今秋新たにスタートするWXV大会参戦を前に、女子日本代表に強力な強化サポート役が現れた。今年4月まで女子イングランド代表で指揮を執り、女子シックスネーションズ5連覇やラグビーワールドカップ優勝などに導いたサイモン・ミドルトン氏が、サクラフィフティーンのハイパフォーマンスアドバイザーに就任した。日本ラグビー協会が6月28日に発表した。

 女子イングランド代表の前指揮官の参画は、ワールドラグビーの「テクニカル・サポートプログラム」の一環として実現。各国協会の需要に応じて技術的サポートを行うもの。

女子日本代表は、アジアラグビーチャンピオンシップを制して今年10月に開幕するWXV2に出場することが決定しており、チーム強化として6月28日からはスペイン遠征に出発した。7月8日と15日に女子スペイン代表とテストマッチ2連戦を行う予定で、2021年ワールドラグビー・コーチ・オブ・ザ・イヤーにも選ばれたミドルトン氏もこの遠征に帯同し、強化アドバイザーとして最初のテストマッチに臨む。任期は今秋のWXV終了まで。

2021年に大英帝国勲章MBEも受勲したイングランド出身の57歳は、選手時代にはウィングを中心にバックスの選手としてラグビーユニオンだけでなくラグビーリーグも経験。2000年に古巣のリーズ・タイクスで指導者に転向後、ビショップ・バートン・カレッジで2012年から2年間ディレクター・オブ・ラグビーを務めた後、2014年からは女子7人制イングランド代表のヘッドコーチに就任。チームは2016年リオデジャネイロ・オリンピックで4位に入る健闘を見せた。

2015年から今年4月の退任まで15人制の女子イングランド代表で指揮官を務め、女子シックスネーションズでグランドスラムを5回達成し、2019年11月から2022年11月の間にはチームは30連勝もマーク。ラグビーワールドカップでは2014年の優勝に続いて2017年とコロナ禍で1年遅れでの開催となった2021年大会で準優勝するなど、数々の輝かしい戦績をもたらしている。

 女子日本代表を率いるレスリー・マッケンジーヘッドコーチや選手たちとの仕事を「とても楽しみにしている」というミドルトン女子日本代表ハイパフォーマンスアドバイザーは、日本協会を通じてコメントを発表した。

「サクラフィフティーンは昨年のワールドカップで力強いパフォーマンスを見せて、エキサイティングなラグビーを展開した。10月に開催されるWXVに向けて、サクラフィフティーンが上位チームとの差を継続して縮めることができるようにサポートすべく、このプログラムに携わることになった。大変光栄に思っている」と述べている。

 日本協会の宮崎善幸ナショナルチームディレクターは、ミドルトン氏について「女子セブンズイングランド代表や女子イングランド代表という、常に高いレベルで戦うチームをヘッドコーチとして率いてきた実績のある、世界の素晴らしい指導者のひとり」と指摘。今回の就任で「サクラフィフティーンの強化のスピードを上げる重要なピース。スペイン遠征、秋の国際試合、国内合宿など、彼とともにチームの強化を推進していけることが非常に楽しみ」と語っている。