今回、両国協会が締結したのはアジア太平洋地域全体のラグビーを発展に協力して取り組むための覚書。両協会で「戦略的かつ商業的な協業機会を模索する」としており、期間は2024年からの4年間。だが、2028年以降も継続する意向で、長期的な取り組みを予定している。

その一つが日本代表とニュージーランド代表の定期的な試合開催。すでに、今年7月に日本代表とジャパンXVのオールブラックスXVとの対戦が組まれているが、フル代表に限らず、マオリ・オールブラックスや、男女のセブンズ代表、女子15人制代表など含めた各カテゴリーでの対戦を計画。また、クラブレベルでも、リーグワンの上位チームとニュージーランドを拠点とするスーパーラグビー勢の対戦、さらには大学チームなどの対戦を模索し、毎年で複数の試合実施を検討していくという。

 「今日の締結は日本にとって非常に大きな第一歩」という日本協会の岩渕健輔専務理事は会見で、「日本ラグビーにとって非常に大きな問題は、定期的にレベル高い試合を用意できていないこと。その意味で、毎年必ず黒いジャージー(のオールブラックス)が来れば選手もそこをターゲットにできて、お客さんもニュージーランド代表や日本代表の選手を見ることができる。競技力の面だけでなく、ファンベースを作っていくうえでも非常に大きいことだと思っている」と説明。「ニュージーランドはラグビー強国として、マーケティングの面でもいろいろなことをやっている。我々も一緒になってチャレンジしたい」と語り、新たな展開への期待を述べた。

 ニュージーランド協会のマーク・ロビンソンCEOは、「今回、両国協会で長期間の契約を発表できることを嬉しく思う。このパートナーシップは我々にとっても重要なもので、オールブラックス、マオリ・オールブラックス、オールブラックスXVが定期的に日本にきて試合をすることは非常にエキサイティングなことだ。日本とともに日本で競技を成長させたいし、日本代表には熱いサポートをする素晴らしいファンがいるので、そのファンベースも成長させたいと考えている」と語った。

 また、会見に同席したジャパンラグビー・リーグワンの東海林一専務理事は、「グローバルプレゼンスを高めることは、ファンによりダイナミックなゲームを楽しんでもらうため、競技力高めに非常に重要な点ととらえていた」と語り、今回の両協会の覚書締結で「リーグワンも参画の機会を得て、ニュージーランドのチームとの関係を深める機会を得たことは、非常に素晴らしく喜ばしい。ぜひ、具体的な成果を実現していきたい」とコメント。リーグ創設時から模索してきたクロスボーダーマッチの実現へ期待を示した。

 なお、今年は9月のラグビーワールドカップ2023を前に、7月にオールブラックスXVが予定されており、8日に東京の秩父宮ラグビー場で日本代表候補のジャパンXVと対戦。15日には熊本に場所を移して日本代表と対戦することが決まっている。