プールステージでカナダ、アメリカ、イタリアと対戦する日本の8強入り実現へ、レスリー・マッケンジー女子日本代表ヘッドコーチが選出した32人(FW19人、BK13人)は、若手を中心に代表経験のある選手が要所を締める構成になった。

キャプテンを務めるPR南早紀選手をはじめ、FL齊藤聖奈選手、FL長田いろは選手、SH津久井萌選手ら前回2017年大会経験者9人が入ったが、それ以外は今回が初のワールドカップとなる。チーム最多31キャップは齊藤選手で、FL鈴木実沙紀選手が30キャップ、南選手が25キャップで続く。

ノンキャップの選手はいないものの、5キャップ以下の代表経験の浅い選手は7人で、チームの合計キャップ数でも366と若いチームと言える。

だが、FB/CTB/WTB松田凛日選手、SO大塚朱紗選手、HO永田虹歩選手ら伸び盛りの顔ぶれを揃えた。松田選手は元日本代表FBで3度のワールドカップに出場した努氏が父。ニュージーランド大会の試合でピッチに立てば親子2代でのワールドカップ出場となる。

 また、SO山本実選手はウスター・ウォリアーズ、PR加藤幸子選手はエクセター・チーフスでプレーを経験。オーストラリアのブランビーズに所属したCTB古田真菜選手とPRラベマイまこと選手など、海外リーグでの経験のある選手も加わった。

マッケンジーヘッドコーチは、「自分たちのスタイルを実現できる選手、強い国と戦う上で最適と思う選手を選んだ」とコメント。

「ヘッドコーチに就いたときからワールドカップのメンバー選考が(候補者が多くて)難しくなるように指導してきたつもりだ。完璧ではないが、この状況に満足している。本大会のフィールドで非常に良いラグビーを見せられると楽しみにしている」と話した。

 

3年半で109人を招集

マッケンジー指揮官は、2019年の始動から約3年半の間に合宿27回と5回の海外遠征を実施。今年7月の南アフリカ、8月のアイルランドとのテストシリーズまで約280日間の活動で109人の選手をチェックしてきた。

本大会では日本は10月9日のプール初戦でカナダと対戦し、15日にアメリカ、23日にイタリアと対戦する。最新の世界ランキングではカナダが3位、アメリカが6位、イタリアが5位で日本は13位だ。

現在チームは長野県の菅平で合宿を行っており、9月15日に日本を発って大会が開催されるニュージーランドへ移動。現地で調整を行い、24日にオークランドで大会前最後の強化試合となる女子ニュージーランド代表とのテストマッチに臨み、本番へ備える。

自身もカナダ代表として2度のワールドカップを戦ったマッケンジーヘッドコーチは、「自分たちのやっていることに自信を持っている。世界トップの国と戦ってどれだけベストなラグビーを発揮できるか。それを考えるとワクワクする。戦えるチームになっていると思う」と、ニュージーランド大会に臨む32人への期待を口にした。

南キャプテンは「私にとっては2度目のワールドカップで、前回大会では悔しい思いをしたが、この5年間に勝利も敗戦も経験して、より強く成長したと実感している。ベスト8以上に入って、日本女子ラグビーの新しい歴史を創りたい」と意気込む。

 日本ラグビー協会の浅見敬子ナショナルチームディレクターは、女子セブンズ代表のラグビーワールドカップセブンズでの9位フィニッシュに触れて、「過去最高の9位という大健闘で素晴らしいバトンを渡してくれた。2019年からレスリーヘッドコーチが丁寧に強化し続けてくれている。その真価をようやく発揮できる」と述べた。

 

 

女子日本代表 RWC2021ニュージーランド大会登録メンバー

PR

加藤幸子(横河武蔵野アルテミ・スターズ、10キャップ)

北野和子(MIE PEARLS、6)

小牧日菜多(日本体育大学ラグビー部女子、3)

左高裕佳(弘前サクラオーバルズ、12)

南 早紀*(横河武蔵野アルテミ・スターズ、25)

ラベマイまこと(横河武蔵野アルテミ・スターズ、17)

HO

谷口琴美(MIE PEARLS、3)

永田虹歩(国際武道大学女子ラグビー部、8)

LO

川村雅未(RKUグレース、3)

佐藤優奈(東京山九フェニックス、6)

高野眞希(横河武蔵野アルテミ・スターズ、16)

玉井希絵(MIE PEARLS 、13)

吉村乙華(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、5)

FL

向来桜子(日本体育大学ラグビー部女子、2)

FL/HO/NO8

齊藤聖奈(MIE PEARLS、31)

FL/HO

鈴木実沙紀(東京山九フェニックス、30)

FL

長田いろは(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、15)

細川恭子(MIE PEARLS、7)

NO8

永井彩乃(YOKOHAMA TKM、10)

SH

阿部 恵(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、10)

津久井 萌(横河武蔵野アルテミ・スターズ、19)

SO

大塚朱紗(RKUグレース、9)

SO/CTB

山本 実(MIE PEARLS、21)

SO/WTB

今釘小町(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/立正大学、9)

WTB

名倉ひなの(横河武蔵野アルテミ・スターズ、10)

CTB/WTB/FL

伊藤優希(MIE PEARLS、11)

CTB

鈴木彩香(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、18)

中山潮音(横河武蔵野アルテミ・スターズ、7)

古田真菜(東京山九フェニックス、14)

FB

庵奥里愛(MIE PEARLS、7)

平山 愛(自衛隊体育学校PTS、4)

CTB/WTB/FB

松田凛日(日本体育大学ラグビー部女子、5)

注:* 印はキャプテン、所属のあとの数字はキャップ数

(Photo credit: JRFU)