ワールドラグビーは、2023年1月1日からゲーム全体で採用される一連の競技規則の適用について発表しました。

マッチオフィシャル、プレーヤー、コーチを支援し、ファンの体験を向上させることを目的としたこのガイドラインは、国際連盟によるゲームのスピードアップの一環であり、11月に行われたShape of the Game (シェイプ・オブ・ザ・ゲーム)会議での主要な成果を反映したものです。

ラグビーワールドカップ2023を目前に控え、安全性とスペクタクル(観戦の面白さ)のバランスを取りながら、よりスピード感のある楽しい試合が繰り広げられるようこの新しい指令を導入します。2023年1月1日から以下のガイドラインが適用されます。

ゲームのスピードアップ

プレーヤーおよびマッチオフィシャルは、以下の現行法を厳守しなければならない。

  • 8条8d  コンバージョン: [キッカー]は、トライが与えられた時点から90秒以内(競技時間)にキックを行う。ボールが転がり、置き直したとしても同様である。罰:キックは認められない
  • 8 条 21 ペナルティキックキック: キックは、チーム がその意思表示をしてから60秒以内(競技時間)に行わなければならない。罰:キックを認めず、スクラムを与える 。
  • 9条7d 時間の空費:プレーヤーは時間を空費してはならない。罰:フリーキック
  • 18 条 12 ラインアウト:各チームは、遅延なくラインアウトを形成する。 罰:フリーキック
  • 19条4  スクラム: 両チームは、マークが示されてから30秒以内にスクラムを形成する準備をしなければならない。罰:フリーキック

ゲーム全般において上記のガイドラインを適用し、試合のスピードアップを図るよう推奨されます。また、エリートマッチの大会では、LNR/FFRの大会で試行された「ショットクロック」を使用することが推奨されます。

ワールドラグビー のディレクター ・オブ・ ラグビー 、フィル・デイビスは次のように述べています。「ワールドラグビー、加盟協会、そして大会運営者は、放送局や開催組織と協力し、レフリーやプレーヤー、そしてファンがカウントダウンを確認できるよう、ペナルティーやコンバージョンにショットクロックを画面上(スタジアムや放送画面)で表示するよう取り組んでいきます。

テレビジョンマッチオフィシャル(TMO)による見直しへの依存度を下げる。

現在のTMOプロトコルでは、明確で明白な反則を特定し、フィールド上で対処することを目的としているということを、マッチオフィシャルが再認識します。

デイビスは次のように加えています。「Shape of the Game会議では、このテーマについて有力なマッチオフィシャル、コーチ、選手代表らと素晴らしい議論が行われました。TMOによる見直しに時間がかかりすぎることがあるのは、見直しの対象となる反則が明確でないことが原因であるとの意見で一致しました。プロセスをスピードアップするためにテクノロジーとの相互作用を強化することは常に可能ですが、レフリーを中心としたマッチオフィシャルチームは、よりスピーディーな判断を試み、必要でない場合はリプレイを制限すべきです。」

ワールドラグビーは、マッチオフィシャルマネージャーと協力し、このプロセスの一貫した適用を確保する予定です。

給水係(ウォーターキャリアー)による介入回数を減らす

給水係(ウォーターキャリアー)を2人に制限し、フィールドに入る時間を減らすという国際的試験的規則の導入では、試合中の不必要な中断を減らすことに成功しました。しかし、給水休憩のための窓口を設けることは、たとえその給水が自然停止(トライ/負傷/TMOによる見直し)中に行われたとしても、試合を中断させるという印象を与えてしまっています。

デイビスは次のように加えました。「関係者との協議を経て、給水係に関する現行の国際的試験的規則 を修正し、トライが決まったときにフィールドに給水係を入れることを認めることになりました。参加する大会運営者と協会は、キックを60秒と90秒の制限時間内の行うことに注意してください。  トライのない試合の場合のみ、自然停止を使用することになります。」

現行の試験的プロトコルに対するこの修正は、テクニカルゾーン/ウォーターキャリア作業部会によって支持されました。このグループには、プレーヤー、コーチ、レフリー、大会運営者の代表者が含まれています。

プレイヤーのネガティブな行為にペナルティーを与える

ラグビーの価値・理念を強固にするため、レフリーには、プレーヤーのネガティブな行為に対する厳しい対応を求められます。例えば、ラックにプレーヤーを閉じ込めることや、最初に到着したプレーヤー(ジャクラー)がボールをプレーしようとしないことなどです。

プレーヤーは、ペナルティーの際にボールを保持したり、ボールを持って歩き出す(これらの行為は、違反しなかったチームの攻撃の選択肢を減らし、不必要に試合の流れを遅らせることであり、制裁の対象となる)という行為をしないという責任について再認識するよう求められます。

体重を支えるために地面に手をついているプレーヤーへのペナルティー

タックル、ラック、モールで地面に手をついたプレーヤーは制裁の対象となります。ただし、プレーヤーが自らのバランスと安定を保つために短く地面を使っている場合は判断が可能となります。

競技規則の定義と関連条項

  • 立っていない(off feet):体の足以外のいずれかの部分が地面、または地面の上にいるプレーヤーに支えられている状態のプレーヤーのことをいう。
  • 立っている (on feet):体の足以外のいずれの部分も、地面、または地面の上にいるプレーヤーに支えられていない状態のプレーヤーのことをいう。
  • タックル 14条8a:他のプレーヤーは:立ったまま、ボールとボールキャリアーを ただちに放す。および14条8b ボールをプレーする時は、立ったままでいる。
  • ラック 15条12: プレーヤーはラックの間ずっと、立ったままでいるよう努めなければならない。
  • モール 16条9: モールの中にいるその他のプレーヤーは全員、立ったままでいようと努めなければならない。

意図的なノックオンの明確化

何が意図的なノックオンで、何がそうでないのかについてはしばしば議論の原因となります。参加者は全員、以下の現行規則に留意してください。

  • 11条3: プレーヤーは手や腕を使って故意にボールを前にノックしてはならない。罰:ペナルティ
  • 11条4:プレーヤーが ボールをキャッチしようとした際にノックオンした場合 、そのプレーヤーがボールを獲得できたであろうという合理的に予測があったのであれば、故意のノックオンとはならない 。

 

プレーヤーはボールをキャッチするよう努めなければなりません。レフリーは、プレーヤーがボールをキャッチしボールの獲得できたという合理的な予測があるかどうかを判断し、制裁を決定する際に、適切な判断を下すよう求められています。このような状況でイエローカードの制裁を決定するための公式は存在しません。

今回の指令について、ワールドラグビーのサー・ビル・ボーモント会長は次のようにコメントしています。「私たちはスポーツとして、運動として、そしてファミリーとして、改善していくために常に挑戦していかなければなりません。より多くの人がラグビーをプレーしたい、ラグビーをサポートしたいと思い、ケガのリスクが減り、ラグビーに関わるすべての人が発言できるような、ファンやプレーヤーが望み描くラグビーの未来について考える時間を持つことです」。

 

「この規則適用ガイドラインは、私たちのスポーツを再構築するための一歩であり、プレーヤー、コーチ、レフリー、協会のCEO、大会オーナーが参加した11月のロンドンでのシェイプ・オブ・ザ・ゲーム会議から直接もたらされたものです。協力し合うことで、私たちはポジティブな結果を得ることができるのです。私は、この指令を実行してくれたマッチオフィシャルの皆様に特に感謝したいと思います。」