- コーチング・インターベンション・プログラムは、ラグビーにおける頭部接触のリスクを軽減することを目的とした一連の施策の一部
- エリートラグビーにおけるHIA事象の73%がタックルによるもの
- 2021年の導入以来、100人以上の選手がこのプログラムを修了
- プログラムを修了した選手の再犯は6%未満
- 参加したコーチと選手からのポジティブなフィードバック
- 個々のプレーヤーへの技術面での介入だけでなく、チーム全体の準備にも役立つことが証明された学習法
ワールドラグビーのコーチング・インターベンション・プログラムは、最初の国際的試験的導入でプレーヤーとコーチ両方の心構えにポジティブな変容があったことが実証され、競技に関する規定として正式に採用されました。
2021年7月の導入以来、100人以上の選手がこのプログラムを修了しています。このプログラムは、統計的に損傷リスクの低いタックル技術を練習するよう選手とコーチに奨励することで頭部接触を減らし、レッドカードの発行数を長期的に減らすことを目的としています。
このプログラムでは、頭部への接触を伴う反則行為により初めて規律委員会から制裁を受けたエリートラグビープレーヤーが、出場停止期間の最終週/試合をコーチング介入に置き換えるよう申請することができます*。
ラグビー界が一丸となってプレーヤーウェルフェアの向上に取り組む中、最新の統計によると、反則を繰り返すプレーヤーは10%未満であり、ウェルフェアとパフォーマンスの両面におけるテクニックの重要性が浮き彫りになっています。
- このプログラムの目的は、不十分なテクニックよる反則のリスクを減らすことで、頭部への接触を減らすこと。
- ポジティブな結果につながるコーチとプレーヤーの行動変容
- コーチ、マッチオフィシャル、元選手からなる専門家委員会が監修したプログラム
- これまでに120名の選手がこのプログラムを修了
- プログラムを修了した選手の94%が再犯していない
エリートゲームで発生する頭部損傷評価事象の73パーセントはタックルであり、そのうち76パーセントはタックラーに発生しています。脳震盪のリスクは、タックラーが直立した状態でタックルした場合4倍以上に上昇します。より良い(低い)タックルテクニックの重要性をゲーム全体に浸透させ、フィールド上での厳しい制裁と、競技規則を継続的に進化させるとともに、より大きなウェルフェアの成果を上げていくことが可能となります。コーチング・インターベンション・プログラムは、このアプローチの中心となるものです。
ワールドラグビーのチーフエグゼクティブ、アラン・ギルピンは次のように述べています。「スポーツとしての私たちの使命は、ゲームとトレーニングの両方の環境において、頭部への衝撃の頻度を減らすことであり、私たちは教育、競技規則の改正、そして厳格な制裁を通じて、このことに取り組んでいます。」
「コーチング・インターベンション・プログラムは、導入以来、コーチにタックルのテクニックと安全性について考える機会を与え、これらの事例から学んだ教訓は、すべてのプレーヤーに適用でき、ゲームに参加するすべてのプレーヤーにとっての利益を生み出します。行動統計とフィードバックは、圧倒的にポジティブなものでした。」
「頭部への接触は、単にプレーヤーのテクニックによる問題であると考えているわけではないことをはっきり申し上げます。私たちは、リスクを減らすために競技規則の改正や教育を通じてたゆまぬ努力を続けていきます。しかし、優れたテクニックが頭部損傷のリスク軽減に寄与することは確かであり、プレーヤーややコーチがこの見解を共有していることは心強いことです。」
ワールドラグビー のディレクター ・オブ・ ラグビー、フィル・デイヴィスも次のように加えました。「コーチングの観点からすると、タックルは良い成果を上げるための基本であり、良いタックル技術を練習することは、ウェルフェアやパフォーマンスの面でもメリットがあります。コーチング・インターベンション・プログラムのようなプログラムは、教育や行動に多大な効果があり、プレーヤーと同様にコーチにとっても重要なものです。」
「コーチング・インターベンション・プログラムは、決してチェックリスト的なものではありません。出場停止期間短縮の恩恵を受けるためには、コーチング介入は、タックル/コンタクトテクニックを分析し、ポジティブな修正を特定して実施するよう設計された、的を絞ったテクニック重視の施策でなければなりません。私たちがが目指すのは、プレーヤーの行動を変え、最終的にプレーヤー自身と対戦相手への損傷リスクを軽減することです。このプログラムは、独立した専門家のコーチングレビューグループによって検討・監督され、プレーヤー1人につき1回のみ実施されます。このプログラムを受けた100名以上のプレーヤーのうち、再びレッドカードを受けた選手は8名です。この8名の選手は、このプログラムの受講を2度申請することはできず、再犯者として、司法手続きによるより長い出場停止処分を受けることになります。」
「今日までの100以上の事例で見られたのは、参加者によって行われている変革への大規模な取り組みと、プレーヤーの健康維持とフィールドでのパフォーマンスという両方での利点を裏付けるテクニックを受け入れようという真の寛容さです。」
このプログラムは、タックルのテクニックについての問題提議という介入によって恩恵を受けた参加者から好意的なフィードバックを集めています。レスター・タイガースのダン・ケリー選手は、次のように述べています。「コーチング・インターベンション・プログラムに参加できてよかったです。選手として成長できましたし、インターベンションを受けたことで、技術的にも向上し、全体的に自分のゲームが改善できたと思います。」
コノートのコーチ、コルム・タッカーは次のように述べています。「このインターベンションの機会は本当に価値のあるものだと思いました。選手が制裁を受けた後、1対1のレビューを行い、その結果に基づき3段階のプロセスを開始し6週間計画をスタートさせました。また、このプロセスを通じて、独立した査定者とオープンな対話ができたことも非常に有益でした。」
RFUの規律責任者であるデイビッド・バーンズ氏も次のように加えました。「コーチング・インターベンション・プログラムは、試合出場禁止処分と並行して教育や技術矯正を行う、制裁のプロセスとして新たに加えられたプラスです。このプログラムは、今後の反則行為の発生を減らすのに役立つはずであり、試合におけるプレーヤーウェルフェアにポジティブなインパクトを与える更なる方法です。」
* このイニシアチブは、HIAプロセスを活用し、最高レベルのプレーヤーウェルフェアを提供するリーグ/大会で活用することができます。このことによりレビュープロセスにおけるアプローチの一貫性と映像の質が担保されます。