男子のシーズン全11ラウンドに対して、7ラウンドで行われる女子は香港で6ラウンド目。シーズン最終順位上位4チームに与えられる来年のパリ・オリンピック出場権獲得を巡って激しい戦いが続いている。

シリーズ総合トップを走るニュージーランドは、開幕ラウンドのドバイ大会では決勝でオーストラリアに敗れて2位になったものの、その後の4大会で優勝。前節バンクーバー大会では男女を通じて一番乗りでシーズン上位4位以内を確定させてオリンピック出場を獲得した。 

総合2位につけるオーストラリアは開幕ラウンドで優祖父し、ケープタウンとバンクーバーでは2位に入って総合ポイントは84。3位のアメリカとは2差のリードだ。4位はパリ五輪ホスト国のフランスで66ポイントを保持し、5位はアイルランドで58ポイントを得ている。

好位置につけるオーストラリアとアメリカは今回の香港で8強に進出すれば、最終ラウンドのトゥールーズ大会を待たずに五輪出場権獲得が決まる。

プールAではニュージーランドがカナダ、英国、招待参加の香港チャイナと対戦し、前節バンクーバー大会準優勝のオーストラリアはプールBでフィジー、アイルランド、ブラジルと戦い、プールCはアメリカ、フランス、日本、スペインの組み合わせだ。

女子アメリカ代表チームのLauren Doyle選手は、これまでと変わらずに自分たちのプロセスに忠実であり続けることが重要と述べて、自然体で大会に臨むつもりだ。

「今週末に出場権を獲得できればとてもエキサイティングだし、ストレスから解放されることになる。でも週末を見通すことはできないし、仕事を終わらせる必要がある」とコメントしている。

サクラセブンズこと、女子7人制日本代表は今季5ラウンドを終えて現在25ポイントで9位。シーズン中盤から結果が出るようになっているが、できるだけ勝利を増やして上位に食い込みたいところだ。

また、ニュージーランドにはシリーズ優勝確定の可能性がある。

ブラックファーンズが香港大会を制して初の同一シーズン5大会連続優勝となれば7度目のシーズン制覇は目の前だ。オーストラリアが4位以下、アメリカが3位以下で終了した場合に、トゥールーズでの最終ラウンドを待たずにニュージーランドの2023シーズン優勝が決まることになる。

 

激戦の男子、ニュージーランドがリード

一方、男子は今週末の香港大会で8ラウンド目。オリンピック予選を兼ねた大会は、ここまでの7ラウンドで異なる5チームが優勝する激闘が続いている。

現在シリーズ首位に立っているのはニュージーランドだ。シドニー大会とロサンゼルス大会を制し、ケープタウンとハミルトンで2位。さらにドバイでは3位に入り、7大会中5大会で表彰台に上がり、2位のアルゼンチンに総合ポイントで12差をつけている。アルゼンチンも直近4大会でハミルトンとバンクーバーの2大会で優勝し、LAでは2位と右肩上がりに来ている。

フランスは開催国としてオリンピック出場権は確定済み。前節バンクーバー大会に準優勝で3位につけるフランスの総合ポイントは95で、4位タイに並ぶフィジーとオーストラリアとは1差。さらに、サモアと昨季シーズン2位の南アフリカがどちらも89ポイントで6位タイにつけており、香港大会を含めた残りのラウンドで上位陣がそれぞれどこまで追い上げることができるか、目が離せない。

ちなみに、昨季のシリーズ王者のオーストラリアが今季優勝したのが開幕ラウンドでの香港大会だった。今季2度目の優勝を目指すには相性の良い土地だろう。

香港大会のプールではバンクーバー大会を制したアルゼンチンはフィジー、サモア、カナダと同組のプールAに、フランスはプールBで英国、ウルグアイ、ホストとして特別参加の香港チャイナと戦う。

バンクーバー大会で3位に入ったオーストラリアはアメリカ、スペイン、日本とプールCに入り、総合順位トップに立つニュージーランドはアイルランド、ケニア、南アフリカと同じプールDに組み込まれた。

 

降格危機の男子日本チーム

オリンピック予選を兼ねた戦いも厳しいが、コアチームのサバイバル争いも激しさを増している。

男子は来季から12チーム制へ再編されるため、10ラウンドまでの最終順位で12~14位はチャレンジャーシリーズ優勝国とのプレーオフで残り1枠を争うことになり、コアチーム最下位には自動降格が待っている。

しかも、自動降格になったチームは下部リーグに該当するチャレンジャーシリーズへ自動的に組み込まれるわけではない。チャレンジャーシリーズへの参戦には、各地域大会での出場権獲得が必要になる。このため、コアチームから外れた場合は再び一から段階を踏むことになる。

その厳しい状況が現実味を帯びているのが日本だ。コアチーム最下位に沈む日本はここまでの7ラウンドで手にしたポイントは、わずかに10。コアチームで最も近い位置にいる14位のカナダは20、13位のケニアは29だ。

男子日本チームが今回対戦するのはオーストラリア、アメリカ、スペイン。オーストラリアとは今季2月のLA大会プール戦での10-24を含めて24戦全敗。アメリカとは3勝26敗で、今年のLA大会13位決定戦では7-31で敗れている。スペインとは1月のハミルトンでの13位決定準決勝で17-21の接戦を落として3勝15敗だが、コアチーム生き残りを懸けて勝利が求められている。

 

 

キャセイ/HSBCワールドラグビーセブンズシリーズ2023香港大会

大会登録メンバー

女子セブンズ日本代表

2梶木真凜(自衛隊体育学校、12)

4水谷咲良(東京山九フェニックス、11)

5三枝千晃(北海道バーバリアンズディアナ、10)

6大谷芽生(立正大学ラグビー部、12)

7平野優芽*(ながとブルーエンジェルス、34)

10永田花菜(日本体育大学ラグビー部女子、19)

11原わか花(東京山九フェニックス、18)

12須田倫代(追手門学院VENUS、10)

14吉野舞祐(日本体育大学ラグビー部女子、5)

15辻﨑由希乃(ながとブルーエンジェルス、4)

16山中美緒(MIE PEARLS、12)

17長田いろは(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、15)

注:* はキャプテン。所属の後の数字はキャップ数

 

男子セブンズ日本代表

1薬師寺 晃(横浜キヤノンイーグルス、7)

4古賀由教(リコーブラックラムズ東京、10)

5副島亀里ララボウラティアナラ(日本ラグビーフットボール協会、52)

6福士萌起(日野レッドドルフィンズ、17)

8野口宜裕(セコムラガッツ、25)

9林 大成*(日本ラグビーフットボール協会、37)

10丸尾崇真(日本ラグビーフットボール協会、8)

17奥平 湧(三菱重工相模原ダイナボアーズ、7)

18石田大河(浦安D-Rocks、13)

20ケレビ ジョシュア(豊田自動織機シャトルズ愛知、2)

23松本純弥(浦安D-Rocks、5)

26石田吉平(明治大学、9)

27谷中樹平(帝京大学、2)

注:* はキャプテン。所属の後の数字はキャップ数