サクラセブンズこと、女子7人制日本代表がトゥールーズで行われたHSBCフランスセブンズ最終日の5月14日、5位決定戦でアイルランドに14-0と完封勝利を収めて、過去最高成績を出した。

 シリーズ総合9位でトゥールーズ入りした日本に対してアイルランドは5位。日本と対戦する前の5位決定準決勝でフィジーに10-5と競り勝って、残り1つとなっていたオリンピック出場権を獲得。五輪初出場のアイルランドは、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、開催国フランスとともにパリの大会に臨むことを決めていた。

その相手に日本は試合開始から持ち前の激しく粘り強い守備を発揮。早々にアイルランドの選手がイエローカードを受けると、日本は数的優位を活かして攻め、前半3分に平野優芽選手のスイッチパスを受けた須田倫代選手がトライとコンバージョンを決めて先制した。

 激しく正確なタックルで相手の出足を止めながら、後半早々にはアイルランドがスペースへ蹴ったボールを獲得。平野選手が抜け出し、パスを受けた中村知春選手がゴールまで走り切って2本目のトライを決め、須田選手が2点を追加した。このリードをハードな守備で最後までキープして勝利した。

 この試合の前には5位決定準決勝で、日本は3月の香港大会で3位に入った英国と対戦。今大会プール初戦で12-19と惜敗していた相手に14-5で勝利を収めていた。

英国戦では日本は前半4分、Megan Jones選手に守備のギャップを突かれてパスを通されてGrace Crompton選手に先制トライを許したが、直後のリスタートから大竹風良子選手が抜け出してオフロードパスでつなぎ、大谷芽生選手が同点トライ。須田倫代選手がコンバージョンを成功させて7-5と逆転した。

 日本の激しい守備に、突破に苦しむ英国は終盤、ペナルティからをサイドにキックで展開して裏への抜け出しを狙うがパスが通らず、タッチに切れて日本のラインアウトに。日本はそこから粘り強くパスをつなぎ、最後はゴールライン目前のラックから中村知春選手が左サイドの原わか花選手へパス。原選手が受けてトライを決め、須田選手のコンバージョンも決まって14-5で日本が勝利した。

 過去最高の5位決定戦進出で、前キャプテンの中村選手は「(東京)オリンピックのあとからハードワークを続けてきた。それが形になってきている」とコメントしていた。

 この結果、サクラセブンズはシリーズ総合順位を1つ上げて8位で今季の戦いを終了した。

 中村選手は、「頼りがいのある若い選手たちが新しい景色を見せてくれた。(最下位で終った)東京オリンピックからここまで、這い上がってきた仲間たちを誇りに思う。長くて遠回りが多いサクラセブンズの歩みが、やっと前に進んでいることが確認できた」と語った。

ブラックファーンズが6大会連続優勝

 女子のフランス大会優勝はニュージーランド。ハミルトン大会以来となる決勝での顔合わせとなったアメリカを19-14で退けて、6大会連続優勝でシリーズ制覇に華を添えた。

 準決勝でフランスに31-7で勝利して今季7ラウンドの大会すべてで決勝へ進出進出していたブラックファーンズは、アメリカに前半14-5とリードを許した。

準決勝オーストラリア戦で終了間際にトライ決めて10-7の勝利に貢献していたアメリカのNaya Tapper選手が、試合開始直後に先制トライを決め、5分にもKristi Kirshe選手が5点を加えてAlena Olsen選手のコンバージョンも成功して14-0と先行した。

しかし、ニュージーランドは前半終了直前にStacey Waaka選手がゴールラインを超えて5点を返すと、後半Jazmin Felix-Hotham選手が続き、終盤にWaaka選手が再びトライをマーク。Tyla Nathan-Wong選手が2本目のコンバージョンを成功させて19-14と逆転した。Waaka選手は決勝の最優秀選手に選ばれた。

 3位はフランスに33-7で勝利したオーストラリアで、Maddison Levi選手がハットトリックを達成。これにより、21歳のLevi選手は今季シリーズ通算トライを57としてトライ王を獲得し、同僚Portia Woodman選手の歴代最多トライ数を超えた。

 5位は日本、7位はフィジーに22-17で勝った英国、9位はカナダに15-14と競り勝ったスペイン、11位はブラジルに19-7で勝利したポーランドだった。

 この結果、シリーズ最終順位はニュージーランドが勝ち点を138に伸ばしてトップで終了。昨季覇者のオーストラリアは2位(勝ち点118)、3位アメリカ(108)。4位フランス(92)、5位アイルランド(74)。フィジーと英国が勝ち点68で6位に並び、8位に日本(40)、9位カナダ(39)、10スペイン(28)、11位ブラジル(16)だった。

男子優勝はニュージーランド、フィジーが五輪出場確定

今季シリーズ第10ラウンドの男子も、ニュージーランドが優勝。また、オリンピック出場権争いでは、ニュージーランド、アルゼンチンに続いてフィジーもオリンピックが獲得。今大会で9位に入ってシリーズ最終上位4チーム内を確定した。残る1枠は、一週間後のロンドンでの最終ラウンドに持ち越しとなった。

今大会中にシリーズ制覇を確定させていたニュージーランドが、最終日の決勝でアルゼンチンと延長戦まで縺れた闘いをRodorick Solo選手の決勝トライで24-19と競り勝ち、今季3度目となる女子とのダブル優勝を決めた。

ニュージーランドはRegan Ware選手が試合開始直後にトライを決めて先行したが、2大会連続4度目の決勝での顔合わせとなったアルゼンチンはバンクーバー大会以来今季通算3度目の優勝を期して即座に反撃。German Schulz選手、Agustin Fraga選手、Marcos Mornela選手の3連続トライで前半を19-7で折り返した。

しかし、オールブラックスセブンズもAkuila Rokolisoa選手とSolo選手が立て続けにゴールラインを超えて19-19にすると、後半終了直前、アルゼンチンが敵陣22メートルライン周辺でペナルティを獲得。これをクイックタップで始めたが、痛恨のハンドリングエラーで得点機会を失った。

延長に突入すると、開始早々にニュージーランドが右大外へ展開し、パスを受けたSolo選手がタッチライン沿いを駆け抜けてインゴールに飛び込んで勝利。3大会連続で今季通算6度目の優勝を掴んだ。

3位はカナダを28-12で下したフランスで香港大会以来通算3度目の銅メダル。5位はアイルランドに26-21で競り勝ったオーストラリアで、9位はフィジーがスペインに26-15で勝利した。

男子は激戦のシリーズ残留争い

 来季シリーズへの残留争いは激戦が繰り広げられたが、9位決定準決勝で勝負がついた。

スペインがサモアに28-5で勝って9位決定戦へ進んだ一方、勝ち点1差でリードしていたウルグアイがフィジーに15-31で敗れたため、スペインがウルグアイを上回って11位に入り、11位で残留が決定。残る1枠の出場権をめぐるプレーオフへの出場を回避した。

ウルグアイは12位に後退し、13位ケニア、14位カナダとともに一週間後のロンドン大会で行われるプレーオフに、セブンズチャレンジャーシリーズ優勝のトンガとともに臨むことになった。

ケニアは順位決定戦で日本に31-12で勝って13位で今大会を終了。シリーズ最下位ですでに自動降格が決まっている日本は、13位決定準決勝で招待参加のドイツに28-12で勝って今大会初勝利を挙げていたが、2勝目はならなかった。

 ロンドンでのプレーオフでは初日の5月20日にウルグアイ、ケニア、カナダ、トンガの4チームが1回戦総当たりで対戦し、上位2チームが21日の決定戦に臨み、勝者が来季12番目のコアチームの座を獲得する。

 このほかのチームは、招待参加の日本を加えて4チームずつ3つのプールに分かれて対戦し、シリーズ最終順位と残るオリンピック出場1枠を懸けてロンドンで最後の戦いに臨む。