世界ランク13位のイタリア代表との対戦は、同14位の日本代表がラグビーワールドカップに臨む大会メンバー確定後、フランス大会前に行う最初で最後のテストマッチだったが、後半途中には4点差まで詰める展開に持ち込みながらも要所で出たミスが響き、勝利に持ち込むことができなかった。終盤には追加トライ2本も許してダブルスコアを献上し、課題も多く見られた。
前半6分、日本は相手陣内でのラインアウトでイタリアにボールを奪われると、SHスティーブン・バーニー選手に中央を突破されて先制トライを許した。
日本は同16分にラインアウトのサインプレーでWTBジョネ・ナイカブラ選手がトライを決めたが、その5分後にイタリアがWTBアンジェ・カプオッツォ選手の右サイドの突破から繰り出されたキックパスにWTBモンターナ・イオアネ選手が走り込んでトライ。5-14と点差を広げられた。
その後、両チームがPG1本ずつを決めて8-17とすると、日本は前半終了間際にSO李承信選手がロングレンジのPGを決めて前半を11-17で折り返した。
後半序盤にPGで再び9点差としたイタリアに対して、日本はパスをつなぎ、フェーズを重ねて、後半10分を目前に相手を押し込む場面を作ったが、ゴール目前でパスが乱れてトライチャンスを逃す。それでも、再び粘りの攻撃を展開し、最後はFB松島幸太朗選手がインゴールに持ち込んで16-20と点差を詰めた。
だが、日本は要所でハンドリングミスが顔を出し、プレー判断の面でも呼吸が合わずに攻撃を畳みかけることができない。
一方、イタリアは直後の後半16分に、好調のイオアネ選手がトライ。後半25分にはFBトンマーゾ・アラン選手がこの日3本目のPGを成功させた。
日本は後半31分にCTBディラン・ライリー選手がトライを決めて21-28としたが、その後もパスの乱れやキックのミスなどで波に乗れない。
苦しむ日本を尻目に、イタリアは後半37分に日本のキックをキャッチしたイオアネ選手がそのままゴールに持ち込んでハットトリックを達成。さらに3分後には、日本のパスをインターセプトしたマーティン・ペイジ・リロ選手が5点を追加。イタリアが終盤の2トライでこの試合5トライを決めて42-21で勝利。日本は国内最終のフィジー代表戦に続く黒星で2連敗となった。
ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチは、「安定したプレーができない時間も多く、残念な部分が多かった。ボールを失うなど自滅が多すぎた。相手にプレッシャーをかけ続けることができなかった」と振り返った。
さらに、この日の試合では日本はキックの精度も欠き、角度のさほど悪くない場所でのコンバージョンを3本決めることができず、点差を縮めて相手にプレッシャーをかける機会を逃し、試合の流れを引き寄せることができなかった。
姫野和樹キャプテンは「今週一週間はいい準備もできていたので、この結果は残念」と悔しさを滲ませ、「テストマッチレベルでは1つ1つのミス、大事な局面でのミスが命取りになってしまう。そこはいいレッスンになったと思う」と指摘した。
その一方で、「ポジティブな点はたくさんあった。自分たちの仕事や役割を100%遂行できれば、いい勢いをつけられるし、スコアも獲れるとわかった」と振り返った。
フランス大会は9月8日に開幕。プールDで戦う日本は9月10日にチリ代表と初戦を迎える。その後、イングランド代表、サモア代表、アルゼンチン代表と戦う。
ジョセフ日本代表ヘッドコーチは、「あとは自信の問題だが、精度の高さは課題で、非常に重要な部分だ」と述べて、プレー精度の向上を図るつもりだ。
出場停止処分が明けて3試合ぶりに出場したFLリーチマイケル選手は、「この試合で自信を持ってワールドカップに行きたかったので負けて悔しい」と語り、「反省するところは反省して、自信を得るところは自信を持って、残りの準備のなかで仕上げていくしかない」と話した。
また、松島選手は、「自分たちのスタンダードを上げないと勝てない相手になっている。そこをちゃんとやっていきたい。連携はもう少しうまくできると感じた。、メンタリティのところをもっと見つめ直さないといけない。ここからは負けたら終わり。一試合でも落としたらベスト8には行けない。一戦一戦、先を見ずにやっていきたい」と気持ちを引き締めていた。
日本代表 試合メンバー:
1クレイグ・ミラー(埼玉ワイルドナイツ)
→17稲垣啓太(埼玉ワイルドナイツ)、後半14分
2堀江翔太(埼玉ワイルドナイツ)
→16坂手淳史(埼玉ワイルドナイツ)、後半21分
3具 智元(神戸スティーラーズ)
→18ヴァル アサエリ愛(埼玉ワイルドナイツ)、後半14分
4ジャック・コーネルセン(埼玉ワイルドナイツ)
5ヘル ウヴェ(スピアーズ船橋・東京ベイ)
→19サウマキ アマナキ(神戸スティーラーズ)、後半0分
6リーチ マイケル(ブレイブルーパス東京)
7福井翔大(埼玉ワイルドナイツ)
→20ベン・ガンター(埼玉ワイルドナイツ)、後半21分
8姫野和樹*(ヴェルブリッツ)
9流 大(東京サンゴリアス)
→21齋藤直人(東京サンゴリアス)、後半18分
10李 承信(神戸スティーラーズ)
→22松田力也(埼玉ワイルドナイツ)、後半0分
11ジョネ・ナイカブラ(ブレイブルーパス東京)
12長田智希(埼玉ワイルドナイツ)
→23中村亮土(東京サンゴリアス)、後半28分
13ディラン・ライリー(埼玉ワイルドナイツ)
14セミシ・マシレワ(花園ライナーズ)
15松島幸太朗(東京サンゴリアス)
( * はキャプテン)
イタリア代表 試合メンバー:
1イワン・ネメル
→17ダニーロ・フィスケッティ、前半29分
2ジャコモ・ニコテラ
→16ルカ・ビージ、後半28分
3シモネ・フェラーリ
→18ピエトロ・チェッカレッリ、後半14分
4ニッコロ・カンノーネ
→19ディノ・ラム、後半14分
5フェデリコ・ルッツァ
→19ディノ・ラム、後半32分
6セバスティアン・ネグリ
7ミケーレ・ラマロ*
8ロレンツォ・カノーネ
→21マヌエル・ズリアーニ、後半14分
9スティーブン・バーニー
→22マーティン・ペイジ・リロ、後半32分
10パオロ・ガルビシ
11モンターナ・イオアネ
12ルカ・モリジ
13フアン・イグナシオ・ブレックス
14アンジェ・カプオッツォ
→23パオロ・オドグウ、後半23分
15トンマーゾ・アラン
( * はキャプテン)
Photo: FIR