8強入りを目指すサクラフィフティーンは、世界ランキング5位のイタリアとのオークランドでのプール最終戦で大一番を迎える。
日本はここまで初戦で世界3位のカナダ、第2戦では同6位のアメリカに敗れて2敗し、勝点ゼロでプール4位。首位のカナダは2勝で勝点10、2位のイタリアと3位のアメリカは1勝1敗で勝点5。各プール2位までと3プール中3位のなかで上位2位が8強入りで決勝進出できる。
日本はイタリア戦で4トライ以上を奪ってボーナスポイントを獲得して勝利を収め、なおかつ、イタリアには7点差以内で勝点1が与えられるボーナスポイント獲得を阻止しなければならない。その上で、他チームの結果を待たなければならない。厳しい状況だ。
南キャプテンは、「厳しい戦いになることはわかっている。そこで絶対に勝って、まだまだ上にあがりたい」とキッパリ。
得点チャンスを作りながら決めきれずにアメリカ戦を落としたことで、「自分たちはチャレンジャーだと再認識させられた。今度の試合にはまた違った気持ちで挑める」と気を引き締めている。
日本はイタリアとは前回2017年大会でも対戦。当時は0-22と完敗したが、マッケンジー体制では2019年のアウェイで対戦して17-17で引き分けた。
だが、今回はワールドカップの舞台。イタリアは今大会、初戦でアメリカに22-10で勝利を収め、第2戦でカナダに12-22で敗れた。日本戦にはアメリカ戦から4番、6番、9番の3人を変更したが、SO Veronica Madia選手をはじめ、この2試合で得点に絡んできたバックス陣は不動だ。
2戦連続トライのFB Vittoria Ostuni Minuzzi選手、アメリカ戦で後半2トライをマークしたWTB Aura Muzzo選手、同じく1トライのWTB Maria Magatti選手の名前が並び、キャプテンでNO8のElisa Giordano選手も先発入りしている。
イタリアにとっても決勝トーナメント進出には日本戦での勝利が必須。アメリカがカナダにボーナスポイントを得て勝利すると上位2位をキープできなくなる可能性もあるため、気合を入れて臨んでくることは明らかだ。
南選手は、「イタリアはキックをうまく使い、ボールキャリーもアジリティを使って、スピードがある選手も多い」と警戒。「フィールドを埋めるようなディフェンスでプレシャーをかけたいし、意図的にボールを運びたい。自分たちがこの5年間やってきたことをすべて出したい」と意気込んでいる。
4トライ以上という大量得点も求められる試合だが、女子日本代表キャプテンは「とり急がずに1つ1つ行く。フェーズを重ねてもいい」と話して、チャンスを確実にものにするつもりだ。
レスリー・マッケンジーヘッドコーチも、「何をコントロールしてトライにつなげるか」だと指摘。トライを意識し過ぎずに、チームの持つ力を発揮してほしいと考えている。
「チームの雰囲気はいい。今大会中に試合を経るごとにチームは良くなっていて、プレッシャーにも適応できている。自分たちになにができるかが明確になっている」と指揮官は言う。
先発は変えず、19歳の若手がリザーブ入り
マッケンジー女子日本代表ヘッドコーチが用意した試合メンバーは、第2戦と先発は同じ顔触れだ。アメリカ戦では、試合開始から押し込んで先制トライを奪い、チャンスを作り前半は相手を圧倒した。
両フランカーが先週と入れ替わり、6番を細川恭子選手、7番を長田いろは選手が着ける。だが、それ以外はキャプテン南選手以下、HO谷口琴美選手、SH阿部恵選手とSO大塚朱紗選手のハーフ団のコンビ、CTB山本実選手、FB松田凛日選手らに変化はない。
一方、ベンチには今大会初出場が二人。LO川村雅未選手とチーム最年少の19歳FL向来桜子選手が名を連ねた。川村選手、向来選手ともに8月20日の静岡でのアイルランド代表戦にリザーブとして入って以来の試合となる。
また、PRラベマイまこと選手とCTB中山潮音選手が第1戦のカナダ戦から2試合ぶりにメンバー入りした。
「先週もそうだが、毎試合ベストなメンバーを選んでいる」と元カナダ代表FWの指揮官は選手たちへの信頼を見せる。
2戦連続で12番でスタートする山本選手は、アメリカ戦を活かしたいプレーをしたいと考えている。
「アメリカ戦では22メートル内やゴール前に入るチャンスをたくさん作れた。イタリア戦では、そこでどうスコアするか。自分たちのモメンタムを作れるかが大事になる」と山本選手は言う。
2017年大会も経験した25歳のCTBは、試合間隔が中3日から今回の中5日に変わったことに触れて「次の試合に向けてしっかり取り組むことができるので、一戦一戦大事に戦えている感じはあるし、一戦一戦で成長できていると感じる。離脱するような大きな怪我人もでていないので怪我のリスクも減っていると思う」と語る。
アメリカ戦に続いて2番を務める谷口琴美選手も、「試合を通して修正がどんどんできているし、元々ワンチームだったが、さらに良くなっていて、みんなで良くしようとしている」とチームの一体感を強調する。
プール最終戦の相手については、「イタリアは賢くて器用。少し日本に似ているところがある。セットプレーで精度を高くしてマイボールをキープしたいし、守備ではしっかり守りたい」と話している。
マッケンジーヘッドコーチも、「イタリアは日本に似ているところがある。シックスネーションズのチームの中でも小柄な方で選手層も少ないが、経験は我々より上だ。アスリートで、ボールプレーや情熱を持っている点が似ている。それが80分続くと思うので、楽しめる試合になると思う」と話した。
日本とイタリアの対戦は10月23日、日本時間午前8;45(現地時間12:45)キックオフの予定だ。
女子日本代表RWCイタリア戦試合メンバー:
1南 早紀*(横河武蔵野アルテミ・スターズ、28)
2谷口琴美(MIE PEARLS、5)
3加藤幸子(横河武蔵野アルテミ・スターズ、13)
4佐藤優奈(東京山九フェニックス、9)
5高野眞希(横河武蔵野アルテミ・スターズ、19)
6細川恭子(MIE PEARLS、10)
7長田いろは(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、18)
8齊藤聖奈(MIE PEARLS、34)
9阿部 恵(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、13)
10大塚朱紗(RKUグレース、12)
11今釘小町(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、12)
12山本 実(MIE PEARLS、23)
13古田真菜(東京山九フェニックス、17)
14名倉ひなの(横河武蔵野アルテミ・スターズ、13)
15松田凛日(日本体育大学ラグビー部女子、8)
リザーブ
16小牧日菜多(日本体育大学ラグビー部女子、5)
17ラベマイまこと(横河武蔵野アルテミ・スターズ、19)
18吉村乙華(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、7)
19川村雅未(RKUグレース、3)
20向来桜子(日本体育大学ラグビー部女子、2)
21津久井萌(横河武蔵野アルテミ・スターズ、21)
22中山潮音(横河武蔵野アルテミ・スターズ、9)
23庵奥里愛(MIE PEARLS、8)
注:* 印はキャプテン 所属のあとの数字はキャップ数
イタリア代表試合メンバー:
1 Silvia Turani
2 Melissa Bettoni
3 Sara Seye
4 Sara Tounesi
5 Giordana Duca
6 Francesca Sgorbini
7 Giada Franco
8 Elisa Giordano*
9 Sara Barattin
10 Veronica Madia
11 Maria Magatti
12 Beatrice Rigoni
13 Michela Sillari
14 Aura Muzzo
15 Vittoria Ostuni Minuzzi
リザーブ
16 Vittoria Vecchini
17 Gaia Maris
18 Emanuela Stecca
19 Valeria Fedrighi
20 Isabella Locatelli
21 Beatrice Veronese
22 Sofia Stefan
23 Alyssa D’Inca
注:* 印はキャプテン