今季シリーズ最終大会の優勝を手にしたのは、決勝でフィジーに35-14と勝利したアルゼンチンだった。
先制したのはフィジー。試合開始1分でFilipe Sauturaga選手がトライを決めたが、直後にJosese Batirerega選手が危険なプレーでレッドカードを受けて退場になると、アルゼンチンは数的優位を活かして攻撃。前半3分にGerman Schulz選手とMarcos Moneta選手の連続トライで14-7と逆転した。
準決勝でニュージーランドに19-17と競り勝ったフィジーは、後半開始直後にSauturaga選手がチップキックで相手の裏を突き、自ら回収してトライに持ち込んで同点にしたが、アルゼンチンは長短のキックを織り交ぜた多彩な攻撃を披露。9分には自陣深い位置からロングキックを相手陣内深くに蹴り込み、Marcos Moneta選手が拾ってRodrigo Isgro選手へつないで5点を加えると、2分後にはワイドな展開からIsgro選手が再びトライ。試合終了直前にはMoneta選手がトライラインを超えて35-14で勝利を収めた。
アルゼンチンのSantiago Alvarez選手は、「チームをとても誇りに思うし、チームメイトに感謝したい。長いプロセスを経てこのような終わり方を手にすることができた。素晴らしいシーズンになった」と笑顔。チーム飛躍の背景を訊かれると、「毎日の練習から一人ひとりがチームのためにできることをすべてやってきた。その成果だと思う」と胸を張った。
オーストラリアがパリ行きチケット
パリ・オリンピック出場の最後の1枠を懸けた戦いは、最後までもつれた。
初日の戦いを経て五輪出場権のチャンスはオーストラリアかサモアに絞られ、オーストラリアは準々決勝でフィジーに5-19で敗れた時点で、パリ行きに暗雲が漂う。すでに準決勝へ駒を進めていたサモアが決勝進出で出場権を獲得できる状況になった。
オーストラリアはフランスとの5位決定準決勝で、後半半ば過ぎまで19-12とリードを奪ったが、試合時間残り2分40秒頃にJosh Turner選手がイエローカードを受けて6人になると、フランスはそのペナルティからの攻撃でPaulin Riva選手がトライを決めて17-19に。フランスはさらに、終了間際に22メートルライン手前で得たペナルティから数的優位を活かして攻めると、最後はRiva選手が再びインゴールに飛び込み、フランスが22-19で逆転。オーストラリアにはパリ行きが遠のく黒星となった。
ところが、直後に行われたサモアとアルゼンチンの準決勝で再び状況が変わる。
決勝進出で五輪切符獲得が決まるサモアは、Vaa Apelu Maliko選手が前半3分にトライ、Melani Matavao選手のコンバージョンも決まって先行した。2分後にアルゼンチンのGerman Schulz選手に5点を返されたが、サモアが試合時間残り2分まで7-5とリードを奪った。
しかし、そこでアルゼンチンのSantiago Alvarez選手がインゴールに持ち込んで10-7と逆転。そのリードを最後まで守ってアルゼンチンが3大会連続で決勝進出を決め、サモアは勝ち点が132止まりになった。
その結果、オーストラリアは7位決定戦で英国に34-5と勝利を収め、勝ち点を133としてシリーズ5位を確定させて最後のオリンピック出場枠を獲得した。Maurice Longbottom選手とMatthew Gonzalez選手が1トライずつを決め、Nathan Lawson選手がハットトリックで勝利を締めくくった。
オーストラリアのNick Malouf主将は、「ジェットコースターのように激しく展開した一日だった。いくつか奇跡があってラッキーだったが、今回かなりハードワークを重ねてきた。これまで自動出場権を獲得したことはなかったので、本当に大きなことだし、すごくうれしい」と語った。
サモアは3位決定戦でチームを立て直し、ニュージーランドにTaunuu Niulevaea選手のロスタイムのトライで24-19と競り勝って、優勝したケープタウン大会以来の表彰台で銅メダルを獲得した。
