10月9日のカナダとの初戦を落とした日本は、現在プールBで首位のカナダ、イタリア、アメリカに次いで4位に位置する。目標とする8強入りのためには第2戦アメリカ戦での勝利が求められているが、相手も初戦を落としており、両チームが今大会初勝利をかけたハードな戦いになる。

 日本は初戦から先発3人を入れ替え、HOに谷口琴美選手を起用し、前節先発した永田虹歩選手はベンチスタートになった。

谷口選手は9月24日のニュージーランド戦を含めて過去4試合すべてがインパクトプレーヤーとしてベンチスタートでプレーしてきた。今回初の先発での登場で、ラインアウトで苦戦したカナダ戦からの修正と巻き返しのけん引役の一人として期待がかかる。

 FL細川恭子選手とCTB山本実選手は、先週末のリザーブ出場からそれぞれ7番、12番をつけてスタートの15人に入り、カナダ戦でフランカーとして先発した長田いろは選手と齊藤聖奈選手は長田選手が7番から6番にスイッチ。齊藤選手はNO8に入る。

 リザーブには新たにPR/LO北野和子選手、FB庵奥里愛選手、NO8永井彩乃選手が名を連ねた。北野選手はリザーブで出場した7月30日の南アフリカ戦、庵奥選手は8月20日のアイルランド戦先発、長い選手は9月のニュージーランド戦先発以来の試合で、ベンチから出場機会をうかがう。

 レスリー・マッケンジー女子日本代表ヘッドコーチは2番の変更について、「カナダ戦でラインアウトのポゼッションが50%止まりだったので、何かを変える必要がある。谷口選手には先発で何かをもたらしてほしい」と述べた。

 今回指揮官が12番に起用する山本選手は、前回2017年大会でも5試合に先発するなど代表戦22キャップを保持。昨季はウスター・ウォリアーズでシーズンを送った経験を持つ。

マッケンジーヘッドコーチは、「(山本選手は)とてもクレバーな選手。練習から大塚(朱紗)選手とのコンビが面白いと思っていた。攻撃のマネジメントをしてほしいと思っている」と期待を寄せている。

 

アメリカは先発7人を変更

 日本が対戦するアメリカは世界ランキングでは日本の13位に対して6位。ラグビーワールドカップでは1991年の第1回大会での優勝以降、毎回決勝トーナメント進出を果たし、前回2017年大会でも4強入りした実績がある。

 今大会は初戦でイタリアに10-22と躓いて不本意なスタートとなったが、日本戦での勝利で挽回を狙っている。試合メンバーもイタリア戦から大幅に変更。3番から6番までのFW4人と9番、11眼、15番を入れ替えた。

 初戦で先制トライを決めたLO Hallie Taufoou選手はメンバー外となり、後半チーム2トライ目を決めたLO Jenny Kronish選手は先発からリザーブでの出場に変わった。

 だが、エクセター・チーフスでPR加藤幸子選手と同僚のPR Hope Rogers選手や、ボールキャリーに定評のあるNO8 Kate Zackary選手、SO Gabby Cantorna選手らは初戦に続いての先発で、オリンピック2大会を経験し、初戦でFB を務めたAlev Kelter選手は今回12番へシフトした。

 

南主将「落とせない試合」

 マッケンジー女子日本代表ヘッドコーチは、「アメリカは直接的でエキサイティングで、フィジカルな戦いをする。(日本戦にも)フィジカルの強みを活かしてプレーすべく大きな選手を起用してきている。我々はワールドカップの舞台でそれに対応しなければならない」とコメント。

さらに、「両チームとも勝利に貪欲になっているが、アメリカは気持ちが入ると危険なチーム」と警戒。日本の3人に対してアメリカはメンバーの半数がイングランドのプレミア15でプレーするなど、より整った環境で強化を図り、ラグビー教育も身についている点にも触れて、「我々には大きなチャレンジになる。簡単な相手ではない」とした。

だが、サクラフィフティーン指揮官は同時に、「選手たちがやってきたことを信頼しているし、積み上げてきたもの見せてくれると期待している」と語った。

女子日本代表のPR南早紀キャプテンは、「8強以上に進むには、ここは落とせない試合になる」と気を引き締める。

 「カナダ戦でできたことと、できなかったことをクリアにして、次の試合でどうするかが明確になった。それを遂行する」とキッパリ。初戦で苦戦したラインアウトについても「勝利に直結している。セットプレーの成功率を上げていきたい」と語った。

 フロントローで2戦連続先発となる加藤選手も、「体の大きな相手に対して、ディフェンスでもっと前に出て止めていかないとならない。カナダ戦で安定しなかったセットプレーの精度を高めたい」と話している。

 日本の攻撃を活かすためにもFWからのボール配給が鍵になるが、LO伊藤優奈選手は、「初戦で負けて、より負けられないという気持ちが強い。もっと細かいところに気を付けてやりたい。ブレイクダウンの質を落とさずに、1回1回きれいにボールを出せるようにサポートしたい」と意気込んでいる。

 女子日本代表のプールB第2戦アメリカ代表戦は10月15日、ファンガレイにて日本時間13:30(現地時間17:30)キックオフの予定だ。

 

 

女子日本代表 RWCアメリカ代表戦試合メンバー:

1南 早紀*(横河武蔵野アルテミ・スターズ、27)

2谷口琴美(MIE PEARLS、4)

3加藤幸子(横河武蔵野アルテミ・スターズ、12)

4佐藤優奈(東京山九フェニックス、8)

5高野眞希(横河武蔵野アルテミ・スターズ、18)

6長田いろは(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、17)

7細川恭子(MIE PEARLS、9)

8齊藤聖奈(MIE PEARLS、33)

9阿部 恵(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、12)

10大塚朱紗(RKUグレーズ、11)

11今釘小町(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、11)

12山本 実(MIE PEARLS、22)

13古田真菜(東京山九フェニックス、16)

14名倉ひなの(横河武蔵野アルテミ・スターズ、12)

15松田凛日(日本体育大学ラグビー部女子、7)

リザーブ

16小牧日菜多(日本体育大学ラグビー部女子、4)

17永田虹歩(国際武道大学ラグビー部、10 )

18北野和子(MIE PEARLS、6)

19玉井希絵(MIE PEARLS、15)

20吉村乙華(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、6)

21津久井萌(横河武蔵野アルテミ・スターズ、20)

22庵奥里愛(MIE PEARLS、7)

23永井彩乃(YOKOHAMA TKM、12)

注:* 印はキャプテン 所属のあとの数字はキャップ数

 

アメリカ代表 日本戦試合登録メンバー:

1 Hope Rogers

2 Joanna Kitlinski

3 Charli Jacoby

4 Kristine Sommer

5 Evi Ashenbrucker

6 Kathryn Johnson

7 Rachel Johnson

8 Kate Zackary*

9 Olivia Ortiz

10 Gabriella Cantorna

11 Tess Feury

12 Alev Kelter

13 Eti Haungatau

14 Jennine Detiveaux

15 Meya Bizer

リザーブ

16 Kathryn Treder

17 Catherine Benson

18 Nick James

19 Jenny Kronish

20 Elizabeth Cairns

21 Carly Waters

22 Megan Foster

23 Lotte Clapp

注:* 印はキャプテン