• 世界におけるラグビー参加者は、社会に84億米ドルの価値をもたらし、長期的に医療費を15億米ドル節約
  • 女性と女児の参加者増加により世界全体でさらに28億米ドルの価値が増加
  • ラグビー参加者は世界的に増加中。2022年以降11%増加し、現在132カ国で840万人が参加
  • ラグビープレーヤーは自信が増し、雇用の可能性を高め、メンタルヘルスや健康関連の問題を減少
  • ワールドラグビーは、ラグビーというスポーツをより身近なものにするため、コミュニティレベルでのタックルの高さを下げるなど、プレーヤーウェルフェア(選手の福祉・身の安全)への取り組みを継続的に推進
  • この報告書により、ワールドラグビーは今後10年間の主要成長分野への投資をさらに進める

ワールドラグビーが委託したラグビーの社会的利益に関する新たな報告書によると、ラグビーへの参加は世界全体で84億米ドルの価値を生み、ラグビープレーヤーはより幸せで健康的であり、ひととのつながりをより強く感じていることがわかりました。

『グラスルーツラグビーの世界的な価値』に関する報告書は、ジェンダーギャップを解消し、特に少女と女性に大きな機会を創出するための戦略的イニシアティブに焦点を当て続けることで、世界全体でさらに28億米ドルの価値を生み出す機会があることを強調しています。

真にグローバルでインクルーシブなスポーツを育成するための2021-25年戦略計画の影響を追跡するためにワールドラグビーが委託したこの報告書は、健康、社会、経済の様々な要因に着目し、個人、地域社会、社会レベルでのラグビー参加の大きな利益とプラスの価値を強調しています。重要な点は、ウェルフェアやウェルビーイング、また教育の領域でワールドラグビーが取り組んでいることも、ラグビーがすべての人々のためのチームスポーツであることを裏付けています。

パンデミック後、世界のラグビー参加者が増え続ける中、世界的な経営コンサルタント会社であるポータス・コンサルティング社と共同で作成された報告書が発表されました。2022年から2023年で、ラグビーをプレーする人の総数は、世界全体で前年より11%増加しました。成人女性の登録選手数が38パーセント増加し、成人男性の登録選手数は26パーセント増加しています。重要な点は、全体的な増加の原動力となっているのがティーンエイジャーとプレティーンで、世界的にこのスポーツが関連性とアクセシビリティで向上していることが明らかになったことです。

本報告書は、査読済み学術資料とベストプラクティスに基づいて作成されたモデルを用いてまとめられました。この報告書のデータは、世界銀行、世界保健機関(WHO)、経済協力開発機構(OECD)などの複数の情報源や、ワールドラグビーの加盟ユニオンから収集されています。報告書の目的は、ラグビー参加が世界的にもたらす社会的投資利益率(SROI)をよりよく理解することであり、グラスルーツでの活動を加速させ、ラグビーへの投資を促進するための洞察と行動を生み出すために活用されます。

報告書の主な内容

世界のラグビー参加者は、精神的・身体的健康、社会的結束と交流、ウェルビーイング、教育、雇用など、さまざまな要因から84億米ドルに及ぶ社会的価値を生んでいます。

この報告書によると、ラグビーをプレーすることで、より健康的で、より幸せな生活を送ることができるようになり、その結果、世界全体において15億米ドルに及ぶ医療費の長期的な節約になるということが明らかになりました。ラグビープレーヤーはより活動的な生活を送り、生涯を通じ、一般人口に比べて様々な健康上のメリットを享受しています:

  • 精神疾患のリスクが33%減少する。
  • 子どもの肥満が30%減少する。
  • 女性の乳がんリスクが25%減少
  • 心臓疾患のリスクを15%減少

さらに、ワールドラグビーとその各国連盟は、競技のすべてのレベルにおいてプレーヤーウェルフェアが最優先されるよう尽力しています。これは、世界有数の研究や独立した一流の専門家との協力、最新のイノベーションとテクノロジーの導入などに300万ユーロを投じていることでも実証されています。

報告書はまた、ラグビーがインクルーシブかつ強固なコミュニティを作り出し、平均的なコミュニティクラブでは約44,000時間に及ぶ積極的な社会的交流の場を提供していることを明らかにしています。チーム環境で過ごすこのような時間は、プレーヤーや参加者がより大きなつながりを感じることにつながり、その結果、生活満足度とウェルビーイングの向上につながり、世界全体で19億米ドルに相当するウェルビーイングの追加的価値を創出しています。