なお、5位はアイルランドを21-19で破ったフランス、9位は南アフリカで、プール戦で26-26と引き分けていたアメリカに47-5で勝利した。11位は日本に28-12で勝ったスペインだった。
カナダがプレーオフを制してコアチームに
来季12番目のコアチーム枠を巡る戦も激戦となった。
プレーオフのプール最終戦で、カナダはJack Carson選手とAlex Russell選手がハットトリックの活躍でトンガに43-7と大勝。一方、初日に2勝で4チームのトップに立っていたケニアは、ウルグアイに10-14で惜敗。この結果、3戦全敗したセブンズチャレンジャーシリーズ優勝のトンガ以外の3チームが2勝1敗で並んだが、得失点差でカナダが1位、ケニアが2位で勝ち抜けて決勝へ進出した。
カナダとケニアの対戦となった決勝では、Nelson Oyoo選手のトライでケニアが先制したが、カナダはJosiah Morra選手のトライで7-7と追いつき、後半半ばまで均衡した展開になる。
ところが、ケニアは後半残り3分になってJohn Okoth選手がイエローカードを受けて数的不利になり、その間にカナダは自陣22メートル付近からBrock Webster選手がラインブレークで攻め込むと、最後は右大外でパスを受けたAlex Russell選手がトライラインを超えて12-7で逃げ切った。
カナダのPhil Berna選手は来季の参戦決定に、「すばらしい気分だ。自分たちがいるべきところだと感じる。チームの積み上げを続けた結果だ」と喜んだ。
日本は最終戦12位で終了
プールBで3連敗となり21日の9位決定準決勝に進んだ日本は、プールAを1分2敗の3位となった南アフリカと対戦。相手に2トライと1コンバージョンで12-0と先行され、石田大河選手のトライと吉澤太一選手のコンバージョンで5点差に迫ったが、前半終了間際にRonald Brown選手にこの試合2本目を決められると、後半にも2トライを許して日本は7-29で敗れた。南アフリカはその後アメリカに47-5と勝利して、9位で終了した。
11位決定戦にまわってスペインと対戦した日本は、石田大河選手が前半5分にトライを決めて先制したが、1勝を求めたスペインが反撃。Nicolas Nieto選手が5点を返して追いつくと、Jaime Mata選手が続いて14-5で折り返した。
日本はティモ・スフィア選手が後半早々にインゴールに持ち込み、吉澤選手のコンバージョンも決まって12-14と追い上げたが、Mata選手に2本目を決められ、Jaime Manteca選手がさらに5点を加えてスペインが28-12で勝利した。
今季シリーズ各賞が決定
ロンドン大会終了後、今季シリーズの各個人賞が発表になった。
サモアのVaa Apelu Maliko選手が50得点でGilbertトップトライスコアラーを獲得。24歳のApelu Maliko選手はDHLインパクト・プレーヤー賞も受賞。11大会でブレーク41本、タックル122本、オフロード55本、キャリーは214という数字を残した。
トライ・オブ・ザ・シリーズはアルゼンチンのRodrigo Isgro選手がロサンゼルス大会のサモア戦で決めた1本に決まり、ファン投票で候補者が絞られるCAPGEMINI #Hot Stepper賞には、ニュージーランドのAkuila Rokolisoa選手とRoderick Solo選手が選ばれた。
ルーキー・オブ・ザ・イヤーは南アフリカのRicardo Duarttee選手が、フランスのTheo FornerとアルゼンチンのJaquin Pellandiniの二人を抑えて獲得。25歳のDuarttee選手はデビューしたドバイ大会を含めて今季7大会に出場し、52試合で15トライ、67コンバージョン、1PGで212得点を挙げた。
今季のドリームチームはRodrigo Isgro(アルゼンチン)、Leroy Carter(ニュージーランド)、Marcos Moneta(アルゼンチン)、Akuila Rokoisoa(ニュージーランド)、Vaa Apelu Maliko(サモア)、Luciano Gonzalez(アルゼンチン)、Henry Paterson(オーストラリア)の7選手が選ばれた。
また、フェアプレー賞は日本が獲得した。