今秋のテストシリーズで初戦となるオールブラックス戦へ、ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチはラグビーワールドカップ2019年大会を経験した顔ぶれ9人と、その後2023年大会へ向けて台頭してきた若手らを融合させたチームを編成した。

先発FW陣をPR稲垣啓太選手、FLリーチ マイケル選手、FL姫野和樹選手らベスト8入りした2019年大会メンバー中心に固め、パワーと突破力のあるNO8テビタ・タタフ選手やチーム最年少20歳のLOワーナー・ディアンズ選手が加わり、ハーフ団は代表戦27キャップのSH流大選手と4キャップのSO山沢拓也選手が組む。

テストシリーズに先立って日本代表はオーストラリアA代表との3連戦を10月前半に行ったが、山沢選手はリザーブで出場した10月14日のオーストラリアA第3戦に続いての試合だが、先発では6月25日のウルグアイ代表戦以来となる。

 バックスにはWTBシオサイア・フィフィタ選手、CTBディラン・ライリー選手と近年定位置を確保しつつあるスピードとパワーを備えた二人に、CTB中村亮土選手、WTB松島幸太朗選手、FB山中亮平選手という2019年大会組が名を連ねた。

 リザーブにも今夏のテストシリーズで活躍したSO李承信選手、WTB/FBゲラード・ファンデンヒーファー選手が入り、6月18日のウルグアイ戦で代表デビューした竹内柊平選手、今回初キャップ獲得を待つ下川甲嗣選手が出番を待つ。

ジョセフヘッドコーチは、夏のテストシリーズでは体調不良で起用できなかった山沢選手について「山沢は今回状態がいい。ここでチャンスを与えようと考えていた」とコメント。流選手との9番-10番コンビでのプレーに、「オールブラックス相手にどういうプレーをするかを見てみたい」と期待を寄せている。

ベンチスタートにした李選手についても、日本代表ヘッドコーチは「李は若くてポテンシャルがある。今週はリザーブで出てどういう形でインパクトを出せるのかを見たい」と話している。

 

RWC2023へ大事な試合

次のラグビーワールドカップ2023開幕まで1年を切って、ジョセフ日本代表ヘッドコーチは、今回のオールブラックス戦が選手たちのさらなるステップアップにつながると期待している。

「ラグビーワールドカップを控えて、自分たちにはこういう試合が必要で、今年は4月からフランス代表やオーストラリアA代表との3連戦まで、チームとしてすごく成長できる試合を経験してきた。この試合もそういう大事な試合になる」

日本とニュージーランドとの対戦は2018年11月以来。秩父宮で行われたその試合では31-69でオールブラックスに軍配が上がり、日本はここまで1987年の初対戦から6戦全敗だ。

ジョセフ日本代表ヘッドコーチは、「相手は体の大きいパックを使ってセットプレーで試合をコントロールしようとしてくるだろうが、自分たちもそこに焦点をあてて練習してきた」と語り、ポイントは「自分たちがしっかりプランを描いて遂行できるかが重要。オールブラックスは素晴らしい運動能力があり、彼らのパワー、オフロードに対して自分たちがどう対抗するかだ」と話す。

「もちろん、簡単ではない」としながらも、日本代表指揮官は勝利を狙い、「セットプレーでプレッシャーをかけることができれば、勝てるチャンスはあると思っている」と語った。

 日本はニュージーランド代表戦後には欧州遠征で11月12日にイングランド代表、20日にフランス代表と対戦する。

 一方のニュージーランド代表も欧州で11月6日にウェールズ代表、13日にスコットランド代表、20日にイングランド代表との対戦を控えており、日本戦は今年の北半球遠征の初戦となる。

 発表された試合メンバーには、かつて神戸でもプレーした代表98キャップのLOブロディ・レタリック選手をはじめ、主将でFLサム・ケイン選手、HOデーン・コールズ選手など経験豊富な選手をFW陣に起用。10番は2019年日本大会でも活躍したSOリッチー・モウンガ選手が着ける。バックスは若手中心で、13人制から転向したCTBロジャー・トゥイヴァサ=シャック選手と8月に代表デビューしたばかりのFBスティーブン・ペロフェタ選手が初先発で名を連ねた。

 リザーブには代表111キャップのSHアーロン・スミス選手、トヨタヴェルブリッツでもプレーしたLOパトリック・トゥイプロトゥ選手らが入った。

今回の国立競技場での試合は6万5千枚のチケットが完売。2019年ワールドカップ以外のラグビーでは最多の観客動員が見込まれている。また、秩父宮ラグビー競技場ではパブリックビューイングも開催される予定だ。

 

 

日本代表 ニュージーランド代表戦試合登録メンバー:

1 稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ、42キャップ)

2 坂手淳史*(埼玉パナソニックワイルドナイツ、30)

3 具 智元(コベルコ神戸スティーラーズ、18)

4 ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京、4)

5 ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ、9)

6 リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京、75)

7姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ、22)

8 テビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス、12)

9 流 大(東京サントリーサンゴリアス、27)

10 山沢拓也(埼玉パナソニックワイルドナイツ、4)

11 シオサイア・フィフィタ(花園近鉄ライナーズ、9)

12 中村亮土(東京サントリーサンゴリアス、30)

13 ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ、7)

14 松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス、44)

15 山中良平(コベルコ神戸スティーラーズ、24)

リザーブ:

16 日野剛志(静岡ブルーレヴズ、5)

17 クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ、6)

18 竹内柊平(浦安D-Rocks、1)

19 下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス、0)

20 ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、4)

21 齊藤直人(東京サントリーサンゴリアス、8)

22 李 承信(コベルコ神戸スティーラーズ、3)

23 ゲラード・ファンデンヒーファー(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、3)

注: * 印はキャプテン 所属の後の数字はキャップ数

 

ニュージーランド代表試合登録メンバー:

1 ジョージ・バウアー(クルセイダーズ、19キャップ)

2 デーン・コールズ(ハリケーンズ、84)

3 ネポ・ラウララ(ブルーズ、42)

4 ブロディ・レタリック(チーフス、98)

5 トゥポウ・ヴァアイ(チーフス、15)

6 シャノン・フリゼル(ハイランダーズ、21)

7 サム・ケイン*(チーフス、85)

8 ホスキンス・ソトゥトゥ(ブルーズ、12)

9 フィンレー・クリスティ(ブルーズ、12)

10 リッチー・モウンガ(クルセイダーズ、41)

11 ケイレブ・クラーク(ブルーズ、11)

12 ロジャー・トゥイザサ=シェック(ブルーズ、2)

13 ブレイドン・エノー(クルセイダーズ、5)

14 セブ・リース(クルセイダーズ、21)

15 スティーブン・ペロフェタ(ブルーズ、1)

リザーブ

16 サミソニ・タウケイアフォ(チーフス、17)

17 オファ・トゥウンガファン(ブルーズ、48)

18 ティレル・ロマックス(ハリケーンズ、20)

19 パトリック・トゥイプロトゥ(ブルーズ、44)

20 ダルトン・パパリィ(ブルーズ、18)

21 アーロン・スミス(ハイランダーズ、111)

22 デービッド・ハヴィリ(クルセイダーズ、21)

23 アントン・レイナート=ブラウン(チーフス、56)

注:* 印はキャプテン 所属の後の数字はキャップ数