色褪せない記憶

Johnny Sextonの息子が準々決勝で優勝経験3回の相手にアイルランドが28-24と悲痛な敗戦を喫して打ちひしがれた父親を慰めようとした瞬間は、筋金入りのニュージーランドファンの心さえも溶かしたに違いない。緑のシャツを着た少年は、その目に心配と愛情を込めて見上げながら、国民の感謝を胸に引退を迎える史上最高の選手の一人に「それでもお父さんは最高だよ。」と口にした。

大会1のトライ

Bundee Akiが決めた5トライなら、どれもこのタイトルに値するだろう。センターのAkiは、パワー、俊足、気を緩めることのないワークレートを示しながら、初めから終わりまで圧倒的な調子の良さをみせていた。オールブラックス戦の序盤で、目の前の相手を抜くと4人のディフェンダーを引きずりながらゲインラインを超え、この3つの資質を披露した。

注目のコメント

「スポーツは時に残酷なものです。」とヘッドコーチのAndy Farrell はニュージーランド戦に敗れた直後に語った。「だからこそ、(ラグビーが)大好きなんですけどね。」

しかし、最後の言葉にふさわしいのはチームメイトのSextonを語ったバックローのJack Conanのコメントである:「彼が払ってきた犠牲、彼という選手、彼という人間、彼というリーダーに対して、多くのことに値する人間です。彼は20年近くにわたり、アイルランドラグビーの良いところすべてを担ってきました。

活躍した選手

Aki選手しかないだろう。33歳のAkiは、61回のキャリー、9回のラインブレイク、23人のディフェンダーを抜く記録を引っさげてノックアウト・ステージに入ってきた。そしてすべてが掛かったオールブラックス戦で、彼はさらにギアをあげると両チームで最多の13回のゲインライン超えをみせトータルで75メートルを記録した。間違いなく、それまでの時点での大会一の選手である。

将来が期待される選手

Caelan Doris は、準々決勝の試合時間がほんの数分しか残っていない状況でオールブラックスが蹴ったドロップアウトを取り損ねてしまうという、相当彼らしくないミスをしたのかも知れないが、この25歳の選手はアイルランドの本物のスーパースターであり、Farrellが確実に立て直しを図るための要である。チーム最多となる61回のタックルと5回のターンオーバーは、影響力を持つ。

タッチラインから

アイルランド人の応援は、ラグビーワールドカップ2023年大会を晴れやかにした。報告によれば、プールステージのスコットランド戦が行われたスタッド・ド・フランスには6万人が来場し、同様に緑色の海さながらの光景が準々決勝の観客席に現れた。笑顔 - 非公式の応援歌として採用されたアイルランドのバンド”クランベリーズ”が歌った”ゾンビ” - そして涙がフランスを飲み込んだ。しかし、温かく、プールステージの期間中に集団で行った清掃を含め、敬意にあふれた振る舞いの報道の数々で、彼らの帰国はとても惜しまれることになるだろう。

重要な統計データ

アイルランドは、これまで準決勝進出に8回挑戦し一度も成功したことがないだけでなく、意外なことに1995年以来準々決勝をかけた試合で1分もリードしたことがない。2大会連続で、アイルランドは世界ランキング1位のチームとして出場したが、ウェブ・エリス・カップを掲げる日に近づくのは、当分お預けだ。

編集者の評価

目が潤んだJack Conanが語ったように、このアイルランドのチームは”信念に満ちており”、彼らは”ようやく準々決勝を突破するスコッドになるはずだった”が、そうはならなかった。アウェイでオールブラックスに2勝を含め、17連勝でノックアウト・ステージに乗り込んだ事実は、少しの慰めにもならないだろう。Sextonの引退をよそに望みがあるとしたら、アイルランドにはまだ才気あふれる若いチームの核があるということ。かかってこい、2027大会。