9月に開幕するワールドカップへ向けた強化5連戦の4戦目。負傷で出遅れていた選手も戻り、期待の若手が先発の機会を得た。勝利でチームの連敗を止めたい。

 日本は22日のサモア戦から先発6人を変更。負傷から回復したFLベン・ガンターが今回の強化5連戦で初出場。ここまでリザーブ出場だったCTB長田智希も初先発の機会を得て、所属するワイルドナイツのチームメイトでもあるCTBディラン・ライリーと中盤を固める。

長田は「試合に向けていい準備ができている。12番はセットプレーなど大事なところでぶつかるポジション。しっかり自分の役割を果たしたい」と意気込んでいる。

所属するワイルドナイツではWTBでプレー。昨季はリーグワンで新人賞も獲得した。今回の強化5連戦でもジャパンXVとして戦った初戦から3試合はベンチスタートだったが鋭い動きを見せている。

 「ボールキャリーやチームのアタックに勢いをつけるところは通用したかなと思っている。ずらして前に出て勢いをもたらすのは僕の強み。そういうところで違いを見せられたら」と話している。

ここまでの3試合すべてに出場しているライリーは、「いい試合をしているところもあるが、まだチームが一つになりきれていない」と指摘。ポジションは違うが、所属クラブでシーズンを通して戦ってきた長田が今回先発で出ることで「楽しみ。彼はフィジカルで足もあり、速さがある。サポートしたいし彼も自分をサポートしてくれたら」と述べた。

ガンターもライリー、長田とともにピッチに立つことについて「彼らとのつながりはとても重要。話をしなくても分かり合えるので、一緒にプレーすればより自信を持ってプレーできる」と話している。

 サモア戦ではメンバー外で15日のオールブラックスXV第2戦でリザーブ出場だったPRヴァルアサエリ愛も3番をつけて、PR稲垣啓太、HO坂手淳史とワイルドナイツの3人がフロントローを務める。

 やはり怪我で出遅れていたバックローのテビタ・タタフもリザーブに名を連ねた。ベンチ出場でインパクトを与える機会を待つ。

 このほか、ここまで4試合すべてに先発して好プレーを見せているLOアマト・ファカタヴァが5番から4番に、3戦連続で共同キャプテンを務める姫野和樹がFLからNO8に、またWTBジョネ・ナイカブラは11番から14番へシフトする。もう一人の共同キャプテンはリザーブで出場を待つSH流大。

ナイカブラは先週のサモア戦では、前半途中でレッドカードを受けて退場になったリーチマイケルの抜けた穴をカバーするために急遽バックローを務め、難しい状況で高い対応力も見せた。なお、リーチは3試合の出場停止処分を受け、この試合から8月26日のイタリア戦まで試合に出ることができないことになった。

 

トンガ主将、RWCへ「プレーを通して一つに」

 トンガも今秋のワールドカップへ向けてチーム作りをしている段階だ。先週末22日にはアウェイでフィジー代表と対戦して20-36で敗れたが、その一週間前にはホームでオーストラリアA代表と対戦して27-21で勝利している。

日本戦にはそのオーストラリアA代表戦のメンバー16人が登録。そのなかには、オーストラリア代表歴のあるNO8ロペティ・ティマニや元ニュージーランド代表のFLヴィエア・フィフィタとCTBピタ・アーキ、CTBジョージ・モアラの名前もある。代表選手資格の規定が変わったことで、知識や経験を伝える選手が増えたチームの一つだ。

 トンガ代表主将のSHソナタネ・タクルアは、代表戦50キャップの節目。日本代表とは2015年ワールドカップ前や2019年日本大会前に対戦した経験もある。

「国を代表してプレーすることは嬉しいし光栄。怪我無くやってこれて、クラブが代表の遠征に快く送り出してくれたおかげだし、家族のおかげでもる。フィットした状態を保つことができている」と言う。

 ワールドカップへの準備状況については、「チームとしてまだ多くの準備時間を持てていない。欧州やニュージーランド、オーストラリアなど世界中に選手が散らばっていて、今回の合宿でようやく合流したところ。ここで一緒にしてチームとして一つになれる」と話した。

トンガの変化について、ガンターは「トンガは強いチームだが、ここ2年は以前とは違って、イズラエル・フォラウのような選手が知識と経験を持ち込んでいる。フィジカルで強さのある試合をするが、タレントとスキルが加わった」と指摘。だが「我々はエキサイティングで自分たちのスタイルでも日本のラグビーを遂行したい」と続けた。

 日本は3試合で負けが続いているが、ガンターは「まだチームづくりの段階。ピークが早く来ることは避けたいので、自分たちのことを信じて、ワールドカップでピークにもっていって結果を出せるようにしたい」と話した。

 

 

日本代表試合登録メンバー:

1稲垣啓太(埼玉ワイルドナイツ、46キャップ)

2坂手淳史(埼玉ワイルドナイツ、34)

3ヴァルアサエリ愛(埼玉ワイルドナイツ、23)

4アマト・ファカタヴァ(ブラックラムズ東京、1)

5ヘルウヴェ(スピアーズ船橋・東京ベイ、17)

6ジャック・コーネルセン(埼玉ワイルドナイツ、13)

7ベン・ガンター(埼玉ワイルドナイツ、5)

8姫野和樹*(ヴェルブリッツ、26)

9齋藤直人(東京サンゴリアス、12)

10李 承信(神戸スティーラーズ、7)

11セミシ・マシレワ(花園ライナーズ、2)

12長田智希(埼玉ワイルドナイツ、1)

13ディラン・ライリー(埼玉ワイルドナイツ、11)

14ジョネ・ナイカブラ(ブレイブルーパス東京、1)

15山中亮平(神戸スティーラーズ、28)

16堀江翔太(埼玉ワイルドナイツ、69)

17クレイグ・ミラー(埼玉ワイルドナイツ、10)

18具 智元(神戸スティーラーズ、22)

19ジェームズ・ムーア(浦安D-Rocks、14)

20テビタ・タタフ(東京サンゴリアス、15)

21流 大*(東京サンゴリアス、31)

22松田力也(埼玉ワイルドナイツ、30)

23松島幸太朗(東京サンゴリアス、48)

注:xはキャプテン 所属のあとの数字はキャップ数

 

トンガ代表 試合登録メンバー:

1ジークフリート・フィシオイ (Pau)

2サミュエラ・モリ (Moana Paifika)

3ベン・タメイフナ (Bordeaux)

4ハラレヴァ・フィフィタ (Connacht)

5シティヴェニ・マフィ (Oyonnax)

6ヴァエア・フィフィタ (Scarlets)

7シオネ・ハヴィリ・タリトゥイ (Crusaders)

8ロペティ・ティマニ (Cardiff)

9ソナタネ・タクルア* (Agen)

10ヴィリアム・ハヴィリ (Moana Pasifika)

11カイレン・タウモエファラウ (Moana Pasifika)

12ピタ・アーキ (Toulouse)

13アフシパ・タウモエペアウ (Perpignan)

14ソロモネ・カタ (Exeter)

15サレシ・ピウタウ (Bristol Bears)

16パラウ・ンガウアモ (Castres)

17フェアオ・フォトゥアイカ (Reds)

18デイヴィッド・ロロヘエ (Provence Rugby)

19タンギノア・ハライフォヌア (Grenoble)

20ソロモネ・フナキ (Moana Pasifika)

21マヌ・パエア (Moana Pasifika)

22オトゥマカ・マウシア (Western 2 Blues)

23ジョージ・モアラ (Clemont)

注:* はキャプテン