来月開幕するフランス大会へ向けて、7月に始まった強化5連戦の最後の試合で日本はフィジーと対戦する。

4年前のワールドカップ日本大会前にも対戦して勝利を収めた相手だが、フィジーは直近のトンガ、サモアとの試合に連勝して勢いもあり、世界ランクでも12位の日本に対して10位と上位に位置している。

 侮れない相手との対戦へ、日本は勝利を収めた7月29日のトンガ戦から先発メンバー4人を変更。2019年日本大会の主力の一人として8強入りに貢献した、FLピーター・ラブスカフニが負傷による長期離脱から復帰して、今回の強化5連戦で初めて試合に復帰する。

 ラブスカフニは昨年11月のフランス戦以来の試合に、「戻って来ることができて最高だ。長い間この日を待っていた。代表でプレーすることはいつも光栄なことで自分の望みなので、本当にワクワクして明日を楽しみにしている」と笑顔を見せた。

 復帰までの間に、チームはジャパンXVとして戦った1試合を含めてオールブラックスXVとの2連戦に連敗。7月22日のサモア代表にも一人少ないなかで22-24と敗れたが、先週末のトンガ戦では白星(21-16)を手にした。

 「ジャパンらしいラグビーも見られる部分が出てきている。その部分を増やして前進したい」とラブスカフニ。本大会メンバー発表前の最後の試合でもあるが、攻守での活躍が期待される南アフリカ出身のバックローは、目の前の試合に集中すると話す。

「フィールドに戻ることを目標に準備を重ねてきて、今回こうして出場機会をもらえた。コンディションはいい。チームでの自分の役割を果たして、自分ができるベストを明日の試合で表現したい」

 日本代表の10番はSO松田力也が務め、松島幸太朗が15番で出場し、ジョネ・ナイカブラ、セミシ・マシレワのフィジー出身の両WTBとバック3を形成する。松島はフィジー戦に出場すれば代表50キャップ獲得となる。

 松田は、7月8日のオールブラックスXV第1戦以来4試合ぶりに司令塔を務めるが、「(10番として)与えられたチャンスにしっかり自分のラグビーをやるだけ。勝利に貢献するために、自分の役割を全うしたい。周りとコミュニケーションとってチームを動かし、コントロールするところは強みとして発揮したい」と意気込む。

このほか、FW陣はLOアマト・ファカタヴァが5戦連続で先発し、トンガ戦ではリザーブ出場だったジェームズ・ムーアが先発4番に戻った。

 リザーブにも負傷から回復した下川甲嗣が名を連ね、CTB中村亮土もオールブラックスXV第2戦以来の試合に臨む。また、先週のトンガ戦で好ゲームを披露したFLベン・ガンターと、3戦連続先発していたSO李承信はベンチスタートで出場機会を待つが、多くの選手がトンガ戦から引き続いてのプレーとなる。

スーパーラグビー参戦で強化のフィジー

 フィジーもワールドカップへ向けて準備を進めており、7月22日にホームでトンガに36-20で、29日にはアウェイでサモアに33-19で勝利を収めて2連勝中。日本戦にはサモア戦から先発メンバー10人を入れ替えた。

チームは東京オリンピックで金メダルを獲得した7人制代表メンバーから、CTBヴィリモニ・ボティトゥやWTBチウタ・ワイニゴロ、NO8メリ・デレナランギの3人を擁しているが、2022年からフィジアン・ドゥルアとしてスーパーラグビーに参戦し、代表チームの底上げを図ってきている。

 SHシミオネ・クルヴォリは、「試合に出場する時間が増えて海外での経験値も増えた。ゲームマネジメントの知識も増えて、チームワークも高まる。地元の選手にとっては有益だ」と話す。

 日本戦に向けては、フィジーのHOサムエル・マタヴェシが「日本は手ごわい相手。4年前から選手もスタッフも変わっているが、我々がこれまで戦ってきたトンガやサモアとは違うフィジカリティがあり、ボールを動かしてくる。厳しい試合になると思っている」と警戒を示したが、同時に、「日本戦の後、大会までにフランス、イングランドとも対戦する。手ごわい相手と戦うことは、9月10日のウェールズとの開幕戦へ向けていい準備になるはずだ」と話している。

