昨年11月に始まった今季シリーズは11ラウンド中5ラウンドを終えて、ニュージーランドが勝ち点85で総合順位の首位に立ち、2位の南アフリカが勝ち点9差で追う。さらに3位に並ぶサモアとフランスがトップと17差で追いかけている。

 ニュージーランドは第2ラウンドのドバイ大会で3位、続くケープタウンとハミルトンで2位に入り、前ラウンドのシドニー大会を制して調子は右肩上がりだ。加えて、昨季のロサンゼルス大会ではAkuila Rokolisoa選手が49得点を挙げる活躍などで優勝しており、大会との相性も悪くない。

Rokolisoa選手は今季も好調を維持。ここまで215得点で得点ランクトップを走り、2位のオーストラリアDietrich Roache選手の161、3位フィジーのWaisea Nacuqu選手の148を大きくリード。トライランキングではサモアのVaa Apelu Maliko選手に次ぐ2位で、その差は1本で、3位はアルゼンチンのAugustin Fraga選手(20本)だ。

ちなみに、Rokolisoa選手はDHLインパクト・プレーヤーでも今季通算3位(241ポイント)につけており、2位のサモアApelu Maliko選手とは3ポイント差。首位はオーストラリアのDietrich Roache選手(272)だ。

 総合順位2位の南アフリカ(勝ち点76)は今季ドバイ大会で優勝し、シドニー大会で2位に入り、ケープタウンでは4強入りと、悪くない成績で首位チームにプレッシャーをかけている。

 今季は毎大会で優勝チームが入れ替わる大混戦。開幕戦ではオーストラリア、続くドバイ大会は南アフリカ、ケープタウンでサモア、ハミルトンではアルゼンチンが頂点に立ち、シドニー大会をニュージーランドが制した。その激戦から、今回ロサンゼルスでニュージーランドが抜け出して2大会連続での優勝を遂げるのか、注目だ。

オリンピック出場権獲得の争い

 今季の混戦の大きな要因は今季シリーズが2024年パリ・オリンピック予選を兼ねている点にある。

シリーズ最終順位4位までのチームに来年夏季オリンピック大会の出場権が与えられ、開催国として出場権を確保しているフランスを除いた上位9チーム、特に3位タイのサモアから9位のアイルランドまでの差は勝ち点10のみ。4位のフランスには勝ち点1差の67でフィジーとアルゼンチンが続き、アメリカも66で追従する。8位オーストラリア(62)、9位アイルランド(58)、10位イギリス(35)と並び、以下のコアチームはウルグアイ、ケニア、スペイン、カナダ、日本の並びとなっている。

オリンピック出場権では10位のイギリスは勝ち点35で厳しい状況だが、9位までのチームがシーズン6ラウンドを残して追い上げるには十分な可能な距離にある。それだけに、今週末のロサンゼルス大会の結果が大きな意味を持つことは言うまでもない。

 

開催国アメリカはニュージーランド、サモアらと同組

 今ラウンドの開催国アメリカは現在勝ち点66で7位。シドニーでは9位決定準決勝でアルゼンチンに17-19で惜敗したが、今季はドバイで4強入り、ケープタウンとハミルトンで3位に入っている。今回、地の利を生かして2019年のラスベガス大会以来となる自国開催での優勝を目指す。

キャリア通算トライランキングで3位に付けるPerry Baker選手は250トライまであと6本、Steve Tomasin選手はあと39ポイントでキャリア通算1000得点の大台到達に迫っており、彼らの活躍がチームけん引につながると期待されている。

アメリカは今回ニュージーランド、サモア、チリと同じプールAで戦い、プールBでは南アフリカ、アイルランド、ウルグアイ、カナダが対戦する。プールCではフィジー、オーストラリア、ケニア、日本の組み合わせで、プールDではフランス、イギリス、アルゼンチン、スペインが顔を合わせる。

2028年にはロサンゼルスで夏季オリンピック開催も予定されており、激戦の続いている今季のセブンズシリーズで、少し早く世界トップの戦いを楽しめる機会になりそうだ。

シリーズ残留争い

 一方、下位に沈むチームにもこのラウンドの成績は大きい。今季最終ランクでコアチーム最下位には降格が待っているからだ。

 ワールドシリーズでは2024シーズンから、オリンピック方式に合わせてコアチームを現在の16から12に削減。そのため、10ラウンドのトゥールーズ大会終了時の総合順位でコアチーム最下位の15位チームは自動降格。12位から14位の3チームは、チャレンジャーシリーズ2023の勝者を加えた4チームで最終11ラウンドのロンドン大会で行われるプレーオフに参戦する。

プレーオフでは4チームが1回戦総当たりで行われ、上位2チームが決勝で昇格1枠を懸けて対戦。勝者が2024年シリーズコアチーム参入を手にする。一方、プレーオフで昇格を逃した3チームは、2024年はシリーズ昇格の道筋となるワールドラグビーセブンズチャレンジャーシリーズに参戦することになる。

 今季のシリーズで降格の危機に直面しているのは、コアチーム最下位に沈む日本だ。1つ上の順位に位置するカナダとは勝ち点は14差。日本は降格圏脱出のためには今回のロサンゼルス大会から勝ち点を積み上げる巻き返しに出なければならない。

 ロサンゼルス大会にはチリがゲスト参加するが、チリはシリーズコアチーム昇格をかけた2022年ワールドラグビー・チャレンジャシリーズでも3位に入る健闘を披露した。今季のチャレンジャーシリーズを4月に控えて、大舞台で恰好の腕試しの機会となりそうだ。