10月13日に開幕するWXV2を控えて、その大会初戦でも対戦するイタリアと大会前最後のテストマッチに臨んだ日本は、先発にセンターの弘津悠やフッカーの公家明日香ら5キャップ以下の選手5人を含め、リザーブにもデビュー戦となった吉本芽以など、代表経験の浅い選手を起用。チームの底上げを図り、後半相手に押し込まれる苦しい展開となりながらも辛くも逃げ切り、昨年のワールドカップのプール戦で8-21と敗れた一戦を含めて1分3敗だった相手から、初勝利を手にした。
イタリアは今回の日本戦を約2週間後に開幕するWXV2に臨む選手選考の機会と位置付け、若手をテスト。先発したフランカーのGiulia Cavinaをはじめ、リザーブ出場のSofia RolfiとGaia Buso 3選手が代表デビュー。また、この試合の前まで代表4キャップのFrancesca GranzottoとAlissa Ranuccciniはそれぞれ11番と7番、2キャップのAlessandra Frangipaniは4番をつけて初先発した。その一方で、キャプテンでスクラムハーフのSofia Stefanはこの試合で代表戦80キャップをマークした。
日本は前半早々にイタリアに先制を許したものの、13分にスタンドオフ山本実のキックパスにウィングの今釘小町が反応。インゴールに飛び込んでトライを決めて2点差に詰め、さらに21分には相手ゴール前でパスをつないで最後はウィングの安尾琴乃がトライをマーク。5点を加えて10-7と逆転した。
さらに32分にはイタリアのGranzottoが不当なプレーがあったとしてイエローカードが出ると、日本は数的優位を活かして33分にNO8永井彩乃がトライ。41分にはFWを中心に攻めてロックの吉村乙華がチーム4トライ目を決め、山本のコンバージョンも決まって22-7で折り返した。
しかし、イタリアは後半に入るとペースを上げて反撃。後半10分にスクラムからモールで押し込み、オープンへ展開してウィングのGranzottoがトライ。自身でコンバージョンでも決めて14-22とすると、ホストチームは勢いを得た攻撃で日本にプレッシャーをかけた。
後半16分にはラインアウトからFWで攻めて、最後はフッカーのVittoria Vecchiniがインゴールで押さえて19-22と3点差に詰めた。
日本は後半26分に、4分前に交代出場していたスタンドオフの大塚朱紗が距離のあるPGを成功させて25-19と再びリードを奪った。
イタリアは直後にフルバックのVittoria Ostuni Minuzziがトライを決めて1点差と迫り、試合終了間際にはキックを使って攻め込み、22メートル内でパスをつなぐ攻撃を手見せたが、そこで痛恨のハンドリングミス。守備で粘りを見せた日本が1点差で逃げ切った。
日本代表の長田いろはキャプテンは「前半はボールをスペースに運べたが、後半は相手のキャリーが多くコリジョンに勝てずにゲインされてモメンタムを作れなかった」と反省の弁が口をついた。
サクラフィフティーンのキャプテンはWXVへ向けて、「自分たちがやるべきことの精度を上げて、80分間相手にプレッシャーをかけ続けること」と修正点を掲げた。
後半途中から出場したフッカーの永田虹歩は、「WXVでは3試合とも今日のような接戦になると思うが、自分たちがやることは変えず、サクラフィフティーンらしさを出すことができれば、今日のように得点やいいディフェンスをすることができると思う」と、手ごたえを得ていた。
女子日本代表のレスリー・マッケンジーヘッドコーチは、「両チームとも若い選手たちが出場していたことで、自分たちも一貫したプレーをできない部分もあったが、両チームの若い選手たちがこのような試合経験を積めたことはポジティブ」と述べた。
WXV遠征メンバー30人
試合の翌10月1日には女子日本代表のWXV遠征メンバーが発表された。
遠征スコッド30人はフォワード18人、バックス12人。今大会中に代表デビューを待つ柏木那月を含めて代表キャップ5に満たない選手は9人を数え、一方で昨年のラグビーワールドカップ・ニュージーランド大会を経験したメンバーは、キャプテンの長田いろは、齊藤聖奈、大塚朱紗ら17人という構成だ。
WXV2では日本は10月13日の開幕戦で再びイタリアと対戦。その後、10月21日にサモア、10月27日にスコットランドと対戦。一方、イタリアは日本との初戦の後、20日に南アフリカ、28日にアメリカと対戦する。
女子日本代表WXV遠征スコッド:
FW
加藤幸子(横河武蔵野アルテミ・スターズ、19キャップ)
柏木那月(東京山九フェニックス、0)
川村雅未(RKUグレース、8)
公家明日香(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、5)
向来桜子(日本体育大学ラグビー部女子、 6)
小牧日菜多(日本体育大学ラグビー部女子、11)
齊藤聖奈(MEI PEARLS、37)
左高裕佳(弘前サクラオーバルズ、17)
谷口琴美(横河武蔵野アルテミ・スターズ、10)
永井彩乃(YOKOHMA TKM、18)
長田いろは*(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、24)
永田虹歩( -- 、13)
西村 澪(日本体育大学ラグビー部女子、3)
畑田桜子(日本体育大学ラグビー部女子、1)
峰 愛美(日本体育大学ラグビー部女子、1)
吉村乙華(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、12)
吉本芽以(追手門学院大学女子ラグビー部、1)
ンドカ ジェニファ(北海道バーバリアンズディアナ、2)
BK
阿部 恵(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、17)
安藤菜緒(BRAVE LOUVE、3)
今釘小町(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、17)
大塚朱紗(RKUグレース、18)
小林花奈子(横河武蔵野アルテミ・スターズ、9)
津久井 萌(横河武蔵野アルテミ・スターズ、27)
西村蒼空(MIE PEARLS、5)
弘津 悠(ナナイロプリズム福岡、3)
古田真菜(東京山九フェニックス、22)
松村美咲(東京山九フェニックス、2)
安尾琴乃(BRAVE LOUVE、6)
山本 実(ウスター・ウォリアーズ、25)
(注:* 印はキャプテン、所属の後の数字はキャップ数)