7月24日の岩手県の釜石鵜住居復興スタジアムでの第1戦を世界ランキング13位の南アフリカに15-6と競り勝った同12位の日本は、第1戦から先発8人を変更。NO8マテイトンガ・ボギドゥラウマイナダヴェ選手、SO大塚朱紗選手、WTB黒木理帆選手、FB庵奥里愛選手の4人が先週のメンバー外から起用され、PRラベマイ・まこと選手、PR左高裕佳選手、LO川村雅未選手、CTB山本実選手がリザーブからスタートの15人に加わった。

 試合開始4分で日本はFWを活かしてゴール前に攻め込み、ラックからのパスを受けた大塚選手がトライを決めて先制した。

 第1戦勝利に導いた粘り強い守備は第2戦でも見せていた日本だったが、ノートライに抑えられた第1戦の雪辱を期す南アフリカは、先発の変更をPRアシタンディレ・ントヤント選手、NO8スィゾピラ・ソロンツィ選手、WTBアヤンダ・マリンガ選手の3人に留め、ブレークダウンでより激しく強いプレッシャーをかけて反撃に出た。

前半32分、34分と今遠征初先発11番のマリンガ選手が足を活かしてと左サイドを突破して連続トライをマーク。南アフリカが12-5で前半を折り返した。

 第1戦に続いて接戦となったが、日本は相手のプレッシャーを受けてトライにつながりそうな場面でのハンドリングエラーが多く、後半に入っても攻勢を強める南アフリカに守備に終われる時間が続いて苦戦する。ベンチから選手を投入して反撃を試みるものの、流れを変えるには至らない。

 南アフリカは後半19分にSOリビイー・ヤンサファンレンズバーグ選手のPGで加点。後半36分にはFBナディーン・ルース選手が抜け出して、WTBシマンケーレ・ナンバ選手がゴール前でパスを受けて右隅に飛び込んで5点を加えた。

 日本は試合終了直前に、ゴール前のラックから第1戦でも2トライを決めたFL齋藤聖菜選手が持ち込んで1トライを返したが、点差を受けるには至らなかった。

負けて見つけた収穫

 女子日本代表の南早紀キャプテンは、「試合の序盤は自分たちも前に出てディフェンスすることができたが、だんだんギャップが出きて、そこを突かれた。相手のアグレッシブさを受けてしまい、久しぶりの連戦で修正しきれないところもあったかと思う。前に出たいという点では相手が上回っていた。自分たちが足りない部分」と振り返った。

 レスリー・マッケンジー女子日本代表ヘッドコーチは、「南アフリカが強みを出してきたが、そこで対応する力が私たちには十分ではなかった。試合の70%で守備に回る展開になった。守備の統一性は評価したいが、まだまだ課題はある」と振り返った。

 日本は5月のオーストラリア遠征でのフィジー戦から先週の南アフリカとの第1戦まで続いていたテストマッチの連勝は3でストップした。

「まだ若いチームでこのプログラムもまだ日が浅い。勝ったあとに反省する部分が足りていない。そこは改善すべきところで、それをこのタイミングで経験できたことは良かった。ワールドカップへ向けてよい準備になった」と述べた。

 指揮官はまた、南アフリカとの2連戦でワールドカップメンバー選考を控えて多くの選手を試合に起用してチェックすることができた点や、自分たちを見つめ直す反省の機会を得たことを収穫に挙げ、出場機会を求めてアピールした選手の積極性を評価した。

 南キャプテンも、今回の負けで「勝って反省するところがうまくできていない」と再認識したとした一方で、チームの学ぶ姿勢には進歩もあると指摘した。

「良くなる部分は相手によって違うが、それが1戦1戦できていて、自分たちが変わろうとしている。常に何かに課題を感じているところは自分たちが成長するために必要なところ」と語った。

日本は8月下旬、ワールドカップ前の最後テストシリーズに臨む。相手は世界ランキング7位のアイルランド代表で、8月20日に静岡のエコパスタジアムで第1戦、27日に東京の秩父宮ラグビー場で第2戦を戦う予定だ。

南キャプテンはニュージーランド大会を前に行う残り2試合へ向けて、「国内でできる最後の2試合になる。勝つことはもちろん、できなかったことをできるようになりたいし、南アフリカ戦2試合で修正しきれなかったものをできるチャンス。次のアイルランド戦では1戦目より2戦目と良くなれるようにしたい」と語った。

女子日本代表試合メンバー

1ラベマイまこと(横河武蔵のアルテミ・スターズ)

 →16南早紀*(横河武蔵野アルテミ・スターズ)、後半0分

2永田虹歩(国際武道大学女子ラグビー部)

 →17鈴木実沙紀(東京山九フェニックス)、後半10分

3左高裕佳(弘前さくらオーバルズ)

 →18北野和子(MIE PEARLS)、後半12分

4玉井希絵(MIE PEARLS)

5川村雅未(RKUグレース)

 →19吉村乙華(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)、後半4分

6齊藤聖奈(MIE PEARLS)

7長田いろは(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

8マテイトンガ・ボギドゥラウマイナダヴェ(MIE PEARLS)

 →20永井彩乃(YOKOHAMA TKM)、前半37分

9阿部 恵(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

 →21安尾琴乃(BRAVE LOUVE)、後半28分

10大塚朱紗(RKUグレース)

11黒木理帆(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

 →23伊藤優希(MIE PEARLS)、後半10分

12山本 実(MIE PEARLS)

13古田真菜(東京山九フェニックス)

 →22鈴木彩香(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)、後半12分

14名倉ひなの(横河武蔵野アルテミ・スターズ)

15庵奥里愛(MIE PEARLS)

注:* はキャプテン

 

女子南アフリカ代表試合メンバー

1アシタンディレ・ントヤント(Border Ladies)

 → 17ヨネラ・リンゴーロ (Border Ladies)、後半10分

2リンディルワ・グワラ (Cell C Sharks)

 → 16ミキ・グンター (Cell C Sharks)、後半28分

3ババルワ・ラチャ (DHL Western Province)

 → 18モニカ・マジブクワナ (EP Queens)、後半23分

4ノロシンディソ・ボイ (DHL Western Province)

 → 19カサ・ジェイコブス (Saracens)

5ライツ・ムカリ (Blue Bulls Women)

6ルサンダ・ドゥンク (Boarder Ladies)

 → 20アゼア・ハレ (Boland Dames)、後半14分

7シナーゾ・ンカチュラ (DHL Western Province)

8スィゾピラ・ソロンツィ (Cell C Sharks Ladies)

9ティラ・キンズィ (Cell C Sharks)

 → 21ウナン・トセ (Border Ladies)、前半28分

10リビー・ヤンサファンレンズバーグ (Blue Bulls Women)

 → 22トゥミサ・カウェ (DHL Western Province)、後半40分

11アヤンダ・マリンガ (Boland Dames)

 → 23ノマウェト・マベンゲ (EP Queens)、後半30分

12アピウェ・ングウェヴ (Border Ladies)

13ズィンレ・ムプパ (DHL Western Province)

14シマンケーレ・ナンバ (DHL Western Province)

15ナディーン・ルース (Blue Bulls Women)

注:* はキャプテン

Photo credit: JRFU