ラグビーが持つ強い内発的価値は、自信の向上や雇用の可能性の拡大を通じて、個人の成長をサポートしています。活動な子どもたちは、自信のスコアを14%高め、スポーツにいそしむ卒業生たちの年収は、他に比べ平均9,581米ドル上回っています。一方、世界レベルでは、ラグビーの参加者、ボランティア、労働力を通じて、約45億米ドルの経済効果をもたらしています。

ワールドラグビーは、この報告書をもとに、大きな利益をもたらす可能性のある3つの中核的成長分野に投資を集中します:

  • 主要成長市場への投資
  • プレーヤー定着率の向上
  • 女性と女児の参加を増やす

報告書では、ラグビー競技を米国などの成長市場に広げ、世界的発展を促進することで、ラグビーの社会的価値を大幅に向上させることができ、2億1300万米ドルの付加価値を生むことができると分析。同様に、ラグビーへの参加を全体として10%増やし、より多くのプレーヤーがラグビーに参加し、ラグビーに定着することで、世界全体で8億3,000万米ドルの付加価値を生み出す可能性があると分析しています。

また、女性・女児のラグビー参加を増やすことで、世界全体で28億米ドルの付加価値が生まれる可能性があるとみています。女子ラグビーは現在、世界全体で20億米ドルの価値創出に貢献しており、女子プレーヤー個人の価値は、男子プレーヤーが平均1,900米ドルであるのに対し、3,132米ドルと試算。報告書はまた、ラグビー参加による社会的効果は、男子よりも女子の方がより大きく感じられること、さらに、ラグビーをプレーすることによって、乳がんや骨粗しょう症など、女性に多い多くの病気が減少することを明らかにしています。

この報告書では、ラグビーが社会的にプラスの影響を与えることも明らかにされており、プレーヤーが社会の一員としての発達および人格向上が、ラグビーに参加することによって助けられていることが示されています。身体的に活発な子供たちは、リーダーシップのスコアが13%高く、自信のスコアが14%高いことも報告されています。

女子ラグビーは、今後10年間でこのスポーツを成長させる唯一最大のチャンスであり、女性と女児はワールドラグビーの成長戦略の中核を担っています。男女のゲーム間のジェンダーギャップを解消すれば、女性プレーヤーの数は230万人増加し、ゲーム全体の成長に大きな影響を与えるでしょう。

これらの教訓は、ラグビー界でより多くの女性を上級指導者として育成・支援することを目的とした「キャップジェミニ・ワールドラグビー・ウーマン・イン・ラグビー・リーダーシッププログラム」に取り入れられています。キャップジェミニとワールドラグビーは、2023年プログラムに選ばれた有望な女性たち12名とともに、両組織で活躍中の上級リーダーたちを、今週末レ・フォンテーヌで開催される「ウーマン・イン・ラグビー・サミット」に招待します。彼女たちは、サミット後にラグビーワールドカップ2023の試合観戦を楽しみます。

ワールドラグビーのアラン・ギルピン最高経営責任者(CEO)は、次のように述べました。 「私たちは、ラグビーのブランド力を高め、持続可能な投資を行い、ラグビーにおける商業的パートナーシップを構築するために、すべての人がラグビーに参加することのメリットを強調するビジネスケースを開発したいと考えていました。この報告書はまさにそれを実現しています。ラグビーの参加者が増え続けている現在、ラグビーをプレーすることが、人々、地域社会、そして社会全体に与える社会的なプラスの影響がいかに大きいかを示しています。また、将来的に大きな成長と価値をもたらす可能性のある場所についてもピンポイントで示しています。 」

「私たちは、この報告書をもとに、加盟協会やパートナーとともに取り組んでいる活動を支援し、グローバル・ラグビーファミリーを成長させるという私たちの使命を果たしていきます。私たちは、このスポーツをより意味のあるものにし、より多くの人々にとって身近なスポーツにするため、決して立ち止まりません。タックルの高さを下げるルールの導入や競技規則バリエーション「Game On」の採用、またノンコンタクトラグビーなどの取り組みにより、コミュニティラグビーがすべての人にとってより身近なスポーツとなるよう、今後も努めていきます。」

ワールドラグビーの女子ラグビー部長、サリー・ホロックスも次のようにコメントしています。 「私たちは、ラグビー、そしてより広く女性の健康問題を理解し、対応することの重要性を強調し、非常に重要かつ継続的な活動を支持することができることを嬉しく思います。これは、私たちが女性と女児をよりよくサポートし、ラグビーへの参加をさらに拡大し、ラグビーを通じてより大きな社会的インパクトを生み出す方法を理解するのに役立ちます。ラグビーワールドカップ2025イングランド大会に向け、フィールドの内外でポジティブなインパクトを生み出すために活動するワールドラグビーにとって、この分野の仕事は、今後2年間さらに重要になるでしょう」。