ニュージーランド男子セブンズ代表が今季初の優勝を手にした。
大会最終日に行われた準決勝でフランスに36-5の勝利を収めて今季3大会連続で決勝に進出したニュージーランドは、南アフリカと対戦。激しい競り合いから前半3分に抜け出したRoderick Solo選手がゴールポストの下に走り込んで先制トライを決めると、Joe Webber選手、Sam Dickson選手が続き、前半終了間際にもAkuila Rokolisoa選手がトライ&コンバージョンを決めて17-0で前半を折り返した。
後半もオールブラックスセブンズは開始早々にWebberが相手選手のタックルを振り切ってインゴールに持ち込み、TMOでノックオンが確認されてノートライとなったものの、勢いは止まらない。
総合ランク4位に付ける南アフリカは、12月のドバイ大会以来の決勝進出で、激しいプレーで食い下がったが、ニュージーランドは終盤、Akuila Rokolisoa選手、Amanaki Nicole選手、Ngarohi McGarey-Black選手が立て続けにトライを決めて38-0で完封勝ちを収めた。
南アフリカは敗れはしたが、今大会の結果を受けて総合ランクでは2位に浮上した。
男子3位はフィジーで、フランスに29-5で勝利。順位もフィジーは8位から5位、フランスは6位から4位に上げた。
ニュージーランドは女子も3大会連続で臨んだ決勝の舞台で躍動。東京オリンピック決勝と同じ、フランスとの対戦で35-0と快勝した。
シリーズでは2018年4月の北九州大会以来の決勝進出のフランスに対して、鋭くハードな出足でプレッシャーをかけてTenika Willison選手が先制トライ。Jazmin Felix-Hotham選手が2連続トライで21-0としてハーフタイムを迎えた。
後半もニュージーランドの勢いは変わらず、開始早々にJorja Miller選手が抜け出して攻め込むと、フォローに入っていたWillison選手につないでトライをマーク。Portia Woodman-Wickliffe選手も5点を加えた。Tyla Nathan-Wong選手がコンバージョン4本、Risi Pouri-Lane選手が1本を決めた。
女子の3位にはアイルランドを12-5で退けたアメリカが入った。
この結果、ニュージーランドは勝ち点を78に伸ばして総合順位1位を維持。フランスは52ポイントで4位に順位を上げ、アイルランドと勝ち点52で並んだ。また、3位のアメリカは勝ち点を2位オーストラリアと同じ66とした。昨季シリーズ覇者のオーストラリアは5位決定戦でフィジーに36-12で勝利したが、地元ファンの前で表彰台に上がることはできなかった。
今季は2024パリオリンピックの予選も兼ねており、男女とも最終順位の上位4チームは出場権を手にすることができる。
男子日本代表は勝利を逃す
男子の日本代表は28日までのプール戦を3戦全敗で終えて、最終日に9位決定準々決勝で先週のハミルトン大会を制したアルゼンチンに挑んだ。
今季の総合順位で16位に低迷する日本は、勝利で勝点を積み上げて自動降格圏脱出を図りたいところだったが、先手を取ったのはアルゼンチン。試合開始早々にAlfonso Latorre選手、Santiago Vera-Feld選手にトライを許して0-12とされた。
日本は前半終了直前に自陣22メートル内で得たペナルティから展開し、右サイドでパスを受けた宮上廉選手が、相手選手のタックルをハンドオフでかわしてインゴールに飛び込み5点をマーク。野口宜裕選手のコンバージョンも決まって7-12で折り返すと、後半開始早々に相手にイエローカードが出て数的優位になった。しかし、相手の激しいタックルに苦しみ、肝心なところでペナルティやハンドリングミスが出て得点に結びつけることができない。
アルゼンチンは交代出場のRodrigo Isgro選手がトライを決めて19-7とリードを広げ、日本は粘って試合終盤に栗原優選手が5点を返したが、12-19で敗れた。
その2時間後に行われた13位決定準決勝では日本はウルグアイと対戦。相手に2度のリードを奪われながらも植田和磨選手と福士萌紀選手のトライで追いつくと、直後の10分にペナルティを得たリスタートから宮上選手が5点を加えて19-12とリードを奪った。
しかし、日本はこの試合でも重要な場面でミスが露呈。相手の攻撃を自陣ゴール前で止めて攻めに転じたところでパスを相手に渡してしまい、Mateo Vinals選手にそのままインゴールに飛び込まれ、コンバージョンも決められて同点にされた。さらに、その直後のリスタートからウルグアイにパスをつながれて、Baltazar Amaya選手に均衡を破るトライを決められて、日本は19-24で勝利を逃した。
「勝ち切れないのが自分たちの今の実力」と言う男子日本チームの林大成キャプテンは、「ハミルトン大会で出た課題を改善できた部分もあり、最後まで勝敗が分からない試合に持ち込めるようにはなった。着実に勝利に近づいている」と前を向いた。
男子セブンズ日本代表のサイモン・エイモーヘッドコーチは、「5試合中4試合は最後の1プレーで勝てるチャンスもあったが、プレッシャーと疲労の中でやりたいことができなかった。個々のエラーが多すぎたし、ブレークダウンの精度も低い」と指摘。「ワールドシリーズで戦うにはあらゆるコンタクトエリアで技術的に優れていなければならない」話した。
男子日本チームは15位タイで終了。総合順位でコアチーム最下位も抜け出せず、総合勝ち点も5ラウンドを終えて6と伸び悩み、プレーオフ圏最後尾の14位カナダとは8ポイント差だ。
シリーズは来季から男子のチーム数が現行の16から12に削減されるため、今季第9ラウンド終了時で15位チームが自動降格。12~14位は4月のチャレンジャーシリーズ勝者とともに最終ラウンドのロンドン大会でのプレーオフで最後の出場1枠を競う。
サクラセブンズは8位
サクラセブンズ女子日本代表は5位決定準決勝でフィジーに7-40で敗れ、英国との7位決定戦に回った。
フィジー戦ではキックオフでボールを取れず、相手の激しい守備とプレッシャーを受けてパスが乱れ、試合序盤からフィジーに3本のトライを許して21点を追う展開に。前半終了直前にスクラムからパスを受けた須田倫代選手がトライを決め、自身でコンバージョンも成功させて7点を返したが、後半に入ってさらにフィジーにトライ2本を決められた。
その後、フィジーにイエローカードが出て日本は数的優位を得たものの、フィジカルの強さと巧みなオフロードで一人少ないなかでもフィジーにダメ押しのトライを決められて、日本は7-40で敗れた。
英国との7位決定戦も、相手の激しい守備に苦しみ、日本は自陣から出られない時間が続いた。開始2分でEmma Uren選手とKayleigh Powell選手に連続してトライを決められて0-14ビハンドに。その後、須田選手が5点を返したが、日本は競り合いで力負け。攻撃に転じたところでパスの乱れから相手に攻め込まれ、終盤に1トライを加えられて5-21で万事休した。
女子セブンズ日本代表の鈴木貴士ヘッドコーチは、「2大会続けてベスト8に入れたことは大変うれしく思う」とコメント。「まだ課題はあるが、シリーズを戦いながら多くのことを吸収し、少しずつ成長できている」とチームの変化を感じている。
大谷芽生選手は、「思うようにいかない時間も多くあった。強みのディフェンスとアタックの精度を上げていきたい」と振り返った。
次の大会は、男子が2月25-26日に第6ラウンドがロサンゼルスで行われ、女子はバンクーバーで3月4-5日に第5ラウンドが行われる。