今年から始まった女子初の国際大会WXVでトップグループの戦いもフィナーレを迎え、WXV1で首位に立っていたイングランドは5トライを挙げる攻撃で開催国のニュージーランドに勝ってラグビーワールドカップ2021決勝で敗れた雪辱を果たし、今大会の成績を3戦全勝で勝点15を獲得しての勝利だった。
カナダは最終戦でフランスに29-20と競り勝って2勝1敗。ウェールズに25-19と勝利したオーストラリアと勝敗と勝点10で並んだが、得失点差でカナダが上回って2位に入り、オーストラリアが3位となった。
ニュージーランドは1勝2敗の勝点6で4位、フランスは1勝2敗の勝点4で5位、ウェールズは3戦全敗の勝点1で6位で終わった。なお、今季と来季はWXV1最下位チームとWXV2優勝チームの入れ替えは行われない。
イングランドがニュージーランドに快勝
イングランドは試合開始からニュージーランドを圧倒。FW陣のパワーを活かして前半20分過ぎまでに3トライを奪う猛攻で主導権を握った。
開始から4分、ゴールラインまで5メートルの位置で得たスクラムからNO8 Alex Mathewsが先制トライを決めて口火を切ると、12分にはペナルティで得たラインアウトから押し込んでHO Lark Atkin-Daviesがトライ。23分にはラックで引き付けて作ったスペースにPR Sarah Bernが持ち込んで5点を加えた。キッカーのSO Holly Aitchisonは3本中2本のコンバージョンを成功させて19-0とリードした。
ニュージーランドは前半終了目前に相手のノックオンをきっかけに反撃。FL Kennedy Simonがオープンサイドを攻めてインゴールに持ち込み、FB Renee Holmesが2点を加えて12点差にしてハーフタイムに入った。
さらに、後半は開始から投入されたKatelynn Vahaakoloが中盤を力強いキャリーを披露。これが相手のペナルティを誘い、ゴールラインまで5メートルのラインアウトから押し込む展開に持ち込むと、最後はバックスに展開してVahaakoloがインゴール隅に飛び込んで5点を返し、12-19と点差を縮めた。
しかし、イングランドは冷静に対応。スクラムのリセットで間合いを取り、ラックを重ねる攻撃で相手を押し込むと、最後は55分にFL Morwenna Tallingがトライを決めて、相手に流れを渡さない。その後の10分間も、ニュージーランドの攻撃をしっかり受け止める守備で相手を焦らしてハンドリングエラーを誘った。
そしてラックと走りを組み合わせた展開からチャンスを得ると、69分にLO Zoe Aldcroftがラインを超えて、ニュージーランドを突き放し、Aitchisonのコンバージョンも決まって33-12で勝利した。
Aldcroftは昨年のワールドカップ決勝前のウォームアップ中に負傷して試合出場を逃していただけに、その悔しさを晴らすトライにもなった。
その後はイングランドがペースを維持して、敵陣でのプレーを続けて勝利を手にし、WXV1タイトル獲得で2023シーズンは負けなしの成績で終了となった。
カナダがフランスとの接戦を制す
カナダとフランスの対戦は後半半ばに2点差という接戦になったが、勝敗を分けたのはカナダのCTB Fancy Bermudezが66分に決めたトライだった。
先週末の第2戦でオーストラリアに敗れたフランスは、立ち上がりからこの試合に賭ける強い思いを感じさせるプレーを披露。ポゼッションとテリトリーでカナダを圧倒し、開始2分でカナダのオフサイドを誘うと、このPGをFB Morgane Bourgeoisが決めて先制した。
さらに前半14分には、WTB Marine Menagerが足を活かして22メートルに進むとラックからNO8のCharlotte Escuderoが力強いキャリーで攻め込み、SH Pauline Bourdon Sansusがトライ。Bourgeoisのコンバージョンも決まって10-0とフランスがリードを奪った。
しかし、先週末の第2戦でイングランドに敗れて連敗は避けたいカナダがじわじわと反撃。前半35分にはペナルティを獲得してラインアウトにすると、FWを活かしてモールで攻め込み、最後はHO Emily Tuttosiがインゴールで押さえてトライ。SH Sophie de Goedeのコンバージョンも成功して10-7とした。そして、その直後にフランスはCTB Nassira Kondeがイエローカードを受けてシンビンとなった。
ハーフタイムを終えると、カナダが後半開始から攻勢に出た。44分、WTB Paige Farriesが自陣から足を活かして敵陣に切り込むと、FL Sara Svoboda、Farries、Bermudez、FB Sarah-Maude Lachanceとつなぎ、最後にパスを受けたWTB Krissy Scurfieldがインゴールへ持ち込んで逆転トライをマーク。De Goedeのコンバージョンも決まって14-10とリードを奪った。
さらに50分には、再びラインアウトからの攻撃でLO Courtney Holtkampが5点を加えて19-10とした。
フランスはBourdon Sansusの素晴らしい走りを起点に反撃し、55分にはMenagerがトライを決め、Bourgeoisが2点を加えて2点差に詰め寄った。
だが、そこで出たのが66分のカナダのBermudezのトライだった。このトライとde Goedeのコンバージョンでカナダが26-17とリードを広げた。最後の10分間で互いにPGを1本ずつ決めたものの、流れを掴んだカナダが最後まで優勢に試合を進め、29-20で勝利した。
これでカナダはここ3試合のフランス戦で2勝をマーク。3日の試合でウェールズに勝って2勝1敗としていたオーストラリアを追い抜いて、2位に入って今大会を終えた。
数的不利のオーストラリアがウェールズに勝利
オーストラリアは数的不利になる苦しい展開ながら、後半だけでウェールズから3トライを奪って25-19で勝利した。
先制はオーストラリア。前半16分にLO Sara Naigamaの素晴らしい走りで22メートル内に入り、SO Carys Dallingerがステップで相手をかわしてWTB Maya Stewartにつなぐと、第1戦のイングランド戦で受けた負傷から復帰したウィングが先制トライを決めた。
ウェールズも早々に反応。28分にHO Carys Phillipesが同点トライを決め、SO Keira Bevanのコンバージョンも決まって7-5とリードした。
しかし、オーストラリアは34分にDallingerのPGで8-7として前半を折り返した。
ところが後半開始早々にオーストラリアはFL Siokapesi Paluが危険なタックルでレッドカードを受けて退場となる。
数的優位を得たウェールズはFWで攻め込み、48分にペナルティトライを獲得して14-8とした。しかも、オーストラリアはこの間のプレーでLO Sera Naiqamaがイエローカードを受けて13人になった。
だが、オーストラリアはこれを契機にギアを上げ、中盤で激しく競り合ってペナルティを獲得すると、ラインアウトから攻め込んで52分にPR Eva Karpaniがトライを決めて13-14と点差を詰めた。
さらに、67分には後半序盤から出場のLori CramerがDallingerのキックパスをインゴールで押さえて2試合で4本目となるトライで18-14と逆転。Dallingerのコンバージョンで2点を加えた。ウェールズに対して不敗の対戦記録を持つオーストラリアは攻撃を継続し、73分にはWTB Ivania Wongが5点を加えて25-14とした。
ウェールズは終盤ラインアウトの攻撃からKelsey Jonesが5点を返して25-19としたが、追加点はならず。数的不利な状況にも果敢な攻撃を展開したオーストラリアが勝利を収めた。