ニュージーランド代表入りや復帰を目指す代表予備軍のオールブラックスXVに、ジャパンXVとして東京で6-38とノートライで敗れた初戦から一週間、日本代表として挑んだ今回の第2戦では、第1戦から先発7人を入れ替えて臨んだが、ミスが多く、前半だけで4トライを献上する苦しい展開だった。

日本は前半のうちに1トライを返したものの、思うような攻撃を展開できない苦しい展開だったが、後半10分過ぎからSH流大らリザーブメンバーの投入で盛り返し、2トライを返して試合の流れを引き寄せると、相手の得点も2トライに抑える健闘を見せた。

 オールブラックスXVは、試合開始9分にCTBビリー・プロクター、12分にSOスティーブン・ペロフェタのトライで先行したが、日本代表は12分と21分にSO李承信が2本のPGで6-12と6点差に詰めた。

日本は25分にはボールをキープして22メートル内でラックを重ねた粘りの攻撃から、最後はFB松島幸太朗がトライを決め、李のコンバージョンも成功して13-12と逆転した。

 しかし、その5分後、日本は自陣ゴール前で反則を取られ、オールブラックスXVは素早く始めたペナルティからプロクターがインゴールに飛び込んで逆転。36分にはPGで加点して22-13とした。

さらに、ニュージーランド代表予備軍は前半終了目前、日本が相手陣内で犯したハンドリングミスをついてカウンターを展開。WTBジョナ・ナレキの走りで一気に攻め込むと、最後はプロクターがフィニッシュしてハットトリックを達成。コンバージョンも決まって29-13とリードを広げて前半を終了した。

後半開始後も流れは変わらず、オールブラックスXVは後半早々にキック2本での鮮やかな展開で一気にゴール目前へ迫り、WTB のAJ・ラムが押さえて34-13。後半11分には日本の守備のギャップを突いてプロクターがこの日4本目のトライで5点を加え、コンバージョンも成功させて41-13とした。

 ミスが多くリズムをつかめない日本だったが、その直後に流大、坂手淳史、長田智希が交代出場。流の素早いボールさばきでプレーテンポが上がり、攻撃にペースが生まれて日本が反撃に出る。

 選手交代から2分後にはWTBセミシ・マシレワが抜け出してトライをマーク。さらにその5分後にも、相手ペナルティで得たスクラムから攻撃を続け、ゴール前のラックから長田がつなぎ、パスを受けたマシレワがインゴールに走り込んで連続トライ。李のコンバージョンも2本とも決まって27-41と点差を縮めた。

 その後、勢いを得た日本は相手ゴール前まで迫る場面も作ったが、攻め込んだところで落球や反則などが出てフィニッシュに持ち込めない。守備でプレッシャーをかけてオールブラックスXVに追加点を許さなかったものの、日本は得点を挙げることもできず、オールブラックスXVとの2連戦は連敗に終わった。

姫野共同キャプテン、アタックに自信

 試合後、流は「誰かが火をつけないといけない状況だったので、僕がそれをやったらみんながついてきてくれた。躍動感を持ってFWが前に出てくれたのでそのおかげ」と話し、オールブラックスXVについては「軽いミスをすると一気に点を取って来る。いい勉強になった。桜のジャージを着た以上、勝たなくてはいけなかったが、それができず残念」と振り返った。

 流とともにこの試合で共同キャプテンを務めたFL姫野和樹は、「この結果は自分たちが至らないと受け止めないといけないが、向かっている方向性は正しいと思う」とコメント。「自分たちがスキルを使ってスペースにアタックして自信持ってプレーすれば、どんなチームにも負けないと自信がついたと思う。これをもっと研ぎ澄まして、次の試合へ向かいたい」と語った。

ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチもプラス面を強調した。

「ニュージーランドのような質の高い相手に何度もミスをすれば痛い目に合う」と、指揮官はミスが致命傷になる重要性を認めたが、その一方でチームの進歩を指摘した。

「自分は選手たちがプレーを作り出したところに目を向けたい。今日、多くのミスをした。そこは良くしないとならないのは間違いない。だが、我々はワールドカップで真剣勝負に臨むチーム作っている。どんどん改善して、自信を持って自分たちがやろうとしているプレーを続けることで、ワールドカップで勝つことができる」と説いた。

