コロナ禍の影響で1年延期されていたアジア競技大会が9月23日に開幕する。2018年大会以来となるアジアの舞台で、日本は男女ともにこの1年の経験と成長を糧にセブンズ女子日本代表は2連覇に、セブンズ男子日本代表は前回の銀メダルから金メダルへの昇格に挑み、アジアトップとしての力量を証明して11月に行われる来年のパリ・オリンピック予選突破を狙っている。

 「ワールドシリーズやアジアシリーズでの反省を活かして、いいパフォーマンスができるようにがんばりたい。個々の強みを活かしたアタックと粘り強くプレッシャーをかけるディフェンスで、前回大会に続いて金メダルを獲得したい」と、サクラセブンズ女子日本代表の平野キャプテンは力強く言った。

女子日本チームは、昨季のHSBCワールドラグビーセブンズシリーズでは全7大会中2大会でベスト8に進出し、総合で過去最高の8位に入る活躍を披露。今季は8月に始まったアジアラグビーセブンズシリーズ初戦となった韓国大会で優勝し、好スタートを切っている。

 チームを率いる鈴木貴士ヘッドコーチは、「スピードやフィジカルなど、シーズンを通して戦わないと分からない部分で少しずつ成長できた。その経験をアジア競技大会で活かしたい。自分たちのラグビーを出したい」と述べた。

 一方、男子は昨季のHSBCワールドラグビーセブンズシリーズで総合最下位に終わり、降格が決まった。今季はアジアラグビーセブンズシリーズ韓国大会で男子日本も優勝しており、幸先はいい。

林大成男子セブンズ日本代表キャプテンは、アジアシリーズでの各大会で他国が力を見せてきている現状に危機感を示しながらも、サイモン・エイモーヘッドコーチの下で戦ってきたこの1年間で、細かい要素でチームに変化が見られると指摘する。

 「サイモン体制で1年になる。チーム戦術、アタック、ディフェンス、個々のスキル、それぞれのマインドセットなど、確実に良い方向に向上していて、チームはすごく良い状態だ」と林キャプテン。「その良い状態でアジア競技大会という大きな大会に臨めることは嬉しい。ワクワクしている」と、自分たちチームの進化への期待感を示した。

 エイモー男子7人制日本代表ヘッドコーチは、「ワールドシリーズはスタンダードがとても高く、非常にタフな大会だ。我々にとって厳しい戦いだったが、プレッシャー下で戦うことで、選手たちがしっかりしたマインドセットを持つことにつながった。

 「ほかの世界強豪チームにくらべて我々の選手たちには経験がほとんどないので、これらのすべての機会が選手にとっては教訓を得て成長する機会になっている。それは先日のアジアシリーズ韓国大会でも見られたが、ときどき試合で気が抜けることもあったので、今後、一貫したマインドセットを持てるようにしていきたい」と話した。

 

日本の実力を示す

 アジア競技大会では、男子は12チームが4グループに分かれてプール戦を行い、各組上位2チームが準々決勝へ進出。勝者は準決勝、決勝へ進む。各組3位チームは順位決定戦へまわる。

日本はプールCでシンガポール、タイと同組。勝ち抜けば準々決勝ではプールDの勝ち上がりチームと対戦する。D組にはUAE、中国、カザフスタンの組み合わせだ。そのほかA組では香港チャイナ、フィリピン、ネパール、B組では韓国、マレーシア、チャイニーズ・タイペイが対戦する。

一方、女子は7チームがE組、F組に分かれてプール戦を実施。日本は香港チャイナ、インド、シンガポールと同じF組。E組には中国、タイ、カザフスタンという組み合わせだ。各組上位2チームが準決勝へ進出し、勝者は金メダル獲得をかけて決勝で対戦する。

 男女とも決勝と3位決定戦は9月26日の午後に行われる。

 セブンズ日本代表の林キャプテン、平野キャプテンは11月半ばに予定されているパリ・オリンピック予選へ向けて、アジア競技大会は重要な位置づけにあると言う。

 男子の林キャプテンは、「目標は優勝。アジアで自分たちが一番だという自信はある。チームとしてまとまって各試合で全力を出し切ることができれば、結果がついてくる」と語り、11月の戦いを念頭に、「しっかり日本の実力を見せて受けて、どこのチームよりも優位な精神状態で(オリンピック予選に)臨みたい」と語る。

 平野キャプテンも「一つ一つの大会でしっかり優勝していくことで、最終的に11月のオリンピック予選で自分たちが望む結果を得られると思っている。まずはアジア大会でしっかり優勝すること。それを意識して頑張りたい」と意気込みを口にした。

 男子はオーストラリア遠征と帰国後に福岡での合宿を経て、また、女子は熊谷と千葉での国内合宿を経て、アジア競技大会開催地の中国の杭州に向かう予定だ。

 

 

男子7人制日本代表 アジア競技大会メンバー:

石田吉平(横浜キヤノンイーグルス)、石田大河(浦安D-Rocks)、奥平 湧(相模原ダイナボアーズ)、加納遼大(明治安田生命ホーリーズ)、ケレビ・ジョシュア(豊田自動織機シャトルズ愛知)、谷中樹平(ヴェルブリッツ)、野口宜裕(セコムラガッツ)、林 大成*(日本ラグビー協会)、福士萌起(日野レッドドルフィンズ)、松本純弥(浦安D-Rocks)、丸尾崇真(神奈川タマリバクラブ)、吉澤太一(レッドハリケーンズ大阪)

 

女子7人制日本代表 アジア競技大会メンバー:

大竹風美子(東京山九フェニックス)、大谷芽生(ながとブルーエンジェルス)、梶木真凜(自衛隊体育学校)、三枝千晃(北海道バーバリアンズディアナ)、須田倫代(追手門学院VENUS)、田中笑伊(ながとブルーエンジェルス)、堤 ほの花(日本体育大学ラグビー部女子)、中村知春(ナナイロプリズム福岡)、原わか花(東京山九フェニックス)、平野優芽*(ながとブルーエンジェルス)、松田凛日(日本体育大学ラグビー部女子)、水谷咲良(東洋山九フェニックス)

(注:* はキャプテン)