ラグビー界の仲間たちへ、
今年、私たちはラグビー誕生200周年を迎えます。
伝説によると、ウィリアム・ウェッブ・エリスはサッカーのルールを見事に無視し、ボールをキャッチして走り出しました。スポーツが誕生したのです。
私たちは、ラグビーにとって大きな一年になるであろう今年を、好奇心、熱意、イノベーションという変わらぬ精神でスタートさせました。格別な大会となるラグビーワールドカップ・フランス大会、WXVのデビュー、そしてプレーヤーウェルフェアを中心に据えたスペクタクルとしてのラグビーを推進するためのさらなる重要な動きなど、私たちには楽観的になれる理由がたくさんあります。
急速に変化するパンデミック後の世界において、他のスポーツと同様に、ラグビーも進化し続けなければなりません。エンターテイメントへの要求が加速し、社会問題や環境問題への関心が高まる中、ラグビーがより魅力的でより意味をもち、そしてより多くの人々にとって身近な真のグローバルスポーツとなるためには、プレーヤーウェルフェアやファンエンゲージメントから財務や環境の持続可能性まで、あらゆる面で前進し続けることが重要です。
このような世界的野心を持って私たちは2023年を迎えました。試合のスピードアップや安全性の向上など、プレーヤーをはじめファンやマッチオフィシャルにとってオールラウンドな体験の向上を目指して策定された新たな競技規則の指令書は、
1月1日に施行されました。これらの指令には、テレビジョンマッチオフィシャルへの依存の削減、スクラムやラインアウトの前の時間浪費削減、また「ショットクロック」の導入などが含まれています。長期的な視野においては、エビデンスに基づいたプレーヤーウェルフェア強化に対する私たちのコミットメントを重視しつつ、さらに見応えのある競技にすべく、エリート、コミュニティ、ユースレベルでより実質的な競技規則の変更が行われていくでしょう。
このような規則変更に慣れるまでには時間がかかると思いますが、これまで同様、皆様からのご意見に感謝いたします。ワールドラグビーは、単なる組織や競技連盟ではなく、ムーブメントです。私たちは共により良く、より強く、より魅力的なスポーツを作り上げていくため、先日開催した「Shape of the Game 」会議の成果を基に、近々、ラグビーに関する過去最大規模の協議を開始する予定です。皆様からのご意見をお待ちしています。
ラグビーワールドカップ2023は、フィールドの内外でラグビースポーツの最高峰を披露するショーケースイベントであり、激しい世界ランキング争いが繰り広げられている現在、スリリングで予測不可能なウェブエリスカップ獲得レースとなることがが予想されます。2022年にニュージーランドで開催された女子ラグビーワールドカップ大会が様々な限界を打ち破り、多くのプレーヤーが脚光を浴び、世界中のにわかサポーターの想像力をかきたてたように、フランス2023は、ラグビー生誕200年のバースデーパーティーにふさわしい大会となるでしょう。
私たちが掲げるラグビー発展への計画は、米国での初の15人制ラグビーワールドカップ開催をその締めくくりとして、様々なワールドクラスの大会を開催しながら、今後10年間を飛躍の時としていくことで明白になります。私たちは、チリを初のラグビーワールドカップに迎えることを嬉しく思っています。そして、フランスが最も活気に満ちた、温かい開催国となることを確信しています。まだチケットをお持ちでない方は、今月末に開始するチケットリセールのプラットフォームにご注目ください。この大会は是非ともお見逃しなく!
競技の話に戻りますが、2023年は「初めて」が目白押しの1年となります。ラグビー女子へのコミットメントを強調するように、10月には3ティアで行うWXV大会が開幕し、初めて、年間を通じた規則的な競技構造と、規模拡大したラグビーワールドカップ2025イングランド大会に向けて競争力を高めていくためのハイパフォーマンスの環境を提供します。2024年からの実施を目指した男子の年間大会の可能性について現在も議論が続いています。プレーヤー、各国の加盟協会、国際大会運営組織、そしてクラブ大会運営者が協力することで、2023年にこの重要な野望が達成できると信じています。
その他の注目すべき点は、パリ2024五輪のラグビーセブンズ予選の開始、HSBCワールドラグビー・セブンズシリーズの再構築、U20大会の復活、そして男子ラグビーの次のスター選手たちが活躍できる機会の創出などです。
今年は、私たちの発展の使命を支えるために、ワールドラグビーが進化し続ける年でもあります。米国での初開催も含め、男子・女子ラグビーワールドカップの2033年までの開催が確定したことを受け、我々の戦略的使命に沿って、ラグビーをあらゆるレベルで世界的に成長させるため、ラグビー関係者の皆さんと懸命に取り組んでまいります。
すべての根底にあるのは、プレーヤーウェルフェアへの揺るぎないフォーカスです。私たちは、6項目の計画を実行し、2022年をラグビーにおける福祉・健康に焦点を当てた年にすることを目標に掲げ、共に達成したことを誇りに思います。しかし、私たちは立ち止まってはいけませんし、立ち止まるつもりもありません。今年は、世界をリードする私たちのスマートマウスガードの研究に基づいた、独立した専門家による査読付きの研究が発表されます。このデータは、かつてないほどゲームに対する洞察をもたらし、プレーヤーウェルフェアをサポートする競技規則やプロトコル、そしてガイドラインのさらなる進歩の基礎を形成するでしょう。
また、教育や元選手へのサポートなど、プレーヤーウェルフェア計画における他の主要な柱に関連した進展もあるでしょう。これらのことはすべて、ラグビーがプレーヤーウェルフェアに関して最も進歩的なスポーツであることを保証するのに役立つはずです。
スポーツは感情を揺さぶるものです。スポーツは、忘れがたい瞬間と偉大な論 争点を生み出します。私たちの心を捉えて離さないのは、ドラマのスペクタルであり、予期せぬ事態が起こる可能性です。しかし、そのような中でも、私たちのスポーツのバックボーンである価値、特にプレーヤーやコーチ、そしてマッチオフィシャルとの間の尊敬の文化を見失ってはなりません。私たちは一丸となって、このマントラを継続的に推進、サポートし、守っていかなければなりません。
200周年記念の今年は、フィールド内外でワクワクすることがたくさんあります。選手、ファン、運営者、ボランティアなど、ラグビーファミリーの皆さんの情熱と献身によって次の200年が最初の200年以上に成功し、エキサイティングなものになることでしょう!最後に、私の願いを込めて、大きな感謝を捧げたいと思います。