次代のシニア代表をけん引すると期待される20歳以下の世界トップ12チームが南アフリカのケープタウンおよびパール、ステレンボッシュのウェスタンケープ地域に集結。6月24日(土)からの3週間でこの年代の世界トップを決める戦いを繰り広げる。南アフリカでの開催は2012年大会以来だ。

 大会は新型コロナウィルス感染症の世界的流行による中断を経て4年ぶりの開催で、日本は2019年ワールドラグビーU20トロフィーに優勝して昇格を決定。今回2018年大会以来のトップカテゴリーでの挑戦となる。

 日本を含めた出場12チームは4チームずつのグループに分かれてプール戦を実施。日本はプールAで直近の2018年と2019年の2大会に連続優勝したフランス(24日)、6大会優勝のニュージーランド(29日)、2013年大会準優勝のウェールズ(4日)と対戦する。

 日本は今大会へ向けて、U20代表メンバーでジュニア・ジャパンを編成して5月にワールドラグビー・パシフィックチャレンジ2023に参加して調整を行い、優勝したフィジー・ウォリアーズと開催国のマヌマ・サモアに敗れたものの、トンガA代表に勝って1勝2敗で終了。さらに、5月27日には東京でニュージーランド学生代表(NZU)との強化試合に52-46で勝利を収めて、今大会へ向けて弾みをつけた。

 コロナ禍の影響で、この年代の選手たちは高校代表を含めて海外遠征など対外試合の機会が大きく制限されてきたため、サモア遠征が貴重な実戦の機会となった。

 サモア戦に3番で先発したPR黄世邏選手は、体格の大きな相手との対戦を経験したことで、「フィジカルで負けるわけではないと自信ができた。遠征経験は大きかった」と振り返り、本大会へ向けて「不安もあるがワクワクしている。対戦相手はどこも強豪で、自分たちがいままでやってきたことがどこまで通じるのか、すごく楽しみ」と話す。

集中力と一貫性

 チームの強みを「常に成長を続けていること」と評価するロブ・ペニーU20日本代表ヘッドコーチは、「サモア遠征以降、大きな成長が見られる。NZU戦でも自分たちの持っている能力の一端を見せることができた」と選手たちの伸び代を指摘した。

「課題は一試合を通して集中を保ち、プレーの一貫性を出せるか。それができればチームとして効果的に力を発揮できるようになる」と、U20ニュージーランド代表や旧トップリーグのチームも率いた指揮官は、選手たちの持つ可能性に期待を寄せている。

 日本の大会出場は12回を数えるが過去最高は2015年の10位。2008年から2年連続で16チーム中15位に終わるなど苦戦が続いてきた。今大会、それを超えることができるか。

 ペニーヘッドコーチは、「我々の選手は、日本を代表して戦うという強い気持ちを持って、戦い抜く姿勢がある。それを出し切ること」と話し、それが結果につながると説く。

 日本が初戦で対戦するフランスのLenni Nouchi主将は、「僕らができる最高のラグビーを見せたい。僕らには果たすべきレガシーがあることはみんな分かっている。今回は僕らが輝く番だ」と大会制覇へ強い意気込みを示している。

他プールも激戦必至

このほか、プールBは3大会(2013、2014、2016年)優勝のイングランド、前回2019年大会を含めて準優勝2回を数えるオーストラリア、2011年の6位以上を目指すフィジー、2016年大会準優勝で今年3月のU20 シックスネーションズで優勝したアイルランドという組み合わせだ。

アイルランドのGus McCarthy主将は、「主将を務めるはとても光栄だ。チームにはリーダーとなる選手が大勢いるので特にプレッシャーはない。厳しいグループだが、最初の3試合が楽しみだ」と自信を漂わせている。

プールCには今大会の開催国で前回開催の2012年大会を制した南アフリカ、2016年大会3位でシニア代表やセブンズ代表でも近年台頭が顕著なアルゼンチン、初のベスト8入りを目指すジョージア、2017年と2018年で8強入りのイタリアが顔を合わせる。

南アフリカのPaul de Villiersキャプテンは、「開催国として家族や友人の前でプレーできて光栄であり心が躍る。だが、やるべきことがあるということも分かっている。国内各地から集まったチームだが、チーム一丸となって僕らができるベストなラグビーをプレーしたい」と語っている。

今大会ではプール戦の順位に応じて順位決定戦を行い、優勝チームを決定する。大会最下位チームはU20トロフィー大会へ降格となる。

 24日の大会初日にはアルゼンチンとイタリアがパールでの開幕戦(現地時間11:00、日本時間18:00)に登場。その後、同会場でイングランドとアイルランド(現地時間13:30、日本時間20:30)、ステレンボッシュでフランスと日本(現地時間14:00、日本時間21:00)の対戦が予定されている。

U20日本代表 第1戦フランス戦試合登録メンバー:

1西野帆平(明治大学)
2大本峻士(立命館大学)
3富田 陸(明治大学)
4佐々木柚樹(大東文化大学)
5ハリー・ウィラード(ダラム大学)
6宮下晃毅(法政大学)
7林 慶音(同志社大学)
8小林典大(関西学院大学)
9土永 旭(京都産業大学)
10楢本幹志朗(筑波大学)
11矢崎由高(早稲田大学)
12大町佳生*(帝京大学)
13野中健吾(早稲田大学)
14御池蓮二(立命館大学)
15武藤航生(関西学院大学)

16黄 世邏(関西学院大学)
17弓部智希(近畿大学)
18杉浦皓亮(東海大学)
19能勢涼太郎(近畿大学)
20楠田知己(明治大学)
21高橋佑太朗(筑波大学)
22生田弦己(帝京大学)
23今野椋平(慶應義塾大学)