「日本に来ることが常に自分の夢だった」
ニュージーランド代表として44キャップを保持するリッチー・モウンガ選手は、1月6日に行われた入団会見でそう言って笑顔を見せた。
日本で開催された2019年ラグビーワールドカップでもオールブラックスのSOを務め、昨年10月に東京で行われた日本代表とのテストマッチにも10番でフル出場。コンバージョン5本とPG1本を決めて38-31での勝利に貢献し、現在所属するクルセイダーズの司令塔としてもスーパーラグビー6連覇を経験している。
クライストチャーチ出身の28歳は、日本を選択した理由について「日本は素晴らしい国で素晴らしい人々がいて、景色もいい。文化もそう。二人の子どもと妻と自分にとって最も良い選択だと思った」と説明。さらに、日本ラグビーの将来性に言及した。
「ニュージーランドから選手と指導者が多く日本に来て活躍していて、ラグビーワールドカップの後に発展したし、今後日本ラグビーはどんどん良くなると思っている。海外から多くの選手が日本に来ているのは未来があるからだと思うし、日本のリーグを見ても成長は著しい。自分ができることすべてでチームに貢献したい」
BL東京はリーグワン初年度となった昨季、後半戦から調子を上げて4位。12月17日に始まった今季は、初年度王者の埼玉パナソニックワイルドナイツと接戦を演じたものの19-22で初戦を落としたが、第2節でリコーブラックラムズ東京に17-7で勝って1勝1敗で7位。旧トップリーグでは優勝5回(最多タイ)を記録している。
モウンガ選手は来季から自分の“ホーム”となるBL東京について、「誇れる歴史を持ったクラブで、ここ数年、どんどん競争力が上がってきている。アタックでは自分はチームを動かす上で重要な役割を担うと思うが、まずはチームがどういうプレーをしているのか学んで、自分の知識などを有効に加えたい」と話した。
ニュージーランド代表の主力選手の加入は、最近ではサントリーサンゴリアス東京でプレーしたSOボーデン・バレット選手(2020-2021)やSO/FBダミアン・マッケンジー選手(2021-2022)の例があるが、いずれも1シーズン限定だった。BL東京によれば、モウンガ選手は東芝とは複数年契約で、今秋のラグビーワールドカップ後に合流する予定だ。
モウンガ選手は複数年契約について、「優勝できるだけの時間をもらっていると思っている」と話し、代表活動については「代表で選ばれるように毎週プレーをする。それが自分の仕事だし、これまでもそうやってフォーカスしてきた。あまり先を見過ぎないようにして、自分がコントロールできることにフォーカスしてコントロールしたい」と話した。
BL東京は、昨年末にニュージーランド代表FLシャノン・フリゼル選手の来季加入も発表。2019年ワールドカップ出場や昨年10月の日本代表戦を含めて25キャップを保持するフリゼル選手はハードワーカーで知られ、LOもNO8もこなせるユーティリティ性も高い。
チームには昨秋のフランス戦で日本代表デビューをしたSO中尾隼太選手や若手期待のLOワーナー・ディアンズ選手らもいるが、薫田真広ジェネラルマネージャーは、「一緒にプレーすることで彼らが成長する、チーム全体の底上げも考えている」と話し、期待を寄せている。
フリゼル選手についてモウンガ選手は、「いい友人なので彼の加入はうれしいし、彼のプレースタイルはこのクラブにフィットすると思う。一緒にプレーするのが楽しみだ」と喜んでいる。
モウンガ選手はこの日、翌7日の静岡ブルーレヴズとのリーグ第3節へ向けたチームの練習やクラブハウスを見学し、将来のチームメイトとも顔を合わせた。静岡戦を行う等々力競技場では試合当日、ファンに挨拶をする予定だ。
モウンガ選手は、「チームに成功をもたらしたいが、ただ単に勝つだけでなく、東芝らしい、魅力的なスタイルで勝ちたい。ファンに情熱を持って楽しんでいる姿、知的なラグビーをしているところを見てもらいたいし、勝てるという強い思いを感じてもらえるようなプレーをして、そのあとの試合にも足を運んでもらえるようにしたい」と話し、来季の新天地でのプレーに思いを馳せていた。
Photo credit: Toshiba Brave Lupas Tokyo