また、日本代表指揮官は、「後半のプレーは良かったと思っている。非常にいい相手にチームは立ち向かっていた。姫野をはじめリーダー陣が良くチームを引っ張ってくれていた。試合後に姫野がファンへ話していたが、我々は自分たちがやっていることを信じているし、それをやり続ける。毎週よくなるだけだ」と語った。

日本代表は7月22日からパシフィックネーションズシリーズ3連戦臨む。

 

オールブラックスXV指揮官、「いい試合ができた」

一方、オールブラックスXVのレオン・マクドナルドヘッドコーチは、「勝ててうれしい。第2戦では日本は第1戦よりも強化して、より強いチームで来ると思っていた。自分たちは特にプランを変更せずに気持ちで備えていたが、フィジカルでも技術でも、本当に手ごわい相手だった。そういう相手にいい試合ができたことを誇りに思う」と述べた。

 オールブラックスXV共同主将のSHブラッド・ウェバーは、「前半はターンオーバーからの仕掛けがうまくいったが、個人での突破で、日本に組織されると突破が難しく、ミスをついてターンオーバーするしかなかった。彼らの守備は先週から格段とレベルアップしていてラックも強化されていた。後半、勢いがついている日本を止めるのは厳しかった。スピード、速いボール回し、ラック周りでもチャレンジしてきてハードだった」と振り返った。

 2019年ワールドカップ日本大会でもプレーしたウェバーは、今回の遠征でニュージーランド代表のワールドカップメンバー入りを目指している若手について問われると、「個人ではなく、チームとして貢献することを示すことが求められているが、今回この舞台に立てたことでデモンストレーションができたかと思う」と話した。

マクドナルドヘッドコーチも、「(代表チームの)オールブラックスのセレクターらが求めているものを発揮することができたということは言えるだろう。それぞれのメンバーがステップアップのために学んだ。後半ミスをしたが、そこからも若手は学ぶことができたと思っている」と語った。

日本代表 試合メンバー:

1稲垣啓太(埼玉ワイルドナイツ)→17クレイグ・ミラー(埼玉ワイルドナイツ)、後半22分

2堀江翔太(埼玉ワイルドナイツ)→16坂手淳史*(埼玉ワイルドナイツ)、後半11分

3具 智元(神戸スティーラーズ)→18垣永真之介(東京サンゴリアス)、後半32分

4ジェームズ・ムーア(浦安D-Rocks)→20リーチ マイケル(ブレイブルーパス東京)、後半19分

5アマト・ファカタヴァ(ブラックラムズ東京)→19ヘル ウヴェ(スピアーズ船橋・東京ベイ)、後半26分

6ジャック・コーネルセン(埼玉ワイルドナイツ)

7福井翔太(埼玉ワイルドナイツ)

8姫野和樹*(ヴェルブリッツ)

9齋藤直人(東京サンゴリアス)→21流 大(東京サンゴリアス)、後半11分

10李 承信(神戸スティーラーズ)→22松田力也(埼玉ワイルドナイツ)、後半30分

11セミシ・マシレワ(花園ライナー)

12中村亮土(東京サンゴリアス)→23長田智希(埼玉ワイルドナイツ)、後半11分

13ディラン・ライリー(埼玉ワイルドナイツ)

14ジョネ・ナイカブラ(ブレイブルーパス東京)

15松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)

注:はキャプテン、所属の後の数字は日本代表キャップ数

オールブラックスXV試合メンバー:

1 Aiden Ross (Chiefs)→17 Ollie Norris (Chiefs)、後半19分

2 Goerge Bell (Crusaders)→16 Tyrone Thompson (Chiefs)、後半11分

3 Jermaine Ainsley (Highlanders)→18 George Dyer (Chiefs)、後半24分

4 Naitoa Ah Kuoi (Chiefs)→19 Cameron Suafoa (Blues)、後半22分

5 Quinten Strange (Crusaders)

6 Akira Ioane (Blues)

7 Billy Harmon (Highlanders)*

8 Pita Gas Sowakula (Chiefs)→ 20 Christian Lio-Willie (Crusaders)、後半11分

9 Brad Weber* (Chiefs)→21 Folau Fakatava (Highlanders)*、後半22分

10 Stephen Perofeta (Blues)

11 Jona Nareki (Highlanders)

12 Jack Goodhue (Crusaders)→22 Alex Nankivell (Chiefs)、後半14分

13 Billy Proctor (Hurricanes)

14 Aj Lam (Blues)

15 Ruben Love (Hurricanes)→23 Sam Gilbert (Highlanders)、後半19分

注:* 印はキャプテン