今秋始まる女子の新大会WXVにつながる地域予選を兼ねた今大会では、当初は開催国カザフスタン、香港チャイナ、日本、中国の4チームでWXVの2つの出場枠を競うことになっていた。しかし、中国が出場を辞退。23日に香港チャイナとカザフスタンが対戦してカザフスタンが27-23で競り勝って決勝へ進出。この時点でカザフスタンのWXV2またはWXV3への出場が決定した。

日本とカザフスタンによる28日の決勝では、勝者がアジアタイトルとWXV2への出場権を獲得し、敗れたチームはWXV3への出場権を手にすることになる。

WXV2には欧州から2チーム、パシフィック・フォー・シリーズの4位チーム、そしてオセアニア、アジア、アフリカの各地域から1チームずつが出場。シーズン終了時にこの6チームの最下位チームがWXV3に降格する。

一方、WXV3には欧州から2チームと、アジア、オセアニア、アフリカ、南米の各地から1チームずつが参戦し、1位になったチームがWXV2に昇格する仕組みだ。

 

サクラ15、RWC後の初試合

日本は昨年のワールドカップ後に選手の入れ替わりもあり、昨年までとは様変わり。次の2025年ワールドカップへ向けて2期目に入ったレスリー・マッケンジーヘッドコーチの下、チームは合宿を繰り返して新たなチームをつくってきた。

今回の遠征は昨年のワールドカップ経験者14人を軸に、ノンキャップ選手7人を加えた26人構成で臨み、5月18日にアルマトイ入り。翌日から現地で調整を行ってきた。

ワールドカップ後の初試合で、WXV2への出場枠がかかるアウェイでの一発勝負となるが、マッケンジーヘッドコーチは「自分たちにフォーカスするための良い機会。トレーニングでやってきていることを発揮できるか、チャレンジは自分たちの内側にある」と話して、ベクトルを自分たちに向けている。

昨年のワールドカップ・ニュージーランド大会までの強化でチームのベースができているという認識を示し、今回の試合には「準備してきたことをどれだけ遂行できるかで結果はついてくる」とキッパリ。アウェイでの戦いだが、「私たちはアウェイでの戦いの方が多いので慣れている」と意に介する様子はない。

今回の遠征メンバーで最多キャップ保持者は22キャップの津久井萌選手。長年、代表でプレーして国際経験が豊富な齊藤聖奈選手や鈴木実沙紀選手らは不在だが、サクラフィフティーン指揮官は、「自分が望んでいたメンバーはここにいるし、若い選手たちを連れてきて経験させることができる」と、新たな展開に期待を抱いている。

 

カザフスタン、WXV出場権は確保

最新の世界ランキングでは、日本の11位に対してカザフスタンは19位。カザフスタンが準決勝で対戦した香港チャイナは世界ランク16位で、昨年12月にはアウェイの香港で2連敗した相手だったが、ホームのアルマトイで迎えた今回の準決勝では、Amina Tulegenova選手とYelen Yurova選手がそれぞれ2トライをマークするなど、5トライを奪う攻撃を披露。前半にフランカーのLiliya Kibisheva選手がイエローカードを受けて数的不利となった間に香港チャイナに得点を許す場面もあったが、試合を立て直して勝利を掴んだ。その1勝で、少なくともWXV3へのアクセスは確保した。

「アジアを代表してWXVで戦うことができる。この勝利の意義は大きい」とカザフスタンのKarina Sazontova主将は新トーナメントへの参加決定を喜んだ。

 日本は今回、新キャプテンの下で戦いに挑む。ワールドカップ後に引退してチームを離れた南早紀選手に代わって、長田いろは選手が後任に任命された。

長田選手は7人制の経験もあり、今季のHSBCワールドラグビーセブンズシリーズの香港大会などにも参戦。15人制では、昨年のニュージーランド大会と2017年のアイルランド大会の2つのワールドカップでプレーするなど、19キャップを持つ。

 「ワールドカップで結果を残したいという思いが強くて引き受けた」というキャプテンという新たな役割にも、長田選手は「このチームを引っ張って自分も成長していきたい」と話す。

 今回の対戦には、新キャプテンは「全員がアタックで脅威になることにフォーカスしている。25年まで、常に成長し続けるチームにしたい」と語り、先を見据えている。

 

 

 

女子15人制日本代表カザフスタン遠征メンバー

阿部 恵(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、14キャップ)

安藤菜緒(BRAVE LOUVE、0)

今釘小町(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、13)

牛嶋菜々子(日本体育大学ラグビー部女子、0)

大塚朱紗(RKUグレース、13)

加藤幸子(横阿川武蔵野アルテミ・スターズ、14)

川村雅未(RKUグレース、4)

北野和子(MIE PEARLS、7)

公家明日香(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、1)

小鍛治 歩(東京山九フェニックス、6)

小牧日菜多(日本体育大学ラグビー部女子、6)

櫻井綾乃(横河武蔵野アルテミ・スターズ、17)

谷口琴美( ― 、6)

津久井萌(横河武蔵野アルテミ・スターズ、22)

永井彩乃(YOKOHAMA TKM、13)

長田いろは*(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、19)

中村沙弥(四国大学女子ラグビー部、0)

西村蒼空(MIE PEARLS、0)

西村 澪(日本体育大学ラグビー部女子、1)

パラキゆき(ながとブルーエンジェルス、0)

古田真菜(東京山九フェニックス、18)

峰 愛美(日本体育大学ラグビー部女子、0)

安尾琴乃(BRAVE LOUVE、2)

安永佳奈(日本経済大学女子ラグビー部、0)

吉村乙華(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、8)

ラベマイまこと(横河武蔵野アルテミ・スターズ、20)

注:* はキャプテン、所属のあとの数字はキャップ数