 松島はフィジーについて、「フィジカルが強く、アタックが自在で、オフロードも分からないところから放って来る。しっかりダブルタックルをして勢いを止めるところからスタートしないといけない」と指摘した。

 その一方で、日本代表としての攻撃の手ごたえも覚えているようで、「徐々にアタックが嚙み合ってきていると思う。その連携を明日出せるか。(ワールドカップ前の)国内最後の試合。これまで7~8週間でやってきたことを最後の試合でしっかり出したい」と話している。

 日本はフィジー戦後、8月15日に大会メンバーを発表。8月26日にアウェイでイタリアと本大会前最後の強化試合を行う予定だ。

 ラグビーワールドカップ2023では日本はプールDでチリ、イングランド、サモア、アルゼンチンと同組。フィジーはプールCでオーストラリア、ジョージア、ポルトガル、ウェールズと対戦する。

日本代表フィジー戦試合登録メンバー:

1稲垣啓太(埼玉ワイルドナイツ、47キャップ)

2坂手淳史(埼玉ワイルドナイツ、35)

3ヴァル アサエリ愛(埼玉ワイルドナイツ、24)

4ジェームズ・ムーア(浦安D-Rocks、15)

5アマト・ファカタヴァ(ブラックラムズ東京、2)

6ジャック・コーネルセン(埼玉ワイルドナイツ、14)

7ピーター・ラブスカフニ(スピアーズ船橋・東京ベイ、15)

8姫野和樹*(ヴェルブリッツ、27)

9齋藤直人(東京サンゴリアス、13)

10松田力也(埼玉ワイルドナイツ、31)

11ジョネ・ナイカブラ(ブレイブルーパス東京、2)

12長田智希(埼玉ワイルドナイツ、2)

13ディラン・ライリー(埼玉ワイルドナイツ、12)

14セミシ・マシレワ(花園ライナーズ、3)

15松島幸太朗(東京サンゴリアス、49)

16堀江翔太(埼玉ワイルドナイツ、70)

17クレイグ・ミラー(埼玉ワイルドナイツ、11)

18具 智元(神戸スティーラーズ、23)

19下川甲嗣(東京サンゴリアス、1)

20ベン・ガンター(埼玉ワイルドナイツ、6)

21流 大*(東京サンゴリアス、32)

22李 承信(神戸スティーラーズ、8)

23中村亮土(東京サンゴリアス、33)

注:* 印はキャプテン、所属の後の数字はキャップ数

フィジー代表 試合登録メンバー:

1エロニ・マウィ (Saracens)

2サムエル・マタヴェシ (Northampton Saints)

3ルケ・タンギ (Provence Rugby)

4アルバート・トゥイスエ (Gloucester Rugby)

5テモ・マヤナヴァヌア (Northampton Saints)

6レキマ・タギタギヴァル (Section Paloise)

7キティオネ・カミカミザ (Racing 92)

8メリ・デレナランギ (Fijian Drua)

9シミオネ・クルヴォリ (Fijian Drua)

10ベン・ヴォラヴォラ (Racing 92)

11セレシティノ・ラヴタウマンダ (Fijian Drua)

12ヴィリモニ・ボティトゥ (Caster Olympique)

13ワイセア・ナヤザレヴ* (Toulon Rugby)

14チウタ・ワイニゴロ (Toulon Rugby)

15シレリ・マンガラ (Bayone)

16テヴィタ・イカニヴェレ (Fijian Drua)

17ペニ・ラヴァイ (Queensland Reds)

18メサケ・ドンゲ (Fijian Drua)

19テ・アヒワル・シリキダヴェタ (Fijian Drua)

20チョセヴァ・タマニ (Fijian Drua)

21フランク・ロマニ (Fijian Drua)

22テティ・テラ (Fijian Drua)

23イライサ・ドロワセセ (Fijian Drua)

注:* 印はキャプテン