前日の大雨から天気は回復し、青空の下で迎えた2日目最終日。シリーズ残留へ向けて順位決定戦で1つでも上位に入りたい男子セブンズ日本代表は、初日のプール戦を1勝2敗4位で終え、2日目の順位決定戦にまわり、そこでも1勝はあげたものの、芳しい成績を残すことはできなかった。

9位決定準々決勝でウルグアイと対戦。今季ここまで1勝2敗と負け越している南米の相手に、日本は林大成選手が開始2分でトライを挙げ、コンバージョンも決めて先制したが、そこからウルグアイが反撃。Bautista Basso選手とFelippe Acros Perez選手に連続トライを許して日本は前半7-14で後を追いかける展開に。後半に入ってBasso選手に1トライを加えられ、日本は無得点に抑えられて7-19で敗れた。

数時間後の13位決定準決勝に回った日本は、招待参加で2021年シリーズ以来の出場のチリと対戦。相手に先行されながら、林大成選手が1トライ、野口宜裕選手がトライ&コンバージョンを決めて12-14で前半を折り返した。後半も相手に先行されたが、日本は11分に交代出場した松本純弥選手が13分と16分に連続トライを決めて、24-19として逆転に成功。今大会2勝目を手にして、13位決定戦に進んだ。

対戦したのは開催国のアメリカ。プールAをサモア、ニュージーランドに次ぐ1勝2敗の3位で終えて順位決定戦に進んだホスト国は、9位決定準々決勝でスペインに12-14で惜敗後、13位決定準決勝でケニアを26-21で下して13位決定戦へ進出してきた。

アメリカは地元ファンの声援を受けて、パワーとスピードのあるプレーで日本にブレイクダウンでプレッシャーをかけて優位に立った。試合開始早々にDavid Still選手が自陣22メートルエリアから抜け出して先制すると、3分にMarcus Tupuola選手が加点した。

12点を追う日本は、7分に得たペナルティを起点に攻め、副島亀里ララボウラティアナラ選手が相手タックルをかわして野口選手のトライにつなぎ、野口選手がコンバージョンも決めて7点を返した。

流れをつかみかけたところだったが、直後のリスタートでキックミス。相手ボールのスクラムで再開すると、攻勢に転じたアメリカが前半終了間際にPerry Baker選手のトライで17-7とリードを広げた。

日本は後半、反撃を試みるが相手のパワフルなプレッシャーを受けて、ボールを保持してもサポートが遅れて苦戦した。一方、アメリカは試合終盤にAdam Channel 選手とGavan D’Amore選手が5点ずつ加え、Steve Tomasin選手がコンバージョンを決めて31-7で勝利した。

 

日本代表エイモーHC、守備の改善を評価

日本は開幕ラウンド以来2度目の14位で勝ち点2を加えたが、総合勝ち点は8。自動降格回避となる14位のカナダは勝ち点19でその差は11。コアチーム最下位からの脱出は次戦以降に持ち越しとなった。

男子ワールドシリーズは来季から男女同数でオリンピックに合わせた12チームでの編成に変更されるため、現在の16チームから4チームがなくなる。生き残りには今季10ラウンドまでの成績での勝ち点積み上げが重要になる。

総合11位までは来季コアチームとして残留が決定し、12~14位は4月開催のチャレンジャーシリーズ優勝チームを加えた4チームでのプレーオフで、最後の1枠をかけた戦いに臨むことになる。だが、コアチーム最下位は自動降格となる。日本は残り4ラウンドで勝ち点を積み上げて最下位脱出をはからなければならない。

厳しい状況が続いているが、サイモン・エイモー男子セブンズ日本代表ヘッドコーチは、「選手たちが試合に臨む姿勢にはとても満足している。ディフェンスに磨きをかけた結果、ケニアとチリに勝利した。ディフェンスは今季我々が苦手としていた部分だったので、今回大きく改善できたことで、残りのシーズンでもさらに向上させることができる」と評価した。

 また、日本代表指揮官は3選手が代表デビューし、石田吉平選手が2021年夏の東京オリンピック以来となるセブンズ代表復帰を果たしたことに言及。「新しい組み合わせを多く見ることができた」と歓迎した。

 セブンズ日本代表キャプテンの林大成選手も、「これまでの大会からアタック、ディフェンスともに改善されてきた部分もあり、今シーズンで初めて、1つの大会で2勝することあできた」と手ごたえを口にして、「コアチーム残留に向けて、まずはバンクーバー大会にチームで臨む」と気持ちを引き締めた。

 

ニュージーランドが連覇で総合トップをキープ

優勝したのは、決勝でアルゼンチンを22-12で退けたニュージーランドで、シドニー大会でも優勝しているオールブラックス・セブンは、全ラウンドで優勝チームが入れ替わっている大激戦の今季シリーズで2つの大会を制した初のチームとなった。

ニュージーランドは今季4度目の決勝進出と安定した力を発揮。ロサンゼルスでの決勝でもアルゼンチンが激しいプレッシャーで対抗するが、前半4分に自陣22メートル内右サイドでの守備からボールを奪って左外へ大きく展開し、Moses Leo選手が長い距離を走り抜けて先制トライを奪った。

第4ラウンドのハミルトン大会決勝でアルゼンチンに優勝をさらわれた雪辱を期すニュージーランドは、前半終盤にはスクラムを起点にLeroy Carter選手が左タッチライン沿いを駆け抜けて加点し、2分後にも自陣での守備から右外でボールを受けたCarter選手が突破して相手タックルを振り切って連続トライをマーク。前半を17-0で折り返した。

しかし、アルゼンチンは後半に入って反撃。相手のペナルティで得たラインアウトを起点に展開して、最後はTobias Wade選手がトライ。コンバージョンも決めて2トライ差に迫ると、12分にはAgustin Fraga選手が抜け出して5点を加えて、試合時間残り2分で1トライ差にまで詰めた。

だが、アルゼンチンはリスタートでのミスで相手にボールを渡してしまい、ニュージーランドのBrady Rush選手にダメ押しのトライを許して万事休した。

ニュージーランドのCarter選手は決勝の2トライを含めて今大会5トライをマーク。ラインブレークはアルゼンチンのTeba選手に次ぐ6本を記録し、タックルは14本と、攻守にわたってチームの連覇に貢献した。

この結果、ニュージーランドは勝ち点を107に伸ばして総合順位でトップをキープ。準優勝で勝ち点を86としたアルゼンチンは6位から2位へ浮上したが、首位ニュージーランドはリードを21差に広げた。

ニュージーランドのDylan Collier選手は、「初日に雷の影響で予定より試合が遅れて、いつもの週とは違って調整が必要だったが、初日を乗り切って決勝まで来ることができて、かなりいいプレーができたと思う」と語った。さらに、「今季はどの試合もタフだが、今週と来週の大会でいい成績を出せればシリーズ優勝に少し優位に立てる」と話した。

 

大会3位はフィジーで総合4位に浮上

3位決定戦に臨んだフィジーは、オーストラリアの後半3トライの反撃を退けて21-19で勝利。3位で勝ち点を84に伸ばして順位を5位から4位に上げた。Anasa Qaranivalu選手、Rokoua Rasaku選手、Rauto Vakadanu選手がそれぞれトライを決め、Waisea Nacuqu選手がすべてのコンバージョンを成功させた。

オーストラリアはMaurice Longbottom選手、Dietrich Roache選手、Nathan Lawson選手が1トライずつをマークしたが、コンバージョンは2本止まりとなり、あと一歩、フィジーに追いつかけなった。それでも優勝した開幕ラウンドに次いで2度目のトップ4入りで、順位は8位から6位に上昇した。

今季は最終順位で上位4チームに2024年オリンピック出場権が与えられるため、4位以内に入れるかは、オリンピック開催国のフランスを除く各チームにとって重要なポイントだ。

シリーズ次のラウンドは一週間後の3月3-5日、バンクーバーで開催される。