今大会好調のアルゼンチンが、フランスとの決勝でもその力を発揮。強みのキックを活かした試合運びでフランスを抑えて、エキサイティングな競り合いをモノにした。
1月のハミルトンで優勝し、先週末のロサンゼルスでは準優勝を収め、今大会も波に乗るアルゼンチンは、アイルランドとの準決勝では後半のRodorigo Isgroのトライで7-7の均衡を破って14-7で競り勝ち、ここ4大会で3度目の決勝に進出した。
試合開始早々に、Marcos Monetagが相手自陣でのパスをインターセプトして、そのままトライに持ち込んで先制した。
フランスは、準決勝でオーストラリアに26-12で勝利して今季初の決勝に進出。3位に入った開幕ラウンド以来6大会ぶりの表彰台で最上段に立つことを目指して、粘り強い守備とパスワークで相手守備のギャップを突いて4分にTheo Fornerがトライ。コンバージョンも決めて同点にした。
その後、一進一退の攻防で前半それぞれ1トライ1コンバージョンを加えて前半を14-14で折り返すと、後半開始早々にフランスが右アウトサイドから攻めてStephen Parez Edo Martinの5点とコンバージョンでリードを奪った。だが、アルゼンチンも即座に反応。左サイドでのブレークダウンを起点にMatias Osadczukがトライ。コンバージョンも決めて試合は三度同点となった。
しかし、そこからアルゼンチンがキックの精度とスピードを活かして、意表を突いたプレーを披露する。
自陣でボール奪うと、Tobias Wadeが敵陣深くにキック。相手と競いながら猛チェイスでこれに追いついたMonetaが、中央を後方から走り込んできたWadeへパス。Wadeがクロスバーの下へトライを決めて、28-21とリードを奪った。
アルゼンチンはその直後の試合終了間際にもキックで相手の裏のスペースを突き、インゴール手前で確保したAgustin Fragaが腕を伸ばして決定的な5点を加点。33-21で試合を制し、昨年に続いてバンクーバー大会で頂点に立った。フランスの今季初勝利はならなかった。
Osadczukは今季2度目の優勝に、「とてもうれしい。いつも互いのためのプレーを心掛けてやってきているが、それが結果につながった」と満面の笑みを見せた。
チームを率いるSantiago Gomez Cora監督は、「チームの競争力をあげて今季6位以内に入ることを夢見てききたが、我々は今2位につけている。信じられない。7年前にこのチームで始めた時に夢を抱いて、16歳以上の選手を選出して育てようとしてきたが、いま、こうして現実を目の当たりにしている」と語った。
3位はオーストラリア
銅メダルを手に入れたのはオーストラリアで、アイルランドを20-5で退けた。試合開始直後に左サイドで相手守備を振り切ったHenry Patersonが攻撃の口火を切ると、5-5とされた直後にDarby Lancasterが5点を決めてオーストラリアが再びリードを奪った。後半にMaurice Longbottomのサイドをついたトライなど10点を加えて3位を獲得した。
昨季シリーズを制したオーストラリアだが、今季は優勝した開幕ラウンドに続いてこれが2度目の表彰台となった。
先週末のロサンゼルスでの4位から1つ上げて銅メダルを獲得したことに、今季シリーズデビューを遂げたLancasterは「4位から3位はうれしいが、金メダルを目指していたので満足はしていない。次に行く前にいくつか修正すべき点があるが、改善できると思う」と述べて今後を見据えた。
日本は南アフリカに屈して14位
大会最終日、日本は13位決定準決勝で招待参加でアイルランド、オーストラリア、カナダに敗れてプールD4位となり、その後順位決定ラウンドでサモアに12-28で敗れていたチリと対戦した。
試合開始早々に福士萌紀が先制し、5分にも連続トライで5点をくわえ、野口宜裕が2本ともコンバージョンを決めて前半で14-0とリード。後半も攻勢を維持して半ばにはチリのFrederico Kennedyが危険なタックルでイエローカードをもらうと、日本は数的有利を活かして攻撃。11分に石田大河がトライを奪い、19-0とした。チリは人数が揃った終盤反撃を試みるが、日本はリードを守って勝利した。
13位決定戦では南アフリカと対戦。今大会調子が上がらない南アフリカはプール3位で今季初めて8強進出を逃し、9決定戦準々決勝をケニアに12-17で敗れた後、13位決定戦準決勝でカナダに31-14で勝って日本戦を迎えた。従来のパワーや覇気を欠いていたものの、前半3分のZain Davisの先制を含め、アウトサイドのスペースを使って得点した。
自動降格圏脱出のために勝って少しでも多くの勝ち点を得たい日本は、5分に石田吉平が抜け出すとフォローしていた石田大河へパスを渡して相手をかわし、石田大河がインゴールで押さえて同点とした。
日本は後半、リスタートのキックオフレシーブでうまくボールを獲れないなか、守備で粘りを見せるが、9分に南アフリカのDavisに再びアウトサイドを突かれて5-10とリードを許す。日本は終盤、自陣から薬師寺晃が抜け出したがハーフウェイライン付近で相手につかまり、ボールを失うと南アフリカが逆襲。右タッチライン沿いをMfundo Ndhlovuに抜かれてダメ押しのトライを決められて、5-17で敗れた。
男子セブンズ日本代表のサイモン・エイモーヘッドコーチは、先週のロサンゼルス大会で手ごたえを得たディフェンスとタックルを継続し向上させることができるかをテーマの一つに臨んだことに触れ、「プールステージではアルゼンチンとフランスに大敗したが、石田吉平のタックル数をはじめ、最後の3試合でのディフェンスは、私が見た中で最高のものだった」と評価。「次の香港大会は、プレーをさらに進化させる絶好の機会になる」とステップアップを期待して、残留サバイバルを懸けて、今季総合順位機が決まるシリーズ残り3ラウンドへ視線を向けた。
トップ2は不動、フランスと豪州が浮上
今季男子シリーズは全11ラウンド中10ラウンドまでの勝ち点でシリーズ最終順位が決まり、トップ4(開催国フランスを除く)は来年のオリンピックの出場権を獲得。下位12~14位は残留をかけてチャレンジャーシリーズ勝者とともにプレーオフを戦い、コアチーム最下位は自動降格となる。
今大会の結果を受けた順位は、首位と2位のニュージーランドとアルゼンチンはそれぞれ勝ち点を120と108に伸ばしてトップ2を維持したが、両者の差は12に縮まった。
銀メダルを獲得したフランスは7位から3位へ浮上し、銅メダルを手にしたオーストラリアも6位から5位へ、アイルランドも8位へ一つ順位を上げた。フィジーの4位は変わらないが、3位だった南アフリカは7位へ、5位だったサモアは6位へ順位を落とした。
また、12~14位はスペイン、ケニア、カナダ、コアチーム最下位の日本に変動はなく、日本と14位カナダとの差は10。大会前の11から大きく差を縮めるには至っていない。
次回第8ラウンドは3月31日から4月2日にかけて香港で行われる。