来年のパリ・オリンピック予選も兼ねた今季シリーズの男子第7ラウンドは、大会2日目もバンクーバーのBCプレイススタジアムで熱戦が繰り広げられ、カップ戦準々決勝では今季シリーズ首位に立つニュージーランド、3位の南アフリカ、4位のフィジーが4強入りを逃す波乱の展開になった。

 ニュージーランドはプールAを3戦全勝で8強に進出したが、そこでプールD2位通過のオーストラリアと対戦し、昨季シリーズ覇者の勢いとパワーのある攻守に直面した。

オーストラリアはHenry Patersonが試合開始2分で左サイドを抜けて先制。ニュージーランドは3分後にNgarohi McGarvery-Blackのトライとコンバージョンで7-5と逆転したが、7分にオーストラリア期待の若手Darby Lancasteが抜け出して再びリードを奪うと、Maurice Longbottomのコンバージョンで12-7として前半を終了。さらに、残り2分を切ってPatersonが再び抜け出して走り切り、この試合2本目のトライで試合を決定づけ、オーストラリアが17-7で勝利を収めた。

 フィジーはプールCを2勝1敗の2位で通過してプールBで3戦全勝のアルゼンチンと対戦したが、先週のロサンゼルス大会で準優勝してシリーズ総合2位に浮上したアルゼンチンの勢いもあり統率の取れたプレーに押された。

 先制したのはフィジーだったが、0-7ビハインドからアルゼンチンがMatias Osadczuk とMarcos Monetaの2連続トライで逆転。ハーフタイムで7点を追いかけるフィジーは、11分にPonepati Loganimasiが抜け出して攻め込み、ボールをつないで最後はManueli Maisamoaがインゴールで押さえると、コンバージョンも決まって14-14の同点に追いついた。試合時間3分を残して激しい競り合いが続いたが、フィジーは延長に入ったところでRauto Vakadanuがイエローカードを受けて数的不利に。その直後、アルゼンチンはスクラムからつなぐと、最後はMonetaが左サイドに飛び込んで19-14として接戦を制した。

 アルゼンチンは準々決勝の前に行われたプールB最終戦で南アフリカにも12-0で勝利。その結果、今季ドバイで優勝し、シドニーで準優勝していた南アフリカだったが、今回は1勝1分け1敗でプール3位となり、今季初めて8強進出を逃した。

 南アフリカは9位決定準々決勝でも今季総合13位のケニアに12-17で敗れる波乱続きで、最終日の13位決定準決勝で地元カナダと対戦することになった。

 なお、カップ準決勝ではアルゼンチンは、アメリカとのシーソーバトルの大接戦を15-10で制したアイルランドと対戦する。アイルランドは10-10のまま突入した延長22分に、Zac Wardがトライを決めて今季ドバイ大会以来の4強進出を決めた。アメリカはPerry Bakerが前半6分に5-5とする同点トライを決め、今季22本目のトライで自身通算トライを250に伸ばした。

オーストラリアは、イギリスに15-7で競り勝ったフランスと対戦する。シリーズ総合6位のフランスは同10位のイギリスに先制を許したが、0-7ビハインドから後半Leraitre Paul の1トライとTheo Fornerの2トライで逆転した。

 

日本代表、ミスで勝機を逃す

 一方、男子セブンズ日本代表はプール最終戦でフランスに5-46で敗れ、3戦全敗の4位でプール戦を終了し、順位決定戦に回った。

 フランス戦ではLeraitre Paulに先制を含めて前半で2トライ、後半もVarian Pasquetに2トライを許すなど全8トライを与えて完敗。日本は11分のジョシュア・ケレビの1トライに抑えられた。

 9位決定準々決勝に回った日本はウルグアイと対戦。前日のプールCでフィジーに競り勝つ番狂わせを演じ、この日もプール最終戦でケニアに21-19で勝利して2勝1敗としたものの、得失点差でフィジーに2位の座を譲り、8強入りを逃していた。

 その影響か、ウルグアイに前日のフィジー戦で見せたような気迫は見られなかったが、日本のミスを突いて得点につなげ、ハーフタイム前にBautista Bassoのトライとその後のコンバージョンで前半7-0のリードを奪った。

 現在コアチーム最下位に位置し、シリーズ自動降格回避のためには順位を上げて勝ち点を稼ぎたい日本だったが、細かい部分でミスが多く、つかみかけたトライチャンスを手放す場面も見られた。それでも後半に入ってボールを保持して攻めると相手のペナルティが続き、9分には福士萌紀のトライに結びつけ、野口宜裕のコンバージョンも決まって同点に追いついた。

 日本はその後も勝利を目指して攻撃を仕掛けたものの、要所でハンドリグエラーが続き、終盤には石田吉平がイエローカードを受けて一人少ない状況に。ウルグアイはこの数的優位を逃さず、ゴール前のスクラムからIgnacio Alvarezがインゴールに持ち込んで14-7で勝利を手にした。

 この結果、大会最終日にウルグアイは9位決定準決勝で総合5位のサモアと、日本は13位決定準決勝で特別参加のチリと対戦することになった。

 今季シリーズでは全11ラウンド中10ラウンドまでの総合順位上位4チームに来年のオリンピック出場権が与えられるが、最下位チームは自動降格。12~14位チームはセブンズチャレンジャーシリーズ勝者とともに、来季12チーム体制となるコアチームの残り1枠を懸けてプレーオフで対戦する。