HSBCワールドラグビーセブンズシリーズも終盤に入り、シリーズ最終上位4チームに与えられる来年のオリンピック出場権争いも、コアチーム残留争いもシンガポール大会で一段と激化し、接戦が増えている。

日本は自動降格となるコアチーム最下位に位置し、プレーオフ圏の14位カナダとは勝ち点10差。シンガポールと次のトゥールーズで勝ち点を稼いで答えを出さなければならないが、プールD初戦から悪くないスタートを切ったように見えた。

先週末の香港大会ベスト4でシリーズ総合10位の英国と対戦し、試合開始から切れのある動きとサポート、パスワークで前半1分に丸尾崇真選手が先制トライ。さらに3分後には英国のPaddy Kelly選手がイエローカードを受けて相手が一人少なくなると、日本はペナルティからつなぎ、福士萌紀選手が抜け出してインゴール目前でラックになると、丸尾がピック&ゴーで2トライ目をマーク。コンバージョンも決まって12-0とリードを奪った。

波に乗る日本は、前半終盤に左サイドの丸尾にパスが渡り、抜け出せばハットトリックで3トライ目というチャンスを得た。だが、そこでハンドリングミス。相手ボールになり、前半終了目前になって英国のRobbie Fergusson選手に5点を返された。

ハーフタイムにサイモン・エイモー男子7人制日本代表ヘッドコーチの「まだ半分だ」という檄を受けて入った後半、開始早々に松本純弥選手が22メートルライン付近で抜け出して、相手のタックルを受けながら右隅にトライを決めて17-5とリードを広げた。

しかし、試合終了間際になってディフェンスの綻びを突かれてMax McFarland選手に走られてトライ、コンバージョンも決められて5点差に詰められた。すると、残り約30秒で英国はリスタートのキックオフを左大外でApi Bavadra選手がキャッチ。そのままサイドを駆け抜けてトライを決め、コンバージョンも成功させた。エイモーヘッドコーチも思わず頭を抱える展開で、日本は17-19と痛恨逆転負けで勝ち星を取りこぼした。

日本は第2戦では初戦でアイルランドに10-0で競り勝ったアルゼンチンと対戦。今季2度の優勝などでシリーズ総合2位に付ける南米の雄に前半は善戦。0-7のビハインドから、前半6分に丸尾選手が左サイドを抜け出して、この日3トライ目をマーク。コンバージョンも決まって同点にして前半を折り返した。

しかし、アルゼンチンは後半に入るとギアを上げ、パワーとキックで押し切り、違いを見せた。後半だけでRodrigo Isgro選手の2トライを含めて5トライを奪い、角度のないところからのコンバージョンも精度の高いキックで全て成功させて42-7。日本にとっては痛い2敗目となった。

プール最終戦は、アルゼンチンと英国に惜敗したアイルランドと1勝を目指すチーム同士の対戦となった。

日本は開始3分、アイルランドのFergus Jemphrey選手にギャップを突かれて走られて先制を許し、コンバージョンも決められて7点のリードを奪われた。さらに相手ゴール手前まで押し込む場面を何度か作ったがペナルティやハンドリングエラーで得点には至らない。しかし後半、ペナルティから粘り強くパスをつなぎ、最後は石田大河選手からパスを受けた福士萌紀選手がトライを決めて2点差に詰め、コンバージョンも好位置で得たが、これを外してしまう。

2点差を追って残り時間が無くなる厳しい展開になったが、日本は残り約1分で得たペナルティからパスをつなぎ、最後は野口宜裕選手がインゴールに飛び込んで10-7とし、コンバージョンも成功させて12-7で勝利した。

丸尾選手は「ハードワークでプレーを続けて、ディフェンスもよかった」と振り返った。

バンクーバー大会の13位決定準決勝チリ戦以来9試合ぶりの1勝で、日本は3位でプール戦を終了。9日の順位決定戦ではプールA4位の香港チャイナと対戦する。

プールD1位はアルゼンチン。英国とのプール最終戦では試合終盤にイエローカードで数的不利のなか、Femi Sofolarin選手にトライを決められ17-12とリードを奪われたが、終了間際にMarcos Moneta選手が自陣で相手パスをインターセプト。そのままゴール下まで走り切って同点トライを決めると、Gaston Revol選手がコンバージョンを成功させて19-17で勝利。3戦全勝とし、英国は2勝1敗となり2位で終了。アイルランドが3敗で4位となった。

 

ニュージーランドは3戦全勝で8強進出

一方、今大会で優勝すればオリンピック出場権獲得が決まるニュージーランドは、香港チャイナとのプールA初戦を47-0と快勝で始め、続くオーストラリアにも24-12で2連勝としたが、最終戦で8強入りへ勝利が不可欠な南アフリカの激しい抵抗に遭った。

ニュージーランドは前半5分に先制を許して7点を追う展開に。しかし2分後に自陣22メートル付近での大きなサイド展開から、オフロードでパスを受けたDylan Collier選手が抜け出してトライ。コンバージョンも決まって7-7で前半を折り返した。

後半も一進一退で激しい競り合いが続くなか、ニュージーランドは12分にAmanaki Nicole選手が抜け出し、パスを受けたCody Vai選手が右隅にトライを決めて12-7と均衡を破ると、このリードを最後まで守って勝利。プールA1位抜けを決めた。2位はオーストラリアで、南アフリカは3位で順位決定戦へ回ることになった。

下位ランクのチームが激闘を見せ、番狂わせも生まれた。

プールBではシリーズ7位のサモアが初戦で同3位のフィジーに28-7で勝利を収め、その後スペイン、カナダにも勝って3戦全勝の1位で突破した。フィジーは8強入りに勝利が必要だった最終戦でスピードとステップワークでスペインを翻弄。31-0の完勝で2勝1敗の2位で準々決勝に進出した。

プールCではフランスが粘るケニアを終了間際のWilliam Irguha選手のトライで26-19で振り切り、ウルグアイに26-12で勝って迎えた最終戦でアメリカと大接戦となり、26-26で引き分けて1位で8強進出を決めた。

アメリカは初戦でウルグアイのGuillermo Lijtenstein選手に終了間際にPGを決められて21-24で惜敗。ケニアには21-19で勝利したが、フランスと引き分けて、2勝1敗のウルグアイに勝ち点1及ばず3位でベスト8入りを逃した。ケニアは3戦全敗で4位だった。

この結果、9日の準々決勝ではアルゼンチンはオーストラリア、フランスはフィジー、サモアはウルグアイと対戦し、ニュージーランドは英国と戦う。