昨季優勝のワイルドナイツはホームで東芝ブレイブルーパス東京と対戦し、後半の反撃で22-19と勝利。負傷から復帰した日本代表SO松田力也選手が後半15分にトライとコンバージョンを決めて19-16と逆転。その後、粘る相手にPGで同点にされたが、今秋の日本代表遠征でも活躍したSO山沢拓也選手が後半22分過ぎから松田選手に代わって入り、終盤にPGを決めて逃げ切った。

 ワイルドナイツはPR稲垣啓太選手、HO坂手淳史選手、CTBディラン・ライリー選手など日本代表選手を多く抱えるリーグでも屈指のチーム。昨季からプレーするオーストラリア代表WTBマリカ・コロインベテ選手、マンスターから復帰した南アフリカ代表CTBダミアン・デアレンデ選手、この日はプレー機会がなかったが同じくスプリングボクスLOルード・デヤハー選手らトップレベルの選手を揃えて連覇を狙っている。

 ブレイブルーパスは昨季終盤の巻き返しで4位に入り、秋の日本代表でも好調だったFLリーチマイケル選手をはじめ、成長株筆頭のLOワーナー・ディアンズ選手、元ニュージーランド代表CTBセタ・タマニバル選手らを擁し、スロースタートだった昨季からの積み上げを活かした健闘が期待される。

 

新加入デクラーク選手は後半途中出場

 開幕節で好スタートを切ったのは、大型補強した横浜キヤノンイーグルスと昨季3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイも同様だ。

 イーグルスはホームでコベルコ神戸スティーラーズに39-30と勝利。SO田村優選手がトライ1本、PG2本、コンバージョン4本を決めて19得点をマークし、勝利に貢献した。今季補強の目玉と言える南アフリカ代表SHファフ・デクラーク選手は、後半14分から出場し、後半26分のヒル選手のこの日2本目のトライをお膳立てするなど、日本デビュー戦の勝利に貢献した。

 神戸は、南アフリカ代表FL/NO8として今季3年ぶりに国際舞台に復帰したマルセル・クッツェー選手や、昨季まで相模原でプレーしたCTBマイケル・リトル選手、スーパーラグビーやニュージーランド代表でも活躍したニューフェースのCTBナニ・ラウマベ選手が加わり、日本代表FB山中亮平選手らとともに強力なバックスを構成。日本代表でも頭角を現したSO李承信選手のPGで、前半終了間際や後半30分過ぎに2点差にまで詰め寄る場面も作ったが、後半開始早々にはLOコリー・ヒル選手、後半34分には日本代表NO8アマナキ・レレイ・マフィ選手にそれぞれトライを決められて、突き放された。

 

スピアーズ、18季ぶりのサンゴリアス戦勝利

 スピアーズは昨季2位の東京サントリーサンゴリアスとのアウェイでの初戦だったが、31-18で勝利。2004シーズン以来実に18季ぶりとなるサンゴリアスからの白星で、弾みのつくスタートとなった。

 昨季はシーズン途中の負傷で出場機会が半減した南アフリカ代表HOマルコム・マークス選手が戦列に戻り、後半29分までプレー。元オーストラリア代表SOバーナード・フォーリー選手が前半で3本のPGを決めて、日本代表にも選ばれたWTB根塚洸雅選手がトライを決めて14-6でハーフタイムに入った。

後半、フランスリーグから3季ぶりに復帰したFB松島幸太朗選手を擁するサンゴリアスが、日本代表でも存在感を示したNO8テビタ・タタフ選手のトライなどで反撃に出たが、スピアーズはWTB木田晴斗選手の2トライにフォーリー選手がコンバージョン2本とPG1本を成功させて逃げ切った。今季からサンゴリアスの指揮を執る田中澄憲監督の初白星は次節以降に持ち越しとなった。

 

昇格の相模原が首位、東葛が初勝利

 昇格組では、三菱重工相模原ダイナボアーズが東京ブラックラムズに34-8と快勝し、ボーナスポイントも獲得して勝ち点5で開幕節を終えて首位に立った。

 ダイナボアーズはSOヘンリー・ブラッキン選手が前半で2トライを決め、後半にもFL坂本侑翼選手とFBアライアサ空ローランド選手がそれぞれ1トライずつをマーク。前半途中出場の石田一貴選手がコンバージョン3本とPG2本を成功させるなどで、着々と加点した。

 だが、もう一つの昇格チームの花園近鉄ライナーズは、アウェイでグリーンロケッツ東葛に34-36と惜敗した。東葛は、昨季は勝ち星なしの苦しいシーズンだったが、今季は待望の勝ち星を手にする好発進となった。

 東葛は開始5分のFBトム・マーシャル選手のトライを皮切りに、CTBクリスチャン・ラウイ選手、NO8アセリ・マシヴォウ選手、WTB杉本悠馬選手らが次々とラインを超えて、前半終盤の花園の追い上げをかわし、後半序盤までに24-15とリードを奪った。

そこから花園が反撃。元オーストラリア代表SHウィル・ゲニア選手とCTBステイリンパトリック選手のトライと、マオリ・オールブラックスの経験もあるSOジャクソン・ガーデンバショップ選手のコンバージョンで一時は29-24と逆転した。だが、後半半ばから東葛がベンチスタートのアッシュ・ディクソン選手とカヴァイア・タギヴェタウア選手のトライなどで突き放した。

 

観客動員の最多は東海ダービー

 開幕節で最も観客動員が多かったのは、東海ダービーとなったトヨタヴェルブリッツと静岡ブルーレヴズ戦だった。

雨模様にもかかわらず12,213人が足を運んだ一戦は、31-26でヴェルブリッツに軍配が上がった。ちなみに、サンゴリアス対スピアーズ戦、ワイルドナイツ対ブレイブルーパス戦でも1万人を超える観客が駆け付けた。

 ホームで静岡との初戦に臨んだヴェルブリッツは序盤に0-12とリードを許したものの、SOティアーン・ファルコン選手のPG2本とCTBロブ・トンプソン選手のトライで点差を詰めて前半を11-12で折り返すと、後半もファルコン選手のPGで逆転。直後にWTBジョネ・ナベテレワ選手のトライで加点。その後もU-20 ニュージーランド代表にも選ばれた25歳SOがキックを成功させ、ベンチスタートの加藤竜聖選手のトライも決まって静岡の終盤の追い上げを退けた。元日本代表コーチで、今季から指揮を執るベン・へリングヘッドコーチには初陣での勝利となった。

 リーグワン新シーズン、ディヴィジョン1(D1)は4月23日まで行われ、12チームのうち上位4チームがプレーオフに進出。5月20日の決勝で今季王者が決まる。

 また、10位以下はディヴィジョン2(D2)上位3チームとの入れ替え戦に臨み、D2の下位3チームはディヴィジョン3(D3)との入れ替え戦に臨む。

(Photo: ©JRLO)