色褪せない記憶

 開幕戦のアルゼンチン戦で退場となり、2試合に不出場となったTom Curryが50キャップ目の試合で全力を尽くし、銅メダル決定戦の途中に包帯だらけになって交代する姿は、多くの試練に直面したが、最終的には高い評価を受けた、イングランドの今大会を象徴した。

大会1のトライ

イングランドのキックに重点をおいたアプローチはラグビーワールドカップ2023の議論の的となった。しかし、機能すれば美しく、George FordがプールDの日本戦で証明したように、的確なクロスキックが空中戦の王者であるFreddie Stewardに届きコーナーへのトライに繋がったように、非常に効果的でもある。 

注目のコメント

イングランドのヘッドコーチSteve Borthwickは、イングランドがフィジーに勝利し、準決勝進出を決めた後に当てこすりを言った。「多くの人が私たちはプールステージから勝ち抜くことはないだろう、と書いたと思います。恐らく、その中には今夜ここにいる人もいるかもしれません。」

活躍した選手

間違いなく、エネルギッシュなバックローのBen Earl(写真)である。彼は、本大会におけるイングランドで最も一貫性のあるプレーヤーであり、彼は準々決勝フィジー戦でのラインブレイクによる50mの独走など、インスピレーションを与えるような瞬間を生み出した。彼のパフォーマンスは銅メダル決定戦で報われた。Marcus Smithのショートパスに美しいランコースで入り込み、イングランドにとって最初のトライを挙げた。今後、重要な選手になるだろう。

将来が期待される選手

中には楽なトライも含まれていたが、チリ戦での5トライがファンに Henry Arundellのポテンシャルを見せた。この22歳の選手は、今季フランスのラシン92でプレーするが、以前所属していたクラブのロンドンアイリッシュが経営破綻した為、2024年のシックスネイションズに出場することに特別な許可が与えられた。彼は、イングランドが彼の攻撃的なスタイルに合ったゲームを展開することを期待している。

タッチラインから

イングランドが日本に勝利した試合でJoe MarlerがCourtney Lawesのトライをアシストした『ヘディング』は、今大会で最も奇妙なアシストとして選出された。また、彼のお気に入りのサッカークラブであるブライトンから、背面に『Marler 1』とプリントされたプレミアリーグのシャツが贈られた。

重要な統計データ

過去2大会のRWCで、イングランドが敗れたチームの数は1つである。2019年の決勝戦で南アフリカはイングランドを32-12で下し、今年の準決勝では苦しみながら16-15で破った。イングランドは2027年大会で南アフリカとの対戦を避けるか、ようやく大舞台で南アフリカ相手に勝利を手にするのかもしれない。 

編集者の評価

2023年にトゥイッケナムにおいてスコットランド、フランスおよびフィジーに負け、準備期間でも落胆させる出来で、イングランドのRWC大会の戦いへの期待値は低かった。しかし、南アフリカとの準決勝においてイングランドは、RWC2019準決勝戦以来ほぼ間違いなく最高のパフォーマンスを見せた。引退する経験豊富な選手が引退する可能性はあるが、今大会を通じて台頭してきた選手たちの潜在能力を足がかりにし、ゲームプランを拡大できれば、Steve Borthwickのチームは4年後に侮れない存在になるだろう。