ワールドラグビーは、スポータブル社およびギルバート社と提携し、6月に南アフリカで開催されるワールドラグビーU20チャンピオンシップで、スマートボールテクノロジーをライブの試合審判に取り入れるという世界初の試みに挑みます。

イノベーションが生んだこのスポーツの生誕200年を祝し、ワールドラグビーは、新しいテクノロジーと人工知能の出現が、ラグビーの未来をどのように形成し、試合の流れを助け、ファンの体験を次のレベルへと引き上げることができるかを模索しています。

複雑な審判の技術もそのような注目領域であり、先日行われた「シェイプ・オブ・ザ・ゲーム会議」の結果に沿って、ギルバート・スマートボールがどう審判にどう役立つのか、競技規則の中でもよく起こる、しかし判断の難しい規則について、より正確でより迅速な判定を可能にしてくれるか、期待を寄せています。

例えば、ボールが前方にパスされたかどうか、ボールがトライラインを越えたかどうか、ボールが飛行中やライン上でタッチされたかどうか、タッチが認められたかどうか、ラインアウトのスローがまっすぐだったかどうか、などです。

テクノロジーの仕組み

ピッチ上に配置されたビーコンが立体的かつリアルタイムでスマートボールを追跡し、ボールの正確な位置を1秒間に最大20回特定し、キック、パス、スローが行われる都度、即時フィードバックを提供します。

ワールドラグビーU20チャンピオンシップでは、スマートボールは、視覚的な評価だけでは困難で時間のかかる以下のような使用例でマッチオフィシャルを支援します。

  • スローフォワード

ボールが手から離れるときの相対速度を測定することで、パスの際にボールが「前に投げられた」かどうかを示し、フォワードパスの判定を支援します。

  • タッチ位置の特定

ボールがタッチとなった際の位置を正確に把握することで、ボールがピッチを出た位置からラインアウトが行われるようにします。

  • 飛行中のタッチ

ボールタッチによるスピンや軌道の変化を認識することで、ボールが飛行中にタッチに出たかどうか(例:パーシャルチャージダウン)の意思決定に役立てます。  

  • ボールがトライラインを越えた

ボールがトライラインに達したかどうかは、ボールの位置をライブで特定することで判断します。

  • ラインアウト・スロー

ラインアウトのスローがまっすぐでないかどうかを、スローのリリースからプレーヤーがボールに触れるまでの角度を測定することで瞬時にフィードバックします。

この情報はテレビマッチオフィシャル(TMO)に直接送られ、TMOはその情報をもとにレフリーにフィードバックすることができます。

スマートボールは、すでに放送やデジタル体験を支援する豊富なインサイトやデータの提供に成功していますが、最近のテストでは、審判の意思決定を支援し、ゲームを左右する決定に取り組み、しばしば厄介な領域で審判やマッチオフィシャルチームの負担を軽減する可能性も実証されています。

ワールドラグビーU20チャンピオンシップは、男子国際ラグビーのの将来のスター選手たちがその能力を披露する場であり、今後の技術革新のためのイノベーションハブでもあります。今回のトライアルは、TMOバンカーが国際大会で初めて運用されることを発表したのに続くものです。

ワールドラグビー ディレクターのフィル・デイビスは次のように述べています。「スピード感のある試合は良い試合です。試合の流れを助け、停止時間を減らし、試合審判の意思決定を速める可能性のある技術を探求することは正しいことです。」

「ラグビーの審判は、おそらくスポーツの中で最も難しい審判の仕事です。どんな瞬間でも、複数の判定が下されたり、または判定が下されなかったりという場面があります。放送やソーシャルメディアが発達したことで、そういったレフリーの判断が競技終了後もずっと話題になってしまいます。」

スマートボール技術の進化は、レフリーがより迅速に正確な判断を下せるようにサポートし、主観を排除してエラーの可能性を減らすという扉を開くものです。これは試験的導入で、技術は新しいものですが、私たちはその可能性に期待しており、ワールドラグビーU20チャンピオンシップで実際に使用されるのを楽しみにしています。」

スポータブル社のCEO兼共同設立者のドゥガルド・マックドナ氏も次のように加えました。「私たちは、来るワールドラグビーU20チャンピオンシップで、ギルバート・スマートボールの全能力をさらに紹介できることをワクワクしています。」

「放送用グラフィックやデジタルコンテンツを通じ、ファン体験を向上させるスマートボールテクノロジー導入の成功に続き、次の段階として、今度は審判ソリューションを導入したスマートボールの提供に期待しています。」

「私たちは、ワールドラグビーが実施している「シェイプ・オブ・ザ・ゲーム」を全面的に支持し、ゲームを前進させる一翼を担えることを嬉しく思っています」。

ギルバート社のCEO、リチャード・グレイ氏は次のように述べました。「ワールドラグビーが、この新しいテクノロジーを使用する最初のグローバルイベントに、スポータブル社製のギルバートiNNOVOスマートボールを採用したことを嬉しく思っています。フィールドの内外でゲームの向上に貢献するこのような革新的なコラボレーションを開始することで、ギルバート社がラグビー界での200年記念を祝うことができるのは、この上ない喜びです。」

ワールドラグビーは、 ワールドラグビーU20チャンピオンシップでTMOバンカーを試験的に導入します。これは、判定を支援する新技術の継続的なレビューの一環であり、成功すれば、ラグビーワールドカップ2023開催前の国際試合でも試験的導入が行われる可能性があります。