サクラフィフティーン女子日本代表がニュージーランドで行われるラグビーワールドカップ2021開幕へ向けて、7月の南アフリカ代表との2連戦に続いて行っている夏のテストシリーズも、アイルランド代表との第2戦が最終戦となる。

 7月24日の南アフリカ代表第1戦には勝利したが、その後7月30日の第2戦と8月20日の静岡でのアイルランド代表第1戦には黒星。アイルランドとの通算対戦成績は6戦全敗となったが、今回の秩父宮での対戦で初勝利を挙げて連敗を止め、2カ月弱で迎えるワールドカップへ向けて手ごたえを掴みたい。

 サクラフィフティーンは先週の対戦では22-57と大敗。試合開始早々にFL鈴木実沙紀選手のゴール前のラックからのピック&ゴール、WTB今釘小町選手の足を活かしたトライ、SO大塚朱紗選手のコンバージョンで15-0とリードを奪った。

だが、その後はアイルランドが経験のあるFWを軸に反撃した。ラインアウトからモールで押し込む得意の形だけでなく、代表初キャップのバックス陣がパスをつなぐ形でも躍動し、前半17分のトライを皮切りに、前半で3トライ、後半も6トライを加えて終始日本を圧倒。日本は後半、PRラベマイまこと選手のトライと大塚選手のコンバージョンで7点を加えたが、ハンドリングエラーで好機を逃し、ペナルティが増えて相手に得点機会を与えて苦戦した。昨年11月にアウェイで対戦した12-15とは異なる、大差での黒星となった。

女子日本代表PR南早紀選手は「相手のアタックを受けてしまい、スクラムで駆け引きに負けてしまった」と振り返っていたが、一方で「自分たちの添付でアタックできればトライチャンスになる」という手ごたえも掴んでいた。

 ルイース・ダルグリーシュ女子日本代表のアシスタントコーチは「先週の試合は残念だったが、起きたことはチームにとってワールドカップへ向けた学びになる」と話し、第2戦では「アイルランドはFWの経験を活かして戦ってくるが、前回の対戦を踏まえて、相手がどこでプレーするのか予測し、チャンスとスペースを与えないようにしたい」と第1戦の経験を踏まえた戦いをしたいと話している。

 女子日本代表は5月のオーストラリア遠征での3試合を含めて、ここまでワールドカップを睨んで多くの選手を起用して組み合わせを試してきているが、ダルグリーシュ女子日本代表アシスタントコーチは「長い期間、同じメンバーで活動してコンビネーションの落とし込みができている」と、チームとしての成長を感じている。

 今回第2戦に臨む先発メンバーは第1戦から6人を変更。4番に入るLO伊藤優奈選手は7月の南アフリカ第2戦のリザーブ出場以来の試合で、FL齊藤聖奈選手とSH阿部恵選手が第1戦のベンチスタートから2試合ぶりに先発に入り、先週メンバー外だったFL長田いろは選手、CTB古田真菜選手、WTB名倉ひなの選手の3人も2試合ぶりにピッチに戻る。

また、第1戦で13番CTBとしてプレーした松田凛日選手は第2戦ではFBでプレーする。リザーブには怪我から復帰したPR加藤幸子選手が入り、昨年11月の欧州遠征でのアイルランド戦以来の試合に臨む。

 

アイルランド、第1戦勝利で世界ランク6位に

一方のアイルランド代表は、第2戦へSHエルサ・ヒューズ選手と選手代表デビューした18歳のSOダナ・オブライエンのコンビをキープし、バックス陣の変更はない。LOサム・モナハン選手とFLドロシー・ウォール選手の第1戦での負傷を受けてFWの3人と組み合わせを変更した。

PRリンダ・ジョガン選手が1番から3番に移り、1番にPRローラ・フィーリー選手を起用。キャプテンを務めるLOニコラ・フライデー選手は4番から5番に変わり、4番にはハンナ・オコナー選手がNO8から移動した。6番には元イングランド代表のFLジョー・ブラウン選手が入り、アイルランド代表デビューとなる。NO8は先週リザーブ出場だったグレース・ムーアが務める。また、リザーブには新たにジェス・キーティングとエマ・ティリーの2人のノンキャップ選手が入った。

 初キャップ6人が躍動した先週第1戦の快勝で、世界ランキングを1つ上げて6位に浮上したアイルランド代表だが、日本もホームのファンの前で連敗を止めて、第1戦からの修正と手ごたえを掴んでニュージーランドでの本大会に備えたい。注目だ。

 

女子日本代表 アイルランド代表第2戦試合メンバー

1南 早紀*(横河武蔵野アルテミ・スターズ、24キャップ)

2永田虹歩(国際武道大学女子ラグビー部、7)

3左高裕佳(弘前サクラオーバルズ、11)

4佐藤優奈(東京山九フェニックス、5)

5高野眞希(横河武蔵野アルテミ・スターズ、15)

6齊藤聖奈(MIE PEARLS、30)

7長田いろは(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、14)

8永井彩乃(YOKOHAMA TKM、9)

9阿部恵(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、9)

10大塚朱紗(RKUグレース、8)

11今釘小町(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/立正大学、8)

12中山潮音(横河武蔵野アルテミ・スターズ、6)

13古田真菜(東京山九フェニックス、13)

14名倉ひなの(横河武蔵野アルテミ・スターズ、9)

15松田凛日(日本体育大学ラグビー部女子、4)

リザーブ:

16ラベマイまこと(横河武蔵野アルテミ・スターズ、16)

17谷口琴美(MIE PEARLS、2)

18加藤幸子(横河武蔵野アルテミ・スターズ、9)

19玉井希絵(MIE PEARLS 、12)

20吉村乙華(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA、4)

21津久井 萌(横河武蔵野アルテミ・スターズ、18)

22山本 実(MIE PEARLS、20)

23細川恭子(MIE PEARLS、6)

注:* はキャプテン、所属のあとの数字はキャップ数

 

女子アイルランド15人制代表 試合登録メンバー

1ローラ・フィーリー (Blackrock College RFC, 23)

2ニーヴ・ジョーンズ (Gloucester-Hartpury, 12)

3リンダ・ジョガン (ASM Romagnat Rugby, 23)

4ハンナ・オコナー (Blackrock College RFC, 13)

5ニコラ・フライデー* (Exeter Chiefs, 28)

6ジョー・ブラウン(Worcester Warriors, 0)

7エデル・マクマホン (Wasps, 20)

8グレース・ムーア (Saracens, 4)

9エルサ・ヒューズ (Railway Union RFC, 15)

10ダナ・オブライエン  (Tullow RFC, 1)

11イーファ・ドイル  (Railway Union RFC, 11)

12エンヤ・ブリーン (TBC, 15)

13イーファ・ダルトン (Tullamore RFC, 1)

14ナターシャ・ビーハン (Blackrock College RFC, 1)

15メイブ・ディーリー (Blackrock College RFC, 1)

リザーブ:

16エマ・ホーバン (Blackrock College RFC, 12)

17クロエ・ピアース (UL Bohemian RFC, 6)

18ケイティ・オドワイア (Railway Union RFC, 11)

19タリン・シュッツラー (Saracens, 1)

20 ジェス・キーティング (Life University, 0)

21モリー・スカッフィルマッケイブ (Railway Union RFC, 3)

22リー・ターピー (Tullamore RFC, 1)

23エマ・ティリー (MU Barhhall RFC, 0)

注:* 印はキャプテン 所属のあとの数字はキャップ数