えるきっかけにしたいという思いがある。

「僕らはなかなか日本の方々に試合を見てもらえる機会がないが、オリンピックは一番注目される大会」と指摘。「海外の選手たちはワールドシリーズやオリンピックに出場するまでにセブンズの大会を多くやっていて、15人制代表への登竜門としての部分もある。日本にはそこまでのものがない。環境や文化を変える近道として、オリンピックに出て活躍してメダルを取ることは、日本のセブンズを変えていく上で大きな意義があると思う」と語る。

「個人としては大きな舞台で強い相手と戦えるのは喜び。ジャパンはシーズンが深まって日を重ねるごとに強くなっている。ここ数か月はメンバーも固定されてきて、いま一番充実している。アジア大会の負けも活かしてトレーニングできている」と述べて、チームの成長に手ごたえを覚えている。

男子日本チームは昨季HSBCワールドラグビーセブンズシリーズから降格となり、今季から始まる刷新されたHSBCセブンズシリーズへの出場を逃した。だが今季、チームはアジアラグビーセブンズシリーズで総合優勝。9月に行われたアジア競技大会では3位に入った。

アジア競技大会優勝を狙っていた日本に、準決勝で土をつけたのはホンコン・チャイナで、 林選手は「一番力がある。強敵」と警戒。「どこのチームも日本には何か仕掛けてくる可能性が高い。しっかり対策して臨みたい。準備してきたことをしっかり大会でやり切るメンタリティが重要になる」と話している。

男子日本チームは18日にインド、韓国、中国の順で対戦する。

今回の予選は大阪での開催。大阪出身の林キャプテンには地元での勝負となる。

「僕は今年でセブンズ7年目だが、国際大会の公式戦を日本で戦うのはこれが初めて。純粋に日本の人たちに僕らのプレーを見てもらえることがうれしい」と言う。

「そこで結果を出して優勝して、試合に来てくれた人たちと喜びを共有するということができれば、オリンピックに出るのと同じような意義があるかと思う。楽しみ」と語っている。

ホームのファンの前で決めたい

 女子7人制日本代表キャプテンの平野優芽選手も、今回の予選に懸ける思いは強い。

 女子チームは昨季のHSBCワールドセブンズシリーズで過去最高の8位に入り、今季も好調を維持してアジアラグビーセブンズシリーズで総合優勝を遂げた。

 「チームとしていい準備ができている。昨年ワールドシリーズで結果を残すことができて、自分たちの強みや足りないところが明確になった。世界で戦える自信がついたことが今のチームにとっては大きかった」と振り返り、今回の予選にもワールドシリーズ同様に平常心で臨みたいと言う。

 「オリンピック予選だからといってやることは特に変わらない。これまでやってきたことの精度を上げていく。ただ、アジアではそう簡単にいかないことも巧さだけではかてないことも分かっている。そこはチームで意識できている」と話す。

 女子日本チームは18日にカザフスタン、タイと対戦する。

平野選手は警戒するチームに中国を挙げて、「高さもあってスピードのある選手が多い。世界に出ても戦えるチームだと感じる。私たちに対してもしっかり対策してくると思う」と話して、突破への強い気持ちが勝負を左右するとみている。

 「オリンピックには『私たちが行く』『まけたくない』という気持ちの部分はプレーにも出ると思う。チームの全員が泥臭く、ひたむきに全力で取り組む姿勢をしっかり出したい」

 平野選手も、オリンピックはセブンズラグビーと女子ラグビーを盛り上げる上で重要な大会だと指摘する。

 「オリンピックは4年に一度、アスリートが最大のターゲットとしてやっている大会で、私自身ももちろん、オリンピックでいい結果を残したいと思ってやっている。チームの全員がオリンピックでメダルを取りたいと思っていて、そこに懸ける思いは強い」

 「オリンピックは女子ラグビーを盛り上げていくには大事な大会。ワールドシリーズはラグビーが好きな人たちは見るが、ラグビーを知らない人たちに競技を知ってもらうにはオリンピックが一番だと思う」と語っている。

 「ホームで日本の皆さんの声援に後押しされながらプレーできるのは嬉しい。見てもらって、ホームの力をもらってそこでオリンピック出場を決められたら最高」と話している。

 なお、これまでにパリ・オリンピックの出場権を獲得しているチームは開催国フランス以外に、男子ではHSBCワールドラグビーセブンズシリーズ2023でトップ4に入ったニュージーランド、アルゼンチン、フィジー、オーストラリア、各地の地域予選を勝ち抜いたウルグアイ(南米)、アイルランド(欧州)、アメリカ(北米)、ケニア(アフリカ)、サモア(オセアニア)。

女子ではニュージーランド、オーストラリア、アイルランド、アメリカという昨季のワールドラグビーセブンズシリーズ上位4チームと、ブラジル、カナダ、英国、南アフリカ、フィジーという顔ぶれが確定している。

 11月19日、アジア代表で出場権を手にするチームが決